更年期症状や性交の痛みも改善、ミドル世代必見の「膣の若返り」最新医療

2

2025年04月29日 07:00  週刊女性PRIME

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

サイトリ杉山美容クリニックの櫻井夏子先生

 加齢に伴い、下着の擦れや膣まわりの不快感が気になっていませんか?「デリケートゾーンもハリがなくなり、垂れ下がるせい。老化は顔や肌だけじゃありません」と専門医。注目されているのが、女性器の若返り治療―いくらかければ、あのころの自分に戻れる?

妊娠と出産の経験がなくても年齢相応に骨盤底筋は弱くなる

 年齢を重ねるに従い、性交痛や尿漏れといった女性特有の悩みが出てきた人も多いのでは? “膣のかかりつけ医”を自称する櫻井先生の元へは、そうした女性ならではの悩みを持つ多くの更年期以降の女性がやってくる。

うちの患者様も性交痛と尿漏れのお悩みがほとんどで、割合としては3対7くらいでしょうか。性交痛で来られる方の中には『新しいパートナーとの性生活を楽しみたいのに』という方も意外と多く、悩みは切実です」(櫻井先生、以下同)

 性交痛の一因になるのが、女性ホルモン・エストロゲンの分泌が激減する影響で膣や外陰部が縮んで小さくなってしまう「萎縮性膣炎」だ。

閉経後の女性に多くみられる病気で、萎縮とともに膣の粘膜が乾燥しがちに。ちょっとした刺激にも弱くなっているところに性交などによって膣内に傷がつき、菌が侵入することで発症します。おりものや痒み、ニオイが出たり、膀胱炎を繰り返すことも

 また、ショーツやタイツが擦れたり食い込んだりして痛みを感じるといった症状も。こうしたことの多くは性器の加齢によって起こる。

「女性器は複雑な形をしており、いちばん外側の『大陰唇』というのは『小陰唇』や尿道、膣口を取り囲んで守るクッションのような役割をしています。お肌やバストと同じで、10代のときはふっくらと張りがあるのですが、30代の後半に入るとだんだんと下垂してきます。更年期以降になるとしぼみが加速して、クッションの役割が低下してしまう。そのために、ショーツやタイツが擦れたり食い込んだりしてしまうのです

 いちばん相談が多い尿漏れの悩みは、骨盤底筋の劣化が大きな原因。それによって尿道を締める力が弱くなり、尿漏れしてしまうのだそう。これは膣のゆるみにもつながる。

「骨盤底筋も例外なく加齢の影響で衰えます。特に妊娠・出産経験がある方はダメージを受けており、出産経験が2回以上ある方や、3500g以上の大きな赤ちゃんを産んだ経験がある方は尿漏れしやすいといわれています。

 でも、妊娠と出産の経験がない方でも年齢相応に骨盤底筋は弱くなっており、更年期でエストロゲンが激減すると、さらに加速。くしゃみしたり、笑った拍子に漏れるという人は多いですが、もっと重症になると普通に歩いているだけで漏れてしまい、いちばん容量の大きな尿漏れパッドを1日に何度も換える、という深刻な方もおられます

 この2つの症状を併発している人も多いので、櫻井先生は「膣の萎縮と骨盤底筋の弱りは同時並行で起きている」と、考えている。

性交痛や尿漏れは身体からのサイン

 とはいえ膣や骨盤底筋は自分では見えない部分でもあり、特に症状がないと、加齢で変化していることに気づきにくいものだが─。

「何か困り事が出て受診をするのは、治療やその後の対策ができるのでむしろいいんです。特に悩みがないからとエストロゲンが減っている現状を知らずに対策もしないでいると、高齢になって突然骨折してしまったりする。

 だから更年期に入ったら、ホルモン値など、ご自身の『現状』を把握しておくことは大事だと思います。性交痛や尿漏れは『次のステップに備えようよ』という身体からのサインと捉えてみては

 萎縮性膣炎にはどのような治療法があるのだろうか。

保湿剤を用いることもありますが、根本治療としてはホルモン補充療法(HRT)が有効です。性交痛に悩む方には膣内にホルモン剤(膣坐薬)を入れる治療をすすめることも。膣まわりのお悩みはもちろん、ホットフラッシュや不眠といった更年期特有の症状も改善します。HRTは保険適用なので、症状があるならまず婦人科などに相談して、HRTを検討してみるといいでしょう

 HRTと併用して行うとさらに効果的なのが、櫻井先生がクリニックでも提供している自費診療だ。

「膣の萎縮には『膣ハイフ』が有効です。これは膣の内側に超音波を照射する治療で、膣粘膜のコラーゲンを再生させることで膣を引き締め、潤いとふっくら感が戻るというもの。膣周辺の骨盤底筋までエネルギーが届くので、骨盤底筋の引き締めにも効果があります。

 症状によりますが30分程度の時間でできますし、メスを入れるわけでもないので痛みもなく、生活が制限されることもありません。膣ハイフを1回行うと効果は半年〜1年ほども持続します。その後は、症状の程度によりますが3〜6か月間隔で続けていくのがおすすめです

 そのほかには、膣壁にヒアルロン酸を注入して内側をふっくらさせる「膣ヒアルロン酸注射」、ヒト由来幹細胞培養上清液を膣壁に注入し、粘膜の潤いを改善する「膣エクソソーム」といった治療も。

これらは単体でももちろんOKですが、併用するとさらに効果的です。地方から来られる患者様の中には、膣のメニューを1日かけてフルでやっていかれる方もいます

 骨盤底筋の引き締めや強化には「エムセラ」が効果的。

性交の痛みから解放されたという声多数

これは高密度の電磁波を骨盤底筋に当てて、筋肉を収縮させて鍛えるものです。骨盤底筋は目に見えない部分であり、力を入れるのも難しい場所ですが、これなら服を着たままマシンに座っているだけでいいので、手軽にトレーニングができます

 自由診療のため、値段はクリニックによって違いがある。少なくとも数万円、高いものでは数十万円という治療費だが、これを高いとみるか将来への投資とみるか……。

性交の痛みから解放され、『パートナーとの関係がよくなった』という声も多くいただいています」(櫻井先生)

 というから、必要な人にとっては価値ある治療であることは間違いがなさそうだ。

骨盤底筋が活性化!「寝る前呼吸」習慣

横隔膜を動かす呼吸で間接的に骨盤底筋も引き締まる。10秒かけてゆっくりと息を吐きながら肋骨を締める。開かないよう肋骨をキープしたまま3秒間かけて吸う。数回繰り返すと副交感神経が優位になるので、寝る前に行うと安眠効果も。

取材・文/遊佐信子

櫻井夏子先生 整形外科医・皮膚科医。サイトリ杉山美容クリニック(東京・新宿区)院長。大学病院や大手美容クリニックなどを経て現職に。女性のデリケートゾーンまわりの悩みに、外科的・内科的両面からのアプローチで応える。

    ランキングライフスタイル

    前日のランキングへ

    ニュース設定