写真はイメージです投資家、起業家、エリートビジネスマンーー立場や職業はそれぞれ違えど、世の中には“億”を稼ぐ人たちが存在する。日々、家計のやりくりに追われる一般庶民にとってみれば別世界の住人のように思えるが、「稼ぐことはエリートや特別な才能を持つ人間の特権ではなく、多くのビジネスパーソンでも真似できることばかりです」と語るのは、新刊『億を稼ぐ力 非エリートでもできる習慣と方程式』(KADOKAWA)を上梓した金泉俊輔氏。
これまで500人を超えるミリオネアと出会ってきた金泉氏によると、億を稼ぐ人には共通の “稼ぐ力”がある一方、お金の使い方にも共通点があるという。お金に対しての哲学が垣間見える、ミリオネアの“消費の思考”を覗いていこう。
(本記事は『億を稼ぐ力 非エリートでもできる習慣と方程式』より一部を抜粋し、再編集したものです)
◆節約思考と投資思考
取材をしていると、多くの成功者には共通したお金の使い方があります。その中でも特に顕著なのが、「コンビニで商品を買わない」という習慣です。例えば、ひろゆきさんや「大学生投資家」三村雄太くんのような若い個人投資家たちは、「コンビニでジュースを買うなんて、金持ちになれない人の典型」と言います。スーパーなら同じジュースが30円安く買えるのに、わざわざ高いコンビニで買うのは、合理的なお金の使い方ではないと言うのです。
彼らの考え方は本当に徹底しています。スーパーで買えるものをコンビニで買うのは論外。また、ATMでお金を下ろすときの手数料にも厳しく、100円や200円の小さなコストの積み重ねが、長期的に見れば大きな差を生むと考えています。
◆お金を節約するか、時間を節約するか
こうした細かい日々の節約が年間で数万円、場合によっては数十万円の差を生み、10年、20年と続けば100万円単位の資産の差になる。ひろゆきさんは、「舌は肥やすな、飯がまずくなる」「一度上げた生活水準を戻すのは難しい」と言います。おいしいものを食べ続けて、それに慣れると、普段の食事がまずくなり幸福度が減るし、便利さやラクさを覚えてしまうと、それがない生活に満足できなくなってしまい心が疲弊します。だからこそ、日々の支出にシビアになっているのかもしれません。
一方で、お金を払うことで時間を“買っている”人たちもいます。
堀江貴文さんと一緒に仕事をしているビジネスパートナーが、堀江さんとの仕事があり電車を使って移動した際のことでした。現地に到着した彼は堀江さんに電車で来たことを告げると、真顔で「なんで電車で来たの?」と指摘をされたそうです。彼は節約できるところはするべきだ、と考えていたので電車移動をしたのですが、その行為に対し堀江さんは「タクシーに乗って、その移動時間で仕事をすれば、電車賃の差額どころかプラスになるだろう」と言ったそうです。
この考え方は「稼ぐ人の時間感覚」を象徴しています。100円、200円の節約を重視するよりも、その時間を2000円ほどで買って、買ったその時間で数千円、数万円を稼ぐほうが合理的という発想です。
ここで、「節約」と「投資」という二つの考え方が浮かび上がります。日常の支出を抑えることは大切ですが、それ以上に、「何にお金を使うか」を考えなければ資産は増えません。節約することは手段であり、目的ではありません。賢いお金の使い方をすることで、より大きなリターンを得ることができるのです。
◆価値ある経験への投資
一方で、ある投資家は「いいものを知る」ためにお金を使うと言います。ワインであれば10万円のものと1万円のものを試し、その違いを体験する。人によっては1万円のワインのほうがおいしいと感じ、価値を感じることもあるでしょう。これにより、自分が本当に価値を感じるものにお金を使うようになります。
また、自分自身に対する投資も特徴的です。成功者全般に共通するのは「体験」や「交際費」に積極的にお金を使うこと。海外旅行やスポーツ、コミュニティへの参加など、長期的な人間関係やビジネスの可能性を広げることを重視しているのです。
稼ぐ人は積極的にお金を使うといっても、あり金を全部使い切るとは考えていません。むしろ、「何にお金をかけるべきか」を常に考え、計画的に投資しています。
そのお金は何のために使っているのか? どういった意図があり、それが資産につながるのかを考えています。お金の使い方を見直せば、資産形成のスピードは格段に上がるでしょう。
【金泉俊輔】
編集者。1972年生まれ。立教大学経済学部卒業後、扶桑社入社。書店取次営業などを経て、総合週刊誌編集へ。IT、投資、事件、サブカルチャーなどを担当。webメディア『日刊SPA!』『女子SPA!』『ハーバービジネス・オンライン』を創刊プロデュースする。2013年より『週刊SPA!』編集長。18年よりソーシャル経済メディア「NewsPicks」編集長となり、プレミアム事業担当執行役員を経て、21年より次世代映像コンテンツの企画・プロデュース会社「NewsPicks Stuidos」代表取締役CEO