映画『果てしなきスカーレット』ティザービジュアル(C)2025 スタジオ地図アニメーション映画監督・細田守の最新作となる『果てしなきスカーレット』が、2025年11月21日に公開されることがわかった。“死者の国”を舞台に、王女スカーレットの果てしなき復讐への旅路を描く。発表に伴い、スカーレットの純白のドレスが血に染まる衝撃のティザービジュアル、および舞台となる“死者の国”や復讐心に燃えるスカーレットのカット満載の特報映像もお披露目された。
『果てしなきスカーレット』は、前作『竜とそばかすの姫』から4年の年月を経た最新作として、昨年12月23日に制作発表会見が行われた作品だ。薄暗い空のもと、剣を腰に差した女性が力強い視線で遠方の光を見つめているスーパーティザービジュアルは、これまでのスタジオ地図・細田作品とは大きく異なる展開を予感させ期待が高まっていた。
会見では全貌が明かされなかった本作だが、このたび公開日の決定に伴いそのストーリーが明らかになった。本作の主人公であるスカーレットは、とある国の国王である父を殺された王女だ。しかし、その復讐に失敗してしまったスカーレットは、“死者の国”で目を覚ます。狂気にあふれた“死者の国”では、宿敵に復讐を果たし、“見果てぬ場所”にたどりつかなければ〈虚無〉となり存在が消えてしまう。スカーレットは〈虚無〉とならずに、宿敵に復讐を果たすことができるのか。こうして、スカーレットの果てしなき復讐への旅路が始まる……と展開していく。
「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この『生きる』という大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」との想いから始まったという本作。細田監督からはあらためて、本作を制作するきっかけやテーマを「復讐」とした理由についてのコメントも寄せられた。
あわせてお披露目となったティザービジュアルには、純白のドレスが血に染まりながらも、手には鋭い剣を持ちたくさんの死体の上から鋭い表情でこちらを見据える主人公の王女・スカーレットが描かれた。「生きるべきか。」というキャッチコピーは、スカーレットの心の内の葛藤なのか、それとも、われわれ観客への問いかけなのだろうか。
スタジオ地図・細田作品を象徴する、主人公と“青空”や“入道雲”が描かれた、見る人の心を明るくするビジュアルからは一変。鬼気迫るスカーレットの表情が印象に残る、狂気をはらんだ衝撃の仕上がりとなった。
そして本編映像では、宿敵への復讐を果たしに旅に出る王女・スカーレットと砂漠に覆われた“死者の国”と呼ばれる世界のカットが多数公開された。砂漠の中にそびえ立つ荘厳な城や密集するたくさんの人々、火山、雷など繊細なタッチで描かれた“死者の国”の様子や、竜の存在も明らかとなり、わずか30秒ながらも1カット1カットを見逃すことができない。
また、そんな世界を生き抜くべく、剣を抜きながら険しい表情で迫るスカーレットも登場する。たくさんの兵士相手に一人戦うシーンや顔中砂まみれになっている姿など、鬼気迫る表情も映し出される。一方、汚れ一つない純白のドレスを身にまとったスカーレットも現れ、はたしてどんな展開が待っているのか本編への期待が高まるばかりだ。
さらに本映像にて、スカーレットの声も初お披露目された。「ここは……?」と、目線の先にいる人影に問いかけている。問いかけた相手は誰で、どのように物語に関わってくるのかだろうか。果てしなき復讐劇に身を投じるスカーレット役を誰が務めるのかにも注目だ。
アニメーション映画監督・細田守の最新作となる『果てしなきスカーレット』は、2025年11月21日に公開される。今後のさらなる続報を楽しみに待ちたい。
<以下、コメント全文掲載>
細田守監督
この作品を考え出したのは2022年3月頃です。
2021年にコロナ禍があり、世界はコロナというウイルスに対し一致団結していたように思っていました。ところが2022年、それが終わりかけたタイミングに世界のあちこちで戦争が起こり、世の中がカチッと悪い方向に変わった感覚がありました。日常だと思っていたものが崩れていく様子を毎日ニュースで僕らは知ることになる。自分自身が生きていること、過ごしている世の中、そして今のこの平和というものは非常に危ういものだと、ショックを受けました。
平和ではない世の中をどうやって生きていくべきなのか、ということの答えを、世界中の人が求めている。答えがあるのかないのかわからないけれども、みんなどうしたら争いが解決するのか、どうしたら僕らは安心して生きていけるのか、という答えをみんな必死に探している。今作品を作るなら、そういうみんなの切実な気持ちに対し、向き合って映画を作るべきじゃないか、というところから『果てしなきスカーレット』という作品を発想したんです。
世界で起こっている出来事を見ると、深い遺恨や復讐心が次々と生まれてしまう状況だと感じています。「復讐」すれば「報復」がある。その連鎖は延々終わらない。どこかでそのループから抜け出さないといけないけれど、簡単に抜け出せるような甘いものではない。映画の中で「復讐」せざるを得ない状況に主人公が追い詰められたら、ないしはもし僕らが追い詰められたとしたら、どのような行動をとるべきなのか? 頭では「復讐」のループを断ち切らないといけないと分かっていても、感情的にそんなことが可能なのか? 課題を突き付けられた気がしました。それで“復讐の物語”を作ろうと思ったんです。
『果てしなきスカーレット』
公開日:2025年11月21日(金)
(C)2025 スタジオ地図