
個性的な魅力で、ブームとされるほど人気が高まる「クラフトビール」。滋賀県内でも生産の輪が拡大する中、近く10を超える醸造所が参加する連携組織「滋賀クラフトビールアソシエーション(SCBA)」が設立。急増の影で品質にばらつきがあるなどの課題も生じているといい、組織では認知度向上に向けた企画に加え、研修を通じた醸造家のレベルアップにも取り組む。
記者会見場のテーブルに、色鮮やかな缶や瓶が並ぶ。3月下旬、大津市の県庁に県内醸造所の関係者が集い、SCBAの設立会見が行われた。会長でツー・ラビッツ・ブルーイング・カンパニー(二兎醸造)=近江八幡市=のコレット・ショーンさんは「一緒に滋賀のクラフトビール文化を作り上げていくことを楽しみにしている」と笑みを浮かべた。
SCBAは、県内の醸造所12社が参加し、「滋賀」と「クラフトビール」の頭文字に合わせた「滋賀クラフトビールの日(4月9日)」に設立。会見ではこのうち7社の関係者が登壇し、それぞれのこだわりや特徴を語った。
4月18日には京都駅直結の商業施設「京都ポルタ」(京都市下京区)内のクラフトビール専門店で記念イベントを開催し、各醸造所のビールを統一価格で提供。滋賀県内開催も模索したが、取り扱う店は小規模なケースが多いため、一堂に会するイベントの実現は難しかったという。
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近年、クラフトビール人気を背景に醸造への参入が拡大している。県内でも傾向は同じで、ビールと発泡酒を手がける製造場は、大津税務署によると現在17カ所。2015年の4カ所(大阪国税局統計)と比べ、4倍以上に増えている。
ただ、関係者によると、県内では「気軽にクラフトビールを手に取る環境が整っているとは言えない」状況で、県産ビールの認知度もまだまだ低いという。SCBAは各醸造所のネットワークを強化しながら、イベントなどを継続的に行い、発信を強める。
さらに醸造所が増えていく中で、醸造家の知識や製品の質にばらつきがあるといった課題も生じているという。このためSCBAでは、品質向上に向け研修会なども開催する予定で、コレットさんは「日本では教育の仕組みがきちんとしておらず、知識がバラバラ。お客さんに安心してもらえるよう、まずは知識のレベルアップをしたい」と意気込む。
(まいどなニュース/京都新聞)
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