2030年までに「世界最高峰」を目指すSVリーグ。その初年度は、華々しい成果と解決すべき課題が同居した。レギュラーシーズン(RS)の観客動員数はVリーグ最終年の前季比204%増の103万4668人に達し、男子は66万4709人で1試合平均3000人超を記録。イタリアやポーランドのトップリーグに匹敵する数字に、リーグは「順調な滑り出し」と自信を示した一方、数々の問題点が浮き彫りとなった。
選手から不満の声が相次いだのが試合数の不均衡。男子RSは10チームによる4回総当たり(36試合)と前シーズン順位に基づく追加8試合で計44試合を戦うが、追加試合の割り振りにより特定チームとの対戦頻度に偏りが生じ、公平性が疑問視された。大阪Bの西田がSNSで「バレーボール以外の部分で納得いかない部分が今シーズンは多すぎる」と運営の見直しを訴え、山内らトップ選手が次々と賛同。リーグは選手の声を「初年度ゆえの当然の反応」と受け止めながらも、来季は現行フォーマットを維持する方針で、早急の改善は見込めない。
判定の不透明さも選手の不信を招いた。相次いだ公式記録の得点の誤りと、プレーオフでの誤審騒動。レフェリングの均一化を求める西田らプレーヤーの声は真摯(しんし)に受け取るべきだ。また、昨年度から倍増した44試合のRSに加え、決勝の会場についても選手に大きな負担を強いた。愛知の関田は女子が固定会場でプレーできるのに対し、男子が初戦と第2戦以降は別会場となることについて「(適応は)大変なこと」と指摘。また、第2戦以降は会場で事前の練習ができず、サントリー大宅は「しっかりと考えて欲しい。普通はありえないこと」と声を大にした。
男女の人気格差も顕在化した。女子は1試合平均入場者数が前季比31%減と低迷。初代王者が決まった決勝第2戦ですら4300人にとどまった。この現状に大阪M田中は「女子バレーをもっと応援してほしい」と切実な思いを吐露。リーグは「女子はこれから」とするものの、即効性のある方法を探すことは容易ではない。
「初年度だから」と言えばそれまで。だが、選手からの声をないがしろにし、課題を後回しにすれば、「世界最高峰」の夢の実現は遠のくだろう。選手との対話強化と迅速な改革が、リーグの未来を切り開く鍵となる。【バレーボール担当=勝部晃多】
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