「なるほど」だけでは理解していない?東大生の相槌は「3つ目のパターン」 『ドラゴン桜』監修の著者が指摘

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2025年05月10日 08:00  ORICON NEWS

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『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』より
 人から何かを説明された時に、理解できている人とできていない人の間にはどんな差があるのか。

【画像】誰でも再現できる!『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』書影

 偏差値35から二浪で東大に合格。現在は教育事業を手掛け、TBS日曜劇場『御上先生』『ドラゴン桜』の監修も担当した西岡壱誠さんは、それが相槌の打ち方に表れると言う。西岡さんが一生ものの「頭の良さ」を身につける方法に迫った著書『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

■相槌を見れば相手の理解度がわかる?

 みなさんは、「相槌の打ち方を見れば、相手の頭の良さがわかる」と言ったらどう思いますか? 相手がどんなふうにこっちの話を聞いているのか、どんな相槌を打ちながら話を聞いているのかを見るだけで、相手がどれくらい理解してくれているのかがわかる、という話です。

「相槌だけでそんなことわかるものなの?」と考える人がほとんどだと思いますが、これは実際に予備校で用いられている、生徒のレベルを判断するためのテクニックなのです。

 たとえば、2万人以上の東大志望者を指導している駿台予備校講師の宇野仙(たける)先生から話を聞いたときに、こんなことを言っていました。

「私の元にはよく、生徒がやってきて、授業の質問をしてくれます。その際に、私は生徒の相槌を3パターンに分けて観察しています。

 1つ目のパターンは、何かを説明したときに、なんの相槌も打たないパターン。この場合は、今の説明が本当の意味ではわかっていないことが多いです。

 2つ目のパターンは、何かを説明したときに、『なるほど』と言ったり、こちらが言ったことをそのまま繰り返して言うパターン。この場合は、理解していることを示そうとしていますが、実際には腹落ちしていない場合が多いです。自分ではわかったつもりになっているけれど、実際には理解しきれていないことがあります。

 3つ目のパターンは、何かを説明したときに、『なるほど、○○なんですね』と自分の言葉で説明してくれるパターンです。この場合は、本当に理解していて、テストでも再現できる状態になっていると言えます」

「なるほど」だけだと理解していない場合が多い、というのはちょっと怖い話ですね。実際、僕も教えている生徒に対してこの方法を試してみました。こっちの話に「なるほど」とだけ言っている生徒に「じゃあ、今、先生が話したことを説明してみて?」とお願いすると、先生の言ったこととまったく同じように説明する生徒が多いです。

 一見良さそうに見えますが、それに対して「それってどういうこと?」と追加で質問をしていくと、「え、うーん」と、言葉に詰まってしまいます。自分の言葉ではなく、まったく同じように説明しているだけなので、一言一句同じように再現はできるけれど、本当の意味では理解していない場合が多いのです。

 そうすると、理解したつもりでも、応用もできませんし、自分の中での咀嚼も足りていない状態になってしまいます。重要なのは、先生の話を言い換えながら、「なるほど、○○なんですね」と自分で説明できるようにすることなのです。

▼東大生は、先生の言葉をすべて言い換えている?

 東大生は「3つ目のパターン」の相槌を打っています。そしてなぜそんなことができるのかと言えば、僕はノートやメモの取り方に秘密があると考えています。

 僕が東大生たちのノートを分析したときに、もう1つ、面白い事実がわかったのです。

 それは、「東大に合格している人のノートは、決して先生の言っていることのコピーアンドペーストをしていない」ということでした。

 具体的に説明します。一般的に、メモやノートを書く作業というのは、先生が言ったことや黒板に書いてあるものをそのまま書き写す場合が多いと思います。

「アッバース朝(*)では、アラブ人だけではなく、イラン人やトルコ人が受け入れられました。今までのアラブ人の民族国家というニュアンスから、西アジア全域を支配する世界帝国へと移行したと言えます」
*イスラーム王朝の国の1つ。ウマイヤ朝を倒して成立

 と言われたら、そのまま「アッバース朝では、アラブ人だけではなく、イラン人やトルコ人が受け入れられた。今までのアラブ人の民族国家というニュアンスから、西アジア全域を支配する世界帝国へと移行したと言える」とノートに書き写す場合が多いのではないかと思います。

 しかし、東大生の多くは、聞いたり読んだりした言葉をそのままコピーアンドペーストで書き写すことはしません。絶対に、「言い換え」を行ないます。先生の言葉や教科書の文言を、違う言い回しで書くのです。

 「=」とか「→」を使って、

『アッバース朝』=「アラブ人・イラン人・トルコ人などの多民族国家へ」
 →アラブ人の民族国家から、西アジア全域を支配する大規模多民族国家へと移行した

 こんなふうに言い換えたり、「問いと答え」で整理して、

Q アッバース朝が、それまでのイスラーム王朝と大きく異なったポイントはどこか?
A アラブ人だけでなく、イラン人・トルコ人なども受け入れたことから、アラブ人民族国家から、西アジア全域を支配する大規模多民族国家へと移行したこと

 とまとめる人もいます。いずれにせよ、先生の言っていることを自分なりに言い換えて、自分なりの言い方で書いている場合が多いのです。そのため、一見すると「これが、あの授業のノートなの? 先生が黒板に書いていた内容と全然違うけど」となることも多いです。

 情報は、そのままだと、ただの文字列でしかなく、活用できないものです。そしてその情報をそのまま書き写すというのは、写真を撮って保存しているようなものであり、頭には入っていないのです。

■西岡壱誠(にしおか・いっせい)
カルペ・ディエム代表。1996年生まれ。偏差値35の学年ビリから、2浪で自分の勉強法を一から見直し、どうすれば成績が上がるのかを徹底的に考え抜いた結果、東大に合格。著書『東大読書』シリーズ(東洋経済新報社)は累計40万部のベストセラーに。漫画『ドラゴン桜2』の編集やドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』『御上先生』の脚本監修を担当。MBS『100%!アピールちゃん』『月曜の蛙、大海を知る。』にてタレントの小倉優子さんの受験をサポート。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、多くの受験生や教育者から支持を集めている。

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