
あすか製薬が厚生労働省に「ノルレボ錠」という緊急避妊薬の市販薬化の申請を行った、と5月15日に発表した。
緊急避妊薬の注意点
「緊急避妊薬は避妊に失敗してから、早く服用することが大切です。望まない妊娠・性暴力に遭った女性が薬局で迅速に入手できるようになることはとても重要だと思います」
と話すのは、西川婦人科内科クリニック院長の西川吉伸先生。
一方、注意点もあると言う。
「薬剤師から購入することになりますが、きちんと副作用を理解することが大事です。緊急避妊薬があるから、と避妊をせずに性行為を繰り返す人が増える懸念はあります」(西川先生、以下同)
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市販薬化で価格は安くなるのだろうか。
「現時点での医師から処方される緊急避妊薬は平均1万5000円ほどです。市販薬になれば、価格はぐっと安くなると思われ、1万円以内にはなるでしょう」
しかし、イギリスやフランスでは価格が約900円で、2021年時点での緊急避妊薬は約90か国で薬局での購入が可能なのだが……。
「性に関することについて、日本は世界的に見ても遅れています。医師会だけでなく、承認をする厚生労働省が動くのはもっと遅い。決定権を持つ立場に女性が少ないということが原因のひとつとしてあると思います」
『生理の貧困』を財務省に直撃
緊急避妊薬だけでなく、生理用品の税優遇についても同様だ。生理用品はフランスなどでは軽減税率、ケニア、オーストラリア、カナダなどでは非課税、スコットランド、ニュージーランドなどでは無料配布されている。女性にとって必需品にもかかわらず、日本は軽減税率の対象外で税率10%だ。
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「経済的な理由などで生理用品を買えない『生理の貧困』が問題になっていますし、生理用品は軽減税率・非課税でしかるべきものだと思います。新聞の定期購読が軽減税率なのに、役人は何を考えているのか……」
そこで、週刊女性は国の税制の企画・立案などを行っている財務省に直撃した。なぜ生理用品は女性の必需品なのに、軽減税率の対象外なのか聞いたところ、
「軽減税率制度は、日々の生活において幅広い消費者が消費・利活用している商品の税負担を直接軽減するものであり、与党税制調査会や国会における議論を経て、
・消費税の『逆進性』を緩和しつつ、
・買い物の都度、『痛税感』の緩和を実感できる、
との観点を踏まえて、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として導入されました」(財務省広報室、以下同)
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と、質問の回答になっていない答えが返ってきた。『痛税感』の緩和というなら、生理用品こそ必要なのでは。
外国と違い、日本ではなぜ生理用品に税の優遇がされないのか。
「その際、具体的な適用対象品目については、飲食料品は基本的に全ての人が毎日消費しており、支出額や消費税の負担額も大きいことや、『食品表示法』等により、『線引き』を合理的かつ明確に示すことが可能であること等の事情を総合的に勘案し、『酒類・外食を除く飲食料品』等を対象とすることとされたところです」
またも質問の答えになっていない。生理の貧困について財務省としてどう考えるかについては、
「所管外のため、回答は差し控えます」
日本でも女性がもっと性や生理について必要な医療やケアを受けられる社会になる必要があるのではないか。