『ゴルゴ13』デューク東郷の“名言”の数々 一流のプロになるために最も必要なことは?

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2025年05月31日 08:00  リアルサウンド

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 さいとうたかを原作の漫画『ゴルゴ13』。超一流のスナイパー・デューク東郷の人生を描いた作品で、1968年から『ビッグコミック』で連載されている人気作品だ。5月29日にはWEB漫画サイト『ビッコミ』で『ゴルゴ13』が全話無料で読めるキャンペーンが開催され、話題となっている。作品の魅力は様々だが、その1つにデューク東郷の「生き様」があるといえるだろう。そこで今回は彼の生き方が表現された「名言」を紹介したい。


その"正義"とやらはお前たちだけの正義じゃないのか?

 アメリカ軍部は、ベトナム戦争以来陸軍が強度の地上戦アレルギーを持っているとして、世界初の二足歩行ロボットを使ったバトルスーツ、SDR2を開発する。


 そしてアメリカ軍部の首脳が、凶悪なテロリストを誰の目にも届かないジャングルに集結させ、SDR2と戦わせて性能を検証するテストを思いつく。そして「生き残れば罪が恩赦される」などと方便を並べテロリストを集め、実行に移す。


 テロリストを残虐に殺し続けるSDR2に、軍部は「未来のアメリカの繁栄を約束するのだ。合格だ」「今のだらけた兵士をSDR2に搭乗させて精神を鍛えさせてやる」と話し、導入を決意した。


 これに待ったをかけたのが東郷。最後にジャングルに乗り込み、SDR2と対峙すると、格闘の末銃口に銃弾を打ち込み、大破させた。驚いた軍部首脳は東郷を呼び、「これからのアメリカは自由主義を守るため、世界で戦争に巻き込まれるだろう。だが、今の若者たちは地上戦を戦える精神力は持ち合わせていない」と力説する。


 そして「君の戦闘のノウハウを利用できれば軍の教育は飛躍的に進歩し強力な軍隊ができる」「ぜひ我が軍の顧問になってもらいたい」と誘う。東郷は「断ると言ったら?」と拒否を示唆するが、「これは依頼ではなく命令だ」と話し、兵士2人が現れて銃口を向け、「君にはイエスしかないのだよ」と告げる。


 怒りの東郷は兵士2人を射殺。首脳に対し銃口を向け「なぜ、テロリストを選んだ?」と聞く。「奴らは我が兵士が血を流し、中東で南米で、アフリカで築いた正義、秩序を一発の弾丸、たった一つの爆弾でいともかんたんに崩壊させる許されざる者たちだからだ」と説明した。


 東郷は「その"正義"とやらはお前たちだけの正義じゃないのか?」と質問すると、首脳は「ふざけるな、アメリカの正義は世界の正義だ」と怒る。すると東郷は、拳銃を発射し、首脳の額を撃ち抜いた。


 「アメリカの正義は世界の正義」という主張のもとにテロリストを虐殺する行為は、東郷にとっては受け入れられないもので、「お前たちだけの正義」と感じたようだった。


 「正義」には、それぞれの解釈があり、自分が正しいと感じていることが、育ってきた環境の違いや立場の違う人間にとっては「悪」になることがある。そんな矛盾を、東郷は見事に表現してみせた。


10%の才能と20%の努力…そして、30%の臆病さ…残る40%は…運だろう…な…

 ロンドン・パリを訪れたデューク東郷。指定された部屋を訪れると、後から依頼主の男が現れる。


 男は「おお、我が友よ、やっと来てくれたか」「まるで20歳のガキが恋人に会うような心境で待っておったぞ」と東郷に声をかける。「あんたと会うのは久しぶりじゃな。そうじゃ、あんたにあったら一度聞きたいと思っていたことがある。プロとしての条件じゃよ。あんたのような一流のプロと言われるようになるには、どんな条件がいると思う?」と質問した。


 さらに「いつかあんたの死亡記事を見せられることになるんじゃないかと、いつもハラハラさせられておるでな」と話す。東郷はそんな彼に「10%の才能と20%の努力…そして、30%の臆病さ…残る40%は…運だろう…な…」答えた。(66巻)


 東郷が質問に答えたあと、男は隣のビルにいた狙撃手に頭を撃ち抜かれ、亡くなっている。彼には、運がなかったのだ。皮肉にもこの男は、「一流のプロになるためには運が最も重要」とした東郷の発言を、身を持って知ることになった。


善意に甘えるほど危険なものはない

 鞍馬竹林流弓道を習うため、道場に通うことにした東郷。教えを請う相手は和服を着た小さな女性・弥生で、「父は飛行機事故で死んだ」「自分は名目上跡継ぎだが、未熟者が人に教えるなど、不遜なこと」と断る。


 しかし東郷は「それはこちらで判断する」「師を間違えたことはない」と話し、「明日から通う」と強引に同意を求める。ただならぬ雰囲気を感じたのか、弥生も道場に通うことを許した。


 東郷が後ろに人が立つことを嫌うため、弓道を教えることができない弥生は、全裸で後ろに立ち「自分を信じてほしい」と言いながら後ろに立ち、矢の撃ち方を教える。すると東郷はメキメキと上達し、竹林流弓道をマスターする。


 そんな弥生に、弓道の鞍馬竹林流弓道を存続させるためには男性の後継者を立て、「丁夜通の儀」で実力を示すよう他の流派の人物たちから促される。廃流止むなしと考えていた節がある弥生は、「時間がほしい」と保留した。


 そして弥生は「あなたにもう教えることはない」と東郷を免許皆伝とする。東郷は「束脩(授業料)を収めたい」と告げる。すると「お金なんかいりません」「その代わり、師として戒めておきたいことがあります」「これから先、私が教えた弓で人を傷つけたり、殺めたりしないでください」と約束を迫る。


 東郷は「覚えておこう」と答えると、鞍馬竹林流弓道の「丁夜通の儀」に自分を出すよう懇願する。そして、「あんたは金はいらないというが、善意に甘えるほど危険なものはない」として、金を納める意向も示す。結局東郷は「丁夜通の儀」に登場し、で遠く離れた場所から矢を命中させ、鞍馬竹林流弓道の存続が決まった。


 「機は熟した」と語る東郷は、弓を持って宇宙へと向かう。CIAから、この弓で宇宙衛生ASATを撃墜するよう依頼を受けていたのだ。宇宙服を来て、ASATに弓を命中させた東郷は、報酬の全てを弥生の口座に振り込ませた。(155巻)


 この話では弥生の善意を断り、自らは善意を示した東郷。実社会でも善意で奉仕してくれる人物もいるが、その善意を利用した犯罪も少なくない。東郷がいうように善意に甘えることには、様々な危険が潜んでいる可能性は、ゼロではないと言えるだろう。


 裏社会で酸いも甘いも噛み分け、ギリギリのなかで生きてきた東郷。多くの死と生を見てきたからこそ、彼の発言に大きな説得力がある。そんな彼の名言は、厳しい社会を生きぬく力を与えてくれるかもしれない。



このニュースに関するつぶやき

  • 昔利用してた理容店が共産党で店内にしんぶん赤旗を置いてたから、ゴルゴが一切なかったんだよねえ。もしゴルゴがあったら店の見方も変わってたかな?
    • イイネ!5
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