年金制度は大丈夫!? 基礎年金の底上げ“合意”も財源問題は未解決 不安拭えぬ私たちの老後【サンデーモーニング】

4

2025年06月01日 17:29  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

“厚生年金からの流用”という批判もある“基礎年金の底上げ”。年金改革法案をめぐり、自民党、公明党の与党と、立憲民主党が修正案について合意しました。

【図で見る】基礎年金の割合が大きい人とは?

高齢者を支える現役世代は「神輿」から「肩車」へ

私たちの年金はどうなるのでしょうか。

年金制度とは、働く世代が保険料を出し合って、リタイアした高齢者を支える仕組みです。何人の現役世代で何人の高齢者を支えているのか、年齢構成で単純計算すると、1960年は「神輿」のように10人以上で1人を支えていました。

ところが少子高齢化が進んだ2005年には、3人で支える「騎馬戦型」となり、現在は2人に。そして25年後の2050年には、ほぼ1人で支える「肩車型」になっていきます。

働く高齢者も昔より増えてはいますが、このままでは年金がピンチなのです。

約30年後、基礎年金の給付水準は3割減る?

年金制度を持続可能にしていくため、これまでも保険料を徐々に上げたり、年金をもらい始める年齢を原則として60歳から65歳に引き上げたり、もらえる年金を実質的に減らす仕組みを導入したりしてきました。

私たちが受け取る年金は、2階建ての構造になっています。1階部分は、国民の全員が受け取る「基礎年金」。2階部分は、会社員などが受け取る「厚生年金」です。

「基礎年金」は全員定額ですが、「厚生年金」は給与の額によって変わります。現役時代に得た給与が多いほど、保険料を多く支払っているので、年金としてもらえる額も手厚くなります。

「就職氷河期世代」で非正規として働く期間が長かった人たちなどは低くなり、国民年金保険料だけを支払っている自営業の人たちには、この部分はありません。

こうしたなか、2024年、年金の将来の見通しが発表。財政検証によると、「基礎年金」については、約30年後の2057年には給付水準が実質的に3割減るとの見通しも示されました。基礎年金の割合が大きい人たちにとっては、大打撃となるのです。

「あんこのないアンパン」 与党の法案に批判

そこで必要とされるのが、今回の「基礎年金の底上げ」です。

保険料を納めた期間に応じて、全員一律に底上げされ、その費用は「厚生年金」の保険料を積み立てた財布から出されます。

当初、政府与党は、参院選を前に「厚生年金の流用ではないか」という批判が広がることを恐れて、これを法案から削除していました。

しかし最重要部分を削除した法案について、野党側から「あんこのないアンパン」などとの批判を受け、一転、立憲民主党との修正で復活させたのでした。

底上げの半分は国庫負担も…財源は未定

それでも課題は残ります。

基礎年金の底上げに必要な財源については、厚生年金の積立金を投入しても、半分は国庫から税金などで負担することになっていますが、その分の財源はまだ決まっていないのです。

年金制度に詳しいニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫さんによれば、厚生年金の財布の中身が減ったことで「一時的に全員、もらえる厚生年金が減る」といい、その対策も決まっていません。

重要な財源論は先送りした形ですが、この先、持続可能な年金制度を守っていくことができるのでしょうか。

このニュースに関するつぶやき

  • 同年代でお金を出し合って早死にした人が長生きした人にお金をプレゼントする制度と理解した方がわかりやすい。早死にしたらお金なんか必要ないですからねえ。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定