トランプ米大統領=5月5日、ワシントン(AFP時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権は4日、鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税を従来の25%から50%へ2倍に引き上げた。鋼材を使う自動車など国内の関連産業がコスト増に直面するのは必至。トランプ大統領は米製造業の保護を狙うが、インフレを助長する懸念もある。
トランプ氏が3日、引き上げを命じる文書に署名した。サプライチェーン(供給網)の川上に位置する鉄鋼の関税引き上げは、建築資材や自動車などの価格を押し上げる恐れがある。企業がコスト増を吸収できなければ、価格転嫁による物価上昇にもつながる。
トランプ氏は5月30日、東部ペンシルベニア州の米鉄鋼大手USスチールの工場で開いた集会で、鉄鋼関税を50%に引き上げると表明。「誰も(米国境の)フェンスを越えられない」とも述べており、高関税が米国向けの輸出減に拍車を掛ける可能性がある。
一方、先月上旬に貿易協定で合意した英国は今回の対象とはせず、25%の関税を維持した。ただ、英国が合意に違反したと判断した場合、50%に引き上げることも文書に盛り込まれた。
25%の鉄鋼・アルミ関税は3月に発動され、対象となる製品の範囲も拡大された。

米鉄鋼大手USスチールの工場を視察するトランプ大統領(右から3人目)=5月30日、ペンシルベニア州ウエストミフリン(AFP時事)