
几帳面なA型、おおらかなO型、マイペースなB型、二重人格のAB型。昭和、平成に青春を謳歌した世代にはおなじみの性格分析だった「血液型占い」。いつの間にか、テレビ番組や雑誌のコーナーなどで見ることが減った気が……なぜ?
血液型は「変わる」
そこで血液型など輸血学に詳しい神戸学院大学の坊池義浩准教授に聞いたところ、
「実は近年、そもそも自分の血液型を知らないという若者が多いのです。というのも、かなり以前から、出生時に病院で血液型を調べない傾向なのです」
と驚きの事実が! そういえば記者のママ友も子どもの血液型がわからないそうで、「生まれてすぐに調べても血液型が変わることがあるから、と調べてもらえなかった」と話していた。血液型が変わるとは?
「ABO血液型は、赤血球上の抗原と血漿中の抗体の両方を調べて決定されます。出生時は抗原が未発達で、抗体もまだつくられていないうえに、母親から胎盤を通過してきた移行抗体の影響も受けるので正確な血液型判定が行われないのです。
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個人差はありますが4〜5歳になると確実な検査結果が出るといわれています。血液型がわからなくても輸血を受ける前には、病院では必ず2回違うタイミングで詳しいABO血液型検査を行うので安心です」(坊池先生、以下同)
ちなみに、ABO血液型を調べたいときは保険外診療で検査を受けることができる。また、献血に協力した場合も、献血後に送られてくる検査成績でABO血液型とRhD血液型がわかるそう。
病気と血液型は関係あり
「輸血を必要とする方の命を救うボランティア活動であり、健康管理にもつながる献血ですが、若者の献血離れが今の課題。関係機関はリラックスできる空間づくりや、キャンペーンで記念品をプレゼントするなど、発信を強化しているようです」
現在、奈良県立医科大学の研究グループによって、備蓄・緊急投与が可能な人工赤血球製剤の製造および臨床試験が始まっている。緊急輸血に対する備蓄や、少子高齢化による血液不足の解消に、大きな期待が寄せられている。
さて本題に戻って血液型占いだが、
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「残念ながら血液型と性格の関係には科学的根拠がありません。また、血液型は2024年の時点で国際輸血学会ではABO血液型を含む47種類が認められており、日本人のABO血液型もA型が約40%、O型が約30%、B型が約20%、AB型が約10%と割合も違い、一概に性格と結びつけにくいですね」
ただし、病気と血液型とは関係があるという。
「O型の人は、血液を固めるためのフォン・ヴィレブランド因子がほかの血液型に比べて少ないといわれており、血が固まりにくく、大ケガによる死亡率が高いという報告があります」
逆にA、B、AB型はO型より血が固まりやすく深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などのリスクが高いそう。また、O型は新型コロナウイルスに感染しにくく、一部のノロウイルスに感染しやすいという報告があるらしい。
実は奥深き血液型の世界。占いではなく「血液型」そのものに沼りそう!
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取材・文/住田幸子