嘘に嘘を重ねて… 森友文書9000ページ 新たに開示、公文書改ざんの裏で何が? 赤木さん自筆のノートに残されたメッセージ【報道特集】

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2025年06月21日 20:16  TBS NEWS DIG

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国有地の大幅値引きと、公文書の改ざんが判明した森友問題。先週、その内部文書が新たに開示されました。改ざんの裏側で何が起こっていたのか。9000ページに及ぶ文書からは関係者たちが嘘を重ねて行き詰まっていった様子も浮かび上がりました。

【写真で見る】「僕は犯罪者なんだ」赤木さん直筆のノートには改ざん後の不安や葛藤が…

森友文書9000ページ 新たに開示、メールが示す廃棄と改ざん

今回、開示された文書の中には、財務省から赤木俊夫さんなど近畿財務局にあてたメールが多く存在する。国会で森友問題の追及が始まった2017年2月。対応についての記載が見られる。

2月14日、俊夫さんと当時上司だった統括官に、佐川宣寿理財局長(当時)からの指示が伝えられた。

財務省から近畿財務局へのメール
「佐川局長からの指示:宮本議員から埋設物発見の日付を聞かれており、質問されるような気がします」

そして、2月17日。

安倍晋三総理(当時)衆院・予算委 2017年2月17日    
「私や妻が関与していたということになれば、これはもう総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」

5日後、財務省からのメールに「廃棄」という言葉が登場する。

財務省から近畿財務局へのメール
「件名:宮本岳志君への対応」
「交渉記録は廃棄済みという線で応接をしました」「とりまとめ等対応をお願いします」

2月24日、宮本議員が質問、佐川氏が答弁した。

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「(森友学園との)交渉記録、あるいは面会記録、これは全て残っておりますね」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした」

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「いつ廃棄したのですか?」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「平成28年6月の売買契約締結をもちましてすでに事案終了してございますので、記録が残っていないということでございます」

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「そんなのは国民は全く納得できないですよ。そういうことですか」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「今、申し上げましたように、売買契約締結をもって事案終了しているということなので、当日その日かどうかは別にしても、速やかに事案終了で廃棄をしているということだと思いますので、記録は残ってございません」

2月26日、日曜日、午後3時のメール。この日から文書の改ざんが始まったことがわかる。

財務省から近畿財務局へのメール
「本省内で保有している森友学園関係の書類、行政文書について」
「今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります」

さらに、財務省は削除する部分を指定。その中には、森友学園の籠池泰典理事長が近畿財務局に安倍昭恵氏との写真を示し、昭恵氏から『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいたという記述が含まれていた。

このメールとほぼ同じ時刻、俊夫さんは雅子さんと出かけていた。そこに統括官から手伝って欲しいと連絡が入り、休日出勤した。

この日だけで財務省とのメールのやり取りは10件を超え、俊夫さんは改ざん作業をさせられた。

俊夫さんから財務省へのメール
「ご指示に従い、内容を確認して、大幅にカットさせていただきました」

そして、このあとも、メールのタイトルから国会対応に追われていることがうかがえる。

佐川氏は、国会では変わらず、「記録はない」との答弁を続けた。

佐川宣寿理財局長(当時)衆院・財務金融委員会 2017年3月15日
「面会記録は残ってございません」

開示文書の中には国会の議事録も含まれていて、佐川氏が「記録が残っていない」と答えた部分には、誰かが驚きを示すマークを付けていた。

3月20日には、ふたたび佐川氏の指示が伝えられている。

財務省から近畿財務局へのメール
「局長からの指示により、調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示がありました」

俊夫さんは当初から改ざんに抵抗していた。俊夫さんが亡くなった後、弔問に訪れた統括官の話を録音した音声には…

近畿財務局・統括官(当時)
「改ざんというか、そこの部分が一番、赤木さんのところにかかわるところなんですけど、はじめから赤木さんは(改ざんに)抵抗していました。ずっとどんどんエスカレートする中で、それはもう耐えられない、正直、涙を流しながら抵抗していた」

「答えられないものがあるのか?」 妻の元にかえってきた赤木さんのノートの中身

今回、開示された文書の中には、妻・雅子さんが初めて目にするものがあった。財務省の職員から直接手渡されたのは俊夫さんのノートだった。

赤木俊夫さんの妻・雅子さん
「この字を見た瞬間、夫の字なんです。1995年6月18日に結婚したんです。(今月で)ちょうど30年なんですね。サプライズというか嬉しいなと思っています」

村瀬健介キャスター
「ある種のプレゼントみたいな感じも?」

妻・雅子さん
「帰ってきてくれたなと思います」

表紙には「AKAGI NOTE」「2017年4月14日」と書かれている。

この頃、俊夫さんは、国会対応と平行して、調査に入っていた会計検査院の対応に追われていた。ノートのほとんどが、会計検査院とのやりとりをメモしたものとみられる。

妻・雅子さん
「『8億は引きすぎで』・・・『指摘』・・・なんだろうな。『引きすぎと指摘』かな。『答えられないものがあるのか?』『裏があるのか?』これ聞かれたんですね。ハテナがついているから。検査の方に言われて」
 
村瀬キャスター
「詰められているんですね」

地中のゴミを理由に8億円値引きしたことは適正だったのか、繰り返し追及されている。

赤木さんのノート
「8億の減額は損害賠償に近い」
「損害賠償される可能性→エビデンス=『ない』」
「どういう手続があったのか再度確認してほしい」

検査を前に財務省は、近畿財務局に文書を取り除くよう指示するメールを送っている。

財務省から近畿財務局へのメール
「送付いただいた文書から不要なものを抜いております」
「検査院に対して提示する形をイメージしております」

これに対し、近畿財務局は・・・

近畿財務局から財務省へのメール
「会計検査院への説明は到底できない状況まで書類が削られています」
「送付文書を見る限り、現場としてご指示通りの処理はできません」

文書の廃棄・改ざんが、俊夫さんを追い詰めていった。

「僕は犯罪者なんだ」ノートには改ざん後の不安や葛藤が…

改ざんされた文書で会計検査院と向き合わざるを得なかった赤木俊夫さん。当時の手帳からは、激務が続いていたことがわかる。

妻・雅子さん
「『会計検査対応』って書いてます。『深夜1:15退庁』」
「(数日後にも)3時10分退庁とか」
「夫は(国有地の)売り払いのところは担当していなかったので。会計検査院が1回目うまくいかなかったことを家でも言ってた。『合格が出なかった』『不合格やった』って。『もう1回やらなあかん』って」

ノートには、改ざん後の俊夫さんの不安や葛藤が伺える記述もある。

赤木さんのノート
「刑訴法239条 何人も告発できる」

刑事訴訟法239条は、誰でも犯罪を告発でき、公務員には告発義務があると定めている。その隣には「刑法258条」。公文書毀棄罪は、3か月以上、7年以下の拘禁刑に処するというものだ。

妻・雅子さん
「訟務官(法務担当)と書いてると思うんですけど、相談してたんじゃないかなと思うんですけど。我が家でも『僕は犯罪者なんだ』としきりと言ってたので、捕まるんじゃないかという不安を抱いていたみたいです」

俊夫さんの笑顔が消え、ノートは2017年の6月23日で終わっている。

妻・雅子さん
「内示があった日なんですよ。その当時は(部署を)異動できることだけが1つの望みだったので『異動できると思うんだ』というようなことは言ってたんですけど、『結局無理やった…』って帰ってきたんですよね。そこで多分気持ちがもう折れて、(ノートが)終わっちゃっているんですよ」
「(ノートの)最後になれば最後になるほど、すごく字が乱れているので、気持ちがそれだけ辛かったというのがわかるのと、もっと寄り添ってあげられたんじゃないかなって…」

俊夫さんがパソコンに残していた手記には…

俊夫さんの手記より
「元は、すべて、佐川理財局長の指示です。抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るかずっと考えてきました。今の健康状態と体力では、この方法をとるしかありませんでした」

手記を残し、2018年3月7日、俊夫さんは自宅で亡くなった。

真相を知りたい妻に対し…「もう何年も前の話ですから」口を閉ざす当事者たち

夫の死の真相を知りたい。その一心で、妻・雅子さんはこの7年闘ってきた。一方で、関わった財務省の幹部はほとんどが昇進。当事者たちは今も口を閉ざし続けている。

近畿財務局の上司が、俊夫さんの弔問に来た際の音声がある。

近畿財務局 管財部長(2018年3月 当時)
「僕が言えるのは真実がうやむやになることはない。こんなこと言うたらあれですけど、トカゲの尻尾切りみたいなことは、財務省は絶対ないから俺らを信じてくれっていうのが、僕がせめて言える言葉」

「真実がうやむやになることはない」と語っていた上司に、話を聞こうとしたが…

Q.森友の問題について、当時の対応について教えていただきたいんですけども?
近畿財務局 元管財部長
「退職して時間も経つし、もう何年も前の話ですからね」

Q.過去のことだから覚えてないと仰るんですか?
近畿財務局 元管財部長
「誤解を招く可能性もあるし、私はもうお話しすることはございません」

別の元幹部にも話を聞こうとしたが、財務省を退職後、再任用されているため「広報を通してほしい」と伝えられた。

財務省からの回答は、「本件は財務省組織として対応していることから、取材をお受けすることは差し控えさせていただきます」というものだった。

雅子さんが国や佐川氏を訴えた裁判の法廷に、佐川氏は一度も姿を見せず、佐川氏個人の賠償責任は認められなかった。

当時を知る財務省の元幹部は…

財務省 元幹部
「(改ざんの)指示が官邸などから明確にあったかどうかは、佐川本人のみぞ知る世界です。今、口をつぐんでいる当事者たちが話し始めれば、見えなかったことが見えてくる可能性はあると思います」

妻・雅子さん
「こんなひどいことが起きていたのに捕まっていない。世の中こんな不条理なことがいっぱいなんだなって、いろんな場面で感じますけど。自分に置き換えて考えてほしい。特に(近畿)財務局・財務省の人に、そう感じています」

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