株主総会を終え、取材に応じるフジ・メディア・ホールディングスの清水賢治社長=25日午後、東京都港区 フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)が25日に開いた株主総会で、経営側が提案した取締役候補11人全員が選任された。「物言う株主」の米ファンドが提案した取締役候補は12人全員が否決された。元タレント中居正広氏の性加害問題をきっかけにガバナンス(企業統治)不全が露呈したフジは、新体制の下で改革を急ぐ。
新経営陣は再任に合わせて専務から昇格した清水賢治社長と、元ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら新任の10人で、全員が8割を超える信任を得た。清水氏は総会後、「生まれ変われるようにグループを挙げてまい進する」と再発防止に向けた決意を示した。
一方、フジHD株の7.5%を持つ大株主の米ダルトン・インベストメンツは、SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏ら12人を提案。フジHD側と委任状争奪戦を繰り広げたが、賛成率は最も高い候補でも3割に届かなかった。総会後にオンライン取材に応じたダルトンのジェームズ・ローゼンワルド最高投資責任者は「勝つとは思っていなかった」と説明。今後も株主として関与を続ける方針を示した。
総会には3000人以上の株主が出席。冒頭、退任が決まっていた金光修社長が「ご迷惑とご心配をおかけし、おわびする」と陳謝。清水氏は「企業風土・ガバナンス改革を遂行する」と表明した。これに対し、株主は質疑で相次いで不満を表明。午前10時に始まった総会は、終了まで約4時間半かかった。

フジ・メディア・ホールディングス(HD)の株主総会に向かう人たち=25日午前、東京都江東区

フジ・メディア・ホールディングス(右)とフジテレビの社旗