「まったく当たりません」7月5日に大震災、不穏な“予言”が世界に広まるも琉球ユタはきっぱり否定

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2025年06月29日 20:10  週刊女性PRIME

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琉球ユタのHALさん

 東日本大震災を著書で予言したという漫画家が、予知夢で今年の7月5日に日本で大震災が起こるのを見たと明かしていたことが国内外で話題に。その影響で、アジアからのインバウンドが減少しているとも報じられたこの予言を、琉球ユタの第一人者はどう解説するのかーー。

まったくの偶然がひとり歩きした

 2025年7月5日、日本列島を大災難が襲う─。巷で大きな話題を呼んでいるこの“予言”の発信元は漫画家のたつき諒氏。2011年3月の東日本大震災を言い当てたとされる人物だ。

 たつき氏はもともと予知夢を見ることが多く、彼女が綴っていた「夢日記」をもとに描いたというのが、1999年に出版した漫画『私が見た未来』。

 その表紙に「大災害は2011年3月」と書き、12年後の2011年3月11日に東日本大震災が起きたことで、“予言漫画”と一躍注目を集めた。

これはまったくの偶然がひとり歩きしたと思っています

 こう“予言”の噂を真っ向から否定するのは、琉球ユタ(沖縄県、奄美諸島の民間霊媒師=シャーマン。相談者の霊的な問題や、日々の生活の問題点についてアドバイスを行う)のHAL(はる)

 琉球王朝から続くユタ家系に生まれた最後の琉球ユタで、これまでに延べ20万人のカウンセリングを行ってきた実績を持つ。たつき氏が漫画に書いた日付については、

たつき先生の本の表紙に描かれた絵が偶然、東日本大震災の日付を当てたと思っています。実際、本の内容にも東日本大震災については一切触れられてません

 と指摘する。

 1999年の『私が見た未来』の出版を最後に、たつき氏は漫画家を引退。『私が見た未来』は、その後絶版となり、中古市場のオークションでは10万円を超え、一時は50万円もの高値がつけられた。

 ただし、たつき氏の“予言”を熱く支持していたのは一部のマニアに限った話。世間一般には、ひとつの都市伝説として認識されていた感がある。

 今回の騒動の発端となったのは、たつき氏が2021年10月に出版した『私が見た未来 完全版』。たつき氏は長い沈黙を経て、“予言”のもととなった夢日記を初公開し、予知夢について解説している。

 書籍では、自身が《サイババとの出会いで覚醒》したと証言。《本当の大災難は2025年7月にやってくる》《日本列島の太平洋側の1/3から1/4が津波にのみ込まれ……》《津波の高さは東日本の3倍はあろうかというほど》と記している。

 地震大国の日本に暮らす私たちは、常に地震の恐怖を身近に感じ生きてきた。いつ大地震が起こってもおかしくないと昔から言われ続け、その刷り込みは大きい。

 さらに今年1月、日本政府の地震調査委員会が南海トラフで30年以内に巨大地震が発生する確率を80%程度と発表したことで、大地震に対する危機感はより高まった。

 《南海トラフ地震の想定をはるかに超える壊滅的な大津波が襲う映像が日本列島を襲うのがみえた》とするたつき氏の予言は、不安をいやが応にもかき立てる。

人はネガティブな話題に強く興味を惹かれる

私のもとにも多くの人から予言についての質問をたくさんいただいています

 とHALは語りつつ、この騒動に釘を刺す。

「先に起こることを正確に言える人は大変少ないもの。それに私たちが生きる世界が経験を通して学ぶ世界なら、本当の賢者ほど先回りした予言などしないと思っています

 SNSが発達した現在は、噂はとりわけ拡散されやすい。実際SNS上には「7月5日」に関する投稿が後を絶たず、なかには来たるべきXデーに備え、《すでに避難した》《災害に向け準備している》などの発言も見られる。

 さらに、ユーチューバーを中心に、噂に便乗するケースも出没。「7月5日」の予言を謳い文句に危機感をあおり、イベントに高額な参加費を募る事例も発生している。

人は、ネガティブな話題や個人的な事柄に関する内容に、より強く興味を引かれるといわれています

 とHALはスピリチュアルに引かれる人々の心理について解説する。

「人は、その噂が自分と関連する事柄だと認識しないと、ほとんど興味を持つことはありません。けれど一度、ある特定のコミュニティーで話題になると、同じ価値観を持つ人同士の集団心理や個人的な思考が含まれて伝わり、そこで誇張され、歪められた内容が広がっていきます。

 科学的なデータであれば言い逃れはできませんが、今回のようなスピリチュアルなものは確固たるデータ資料がなく、多数の興味を引く噂話としてユーチューバーが動画に取り上げやすかったという背景もあると思います

 “予言”の噂は国内にとどまらず、海外へも波及している。たつき氏の漫画は中国語や韓国語にも翻訳され、アジアでも知る人は多い。とりわけ香港は風水を重んじる国民性に加え、人気ユーチューバーが発信したことで、噂が一気に拡散された。

「7月5日」を前に観光客の来日中止や延期が相次ぎ、飛行機の便数が減らされるという異例の事態も起きている。予言は臆測を呼び、噂は雪だるま式に膨らんでいる。もはや国を超えた社会現象といえよう。

「さまざまな臆測に振り回されそうになったら、まずは歴史を振り返ってください。物事には必ず規則的なループが存在しています。それは地球が絶えず自転しているから。例えば、歴史に残るような大地震や火山の噴火は、歴史をたどると、周期的に起きていることがわかります。

 私たちが住む地球が自転というループを繰り返している以上、人間も含め地球上で起こるあらゆる物事には周期が存在します。臆測については、まず歴史を振り返り、数字で表すことができるデータを収集するようにしましょう。

 単なる噂話からはデータを取ることができないはずです。データ化する作業をしていくと、自分にとって本当に必要な情報なのか自然と振り分けられるようになるでしょう」(HAL)

 予言に科学的な根拠は一切ない。気象庁も「現在の科学的知見では時期や場所、規模を特定した地震や噴火の予知はできない」と断言している。

予言ブームは繰り返される

 それでも「7月5日」が間近に迫った今、テレビをはじめメディアは盛んに“予言”を取り上げ、世間の関心は高まるばかり。

 今年5月には、刊行から3年半の時を経て『私が見た未来 完全版』の国内累計発行部数が100万部を突破。出版不況が叫ばれるなか、空前の大ヒットを果たしている。

 そして、6月27日より全国公開されるのが、映画『2025年7月5日午前4時18分』。都市伝説と科学、サスペンスが交錯する新感覚ホラーで、噂の予言漫画の映画化と話題に。ただし書籍の販売元の飛鳥新社は、

映画の内容については一切関知しておりません。映画タイトルが示す具体的な日時を著者が述べているわけではないことを強調させていただきます

 と声明を発表。事実、「4:18 AM」は、たつき氏が“予知夢”を見た時間を指し、この時刻に大災難が起こるとは明言されてはいない。

 これを受け、映画の公式サイトも《「7月5日に破滅的な災害が起こる」とネットを中心に広まっている噂をモチーフにしたオリジナルストーリーであり、たつき諒氏並びに同氏の著書とは一切の関係がございません》と謝罪文を掲載している。

 振り返れば、20世紀末の人類滅亡を予言したといわれる「ノストラダムスの大予言」をはじめ、終末予言はこれまでたびたび繰り返され、人々の不安をあおってきた。

 私たちはそれら予言の不確実性を知っているはず。それでも予言に振り回されてしまう、その理由をHALがこう語る。

「私たちは予言に何かを求める傾向はあると思います。特に今のように経済や世界情勢が混乱しているときは、不安の集団意識であふれています。なので、少しでも先を見ようとした結果、予言に振り回されてしまうことがあります。

 今回の予言について聞かれるたび、私は“まったく当たりません”と明言しています。それでも自分が生きている今の現実を壊したい、うまくいかない人生をリセットしたい、いずれこの世がなくなるなら今の苦しい人生を終えられる。そんなふうに思う人も実は結構多いのです。ですから予言ブームは繰り返されます

 「2025年7月5日」まであとわずか。巷を騒がす“予言”の結末は─。

7月5日の予言の日、HALが情報の検証を行う講演を開催。元TOCANA編集長でオカルト研究家の角由紀子氏との対談や、参加者とのQ&Aを予定。詳細はinfo.salonunei@gmail.comへ。

取材・文/小野寺悦子

このニュースに関するつぶやき

  • 惑星直列もグランドクロスもノストラさんも、なんも起こらなかったからなあ。 大騒ぎする予言程、外れると予言してみる^^
    • イイネ!7
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