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在日クルド人団体「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)が、協会の事務所周辺で行われてきたクルド人排斥などを主張するデモで名誉を傷つけられたなどとして、主催者を名乗る神奈川県在住の男性に対し、デモの禁止や550万円の損害賠償などを求めた裁判の第2回口頭弁論が2日、さいたま地裁(真辺朋子裁判長)で開かれた。
訴状などによると、男性は2023年9月以降に事務所周辺で少なくとも9回のデモを実施したとしている。
この日の意見陳述で協会側は、男性によるデモの影響について「デモやそれを撮影した動画がネット上に投稿・拡散され、クルド人への誹謗(ひぼう)中傷やヘイトスピーチが急増。多くのクルド人が日常生活に大きな支障をきたすようになった」と主張。事務所を移転しようとしても貸し出しを拒否されたり、事務所に人が集まれなくなったりするなど、活動に支障が出ているとした。
また、子供が学校でいじめにあったり、街中でクルド人を盗撮した画像がSNS(交流サイト)に投稿されて外出に不安を覚えたりするなど、「デモによって(クルド人が)日本で生活すること自体が困難になってきている」と訴えた。
男性側は「普通のデモ行進であり、届け出をしている」「『○○人は出て行け』などとは言っておらず、不法入国者に厳正な対処をとってほしいなどと言っている」として、ヘイトスピーチには当たらないと主張。男性の代理人弁護士は「(一部マスメディアや原告側弁護団から非難されている)真のマイノリティーである被告の表現の自由を守る」と語り、デモが表現の自由として憲法で保障された行為だと訴えた。
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デモを巡っては、協会側がヘイトスピーチだとして差し止めを求め、さいたま地裁が24年11月、事務所の半径600メートル内でのデモを禁止する仮処分命令を出した。【田原拓郎】
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