PwC Japanグループは2025年6月23日、「生成AIに関する実態調査2025春 5カ国比較」の結果を発表した。これは、世界5カ国(日本、米国、英国、ドイツ、中国)の、売上高500億円以上の企業に勤務する課長以上を対象に、生成AI(人工知能)の認知度や活用状況について調査した結果をまとめたもの。日本945人、米国670人、英国412人、ドイツ103人、中国512人から有効回答を得た。
●効果を感じていない企業は生成AIを単なるツールと見ている
調査結果によると、高い効果を上げている企業は、経営変革の目的を持った経営陣のリーダーシップの下で生成AIを中核プロセスに統合し、強固なガバナンス整備と全社的変革を進めていることが分かった。それに対して効果が期待を下回る企業では、生成AIを単なるツールとして断片的に導入していた。
日本を他国と比べると、生成AI活用の推進度は平均的であるものの、効果を感じている企業の割合は低い。「期待を上回る」と回答した日本企業の割合は米国や英国の4分の1(25%)、ドイツや中国の半分(50%)にとどまっている。PwCは「効果の格差は時間の経過とともに指数関数的に拡大するため、早急に手を打つ必要がある」としている。
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日本で「期待を上回る効果を上げている」という企業の割合は10%で、他国と比べると低い。ただし「期待を上回る効果を出している日本企業」に限ると、企業の目的意識や推進体制といった特徴は、5カ国の中で最も期待を上回ると回答した企業の割合が高い米国と同様だった。この点についてPwCは「日本でも、生成AIを活用して効果を上げる上で重要なことは他国と変わらない」と述べている。
期待を上回る効果を創出する企業が日本に少ない背景として、PwCは「合意形成重視」「ボトムアップ志向の意思決定スタイル」「失敗に過度な懸念を抱く企業文化」「低い目標設定とチャレンジ意識の欠如」があると分析している。
こうした背景を持つ日本企業にとって、成功企業のような構造改革を実現するには、トップダウンの意思決定や、リスク回避文化の緩和、高い目標設定と変革マインドの醸成が必要だと指摘している。
「現場の知識と業務感覚を持つミドルマネジメントが、経営の戦略的意図を的確にくみ取り、個々人の生成AI活用による成果を企業全体の価値創出に昇華させられれば、日本企業ならではの競争優位の源泉を築くことができるだろう」(PwC)
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