40代父、小学生息子のために「生理について女性に聞いてみた」 その結果?「男女ともに必要な知識」「夫にあげたい」

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2025年07月16日 07:20  まいどなニュース

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伊藤健介さんのZINE『生理について男にできること』表紙(Instagram動画より)

「“生理について男にできること”
本当に男性と生理は無関係なんでしょうか。
何も理解できず、何も助けになれないのでしょうか。
数人の女性に協力をいただき、考えながら、作っています」

【写真】人によって、生理の時の体調はさまざま!?

イラストレーター・グラフィックデザイナーの伊藤健介さん(@punchout)が手がけたZINEが注目を集めています。

ZINE(ジン)とは、個人や少人数で発行する自主的な出版物のこと。個人の思いや考えを表現するツールとして人気を集めており、形態や形式も自由。国内外でイベントや販売会などが開催されています。

伊藤さんが発刊した『生理について男にできること』は全16ページ。

「男が何か力になれることはないだろうか?
でも…
生理についてよく知らない
生理について聞いてもいいのかな
ネットで検索してもよくわからない」

「そこで、6人の親しい女性に聞いてみた
問1 生理の時、どんな症状がありますか?
問2 どんな風に対処していますか?
問3 身近な男性にどう対応してほしい?」

冒頭では、伊藤さんの自問自答を描き、続くページからは、伊藤さんがお話を聞いた6人の女性の回答をイラストで紹介していく構成に。

裏表紙は「男にできること あるのか? ないのか? どっちなんだ?」と読者に問いかける形で締められています。

これまでSNSでは、「生理ナプキンは1日1枚」「(CMで2日目でも安心という言葉から)ナプキンは2日間は使える」「生理の時期は自分で調整できる」「生理中は匂いがする」「生理痛はワガママ」など、男性と思われる人が誤った情報を発言して炎上することもしばしば。また、避難所で知識の欠落から、生理用品が足りない、不要品とみなされる事態になった話も。

そんななかでの制作のきっかけなど、伊藤さんにお話を聞いてみました。

小学生の息子にいつか生理の説明をしようと…

――なぜこのようなZINEを作ってみることに?

妻と結婚して一緒に生活していくうちに、彼女の体調や気分の波が激しいことを知って色々手助けしようと思いました。 

小学生の息子にいつか生理の説明をするべきだと考えていましたが、自分自身まだ理解が足りていないことに気づき、そのことを取材して本の形にすれば、息子だけでなく多くの男性にとって面白いものが作れるのではと考えました。 

――6人の女性に聞いてみた感想は? 

まずは僕に対して正直に話してくれたことで、信頼してもらっていると感じられたことが嬉しかったです。

症状も対処法もそれぞれ全然違うことがとても興味深く、よりたくさんの声を集めたらもっと面白そうだと思いました。 

中には「男性に対して何かして欲しいとは思わない」とか、「生理だと気づかれたくない」といった男性に気を遣っているような意見があったことに驚きました。その意見は尊重するべきだとは思いますが、心の中に「男性は生理に無関係」という前提があるかもしれないと感じています。 

――これまで、男性同士で生理について話したことは? 

ほとんどありません。このZINEを作ってからはほんの少し話しましたが、だいたいの男性は自分のパートナーの生理について少し知っているくらいで、ほとんど無知、あるいは無関心だと思いました。 

――制作していく上で良かったことや気づいたこと、また難しかった点は? 

女性から好意的な反応が多かったことはとても嬉しく思っています。身近な人たちと生理にまつわる問題について話し合えたのも大きな収穫でした。 

難しいとは感じませんでしたが、いかに「上から目線で説教するような調子を回避するか」には常に気を配っていました。作者の僕もわからないまま取材し、作っているという姿勢を見せようと心がけました。 

――ちなみに、小学校や中学校では男女分かれて性に関する話や学習がありましたか? 

はい、その経験はあります(80年生まれです)。でもなぜ男女別にされるかについて理解したのは大人になってからでした。そのくらい男性に対して何の説明もありませんでしたし、僕自身も無関心でした。 

――購入された方や読者の方からはどんな感想を? 

「パートナーに(パパにという声もありました)読ませてみたい」「男性がこのテーマで作ったことが素晴らしい」「辛い生理体験がユーモラスに表現されているのが良い」「学校などに置いてあったらいいと思う」などが印象に残っています。 

――今後もこういったZINEの制作を?

時間はかかりそうなのですが、「フェミニズム」にまつわるテーマや「有害な男らしさ」について何か作りたいと思っています。 

――「有害な男らしさ」、気になるワードです。

“男性らしくあれ”という強迫観念に追い詰められたり負けた気がして尊厳を失った男性が、自分より弱く恵まれている(ように見える)存在に対して攻撃的になることが、女性差別や性加害として現れているのではないか…と考えていて。話し始めると長くなるのですが笑。

今後も自身の気づきから発信していけたらいいなという希望をいつも持ち続けています。

◇   ◇

今回のZINEの告知をSNSに投稿すると、
「テーマ性もさることながら、デザインもすごくいい」
「教育現場にこそ持ち込んでほしい」
「夫にあげたい」
「女性の生理はタブーではなくて男女共に生きていく上で必要な知識です」
「理解があれば女性も男性も生きやすくなるはずです」
「女性でさえ生理について語れない人はたくさんいます」
「これ本気で全国で配ってほしいです。行政さーん!!!!」
「何の助けにもならなくても理解することが大事です」
といった声が寄せられており、おそらく女性の方々が多数賛同しているようです。

2021年に日本財団が行った『18歳意識調査「女性の生理」調査報告書』(※)によると、「生理に関する知識・理解」について、全国の17歳〜19歳の男性500人のうち17.8%が「十分な知識がある」と回答。さらに30.4%が「もっと知識を得たい」と感じている結果が出ています。

さらに「生理に関する知識」については、60.6%が「初めての生理(初経)は、およそ10歳から14歳までにはじまる」ことを認識しており、月経の周期についても55.0%が知っていたという結果に。

逆に最も認知度が低かったのが「月経の際に排出される経血の量は、1回の月経期間で20〜140g」の項目で、男性全体の70.6%が知らなかったようです。

そして、生理への見解として、61.0%が「男性も生理に関する知識がもっと必要だ」、57.2%が「男性にも、学校で生理について学ぶ機会がもっと提供されるべきだ」と回答。

若い世代では、全体的に生理に関して積極的に理解したいという意見が多く見られ、生理への理解が少しずつ進んでいることが伺えます。

男性が「もっと知りたい」「知らなければならない」と思っていることは、女性にとってとても心強いこと。伊藤さんが「お子さんのために説明したい」とZINEを制作した動機のように、小・中学校で学ぶ前やパートナーから教わる前に、家庭で伝えられることや学べることを一緒に探っていくのも良さそうです。

とはいえ、多くの男性にとってこれまで詳しく知るきっかけがなかったことも想像でき、かつて性教育が男女分かれて実施されていたように「生理に関することはタブー」と潜在的に刷り込まれている印象もあります。

お話を聞いて、伊藤さんのようにご自身が気づき、形にして世の中に発信・問うていくことが改めて大切だと感じました。性差関係なく、身体・健康に関する悩みや困りごとについてまずはお互いに知ることから。理解しあい、思いやりを持って接していきたいものです。

※参照
日本財団『18歳意識調査 第44回テーマ「女性の生理」調査報告書』
調査対象:全国の17歳〜19歳男女、1000名
実施機関:2021年12月10日〜15日
調査手法:インターネット調査

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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  • 正解はないはずなのに、なぜか正解を作って、違う主張をおかしいとする考えはダメでは?と思う>「男性に対して何かして欲しいとは思わない」「生理だと気づかれたくない」
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