
運転の不安、維持費の高さ、そして利用頻度の変化。今回は、マイカーとタクシーを比較しながら、シニアにとって最適な選択を考えてみましょう。
マイカーは便利。でも維持費と安全面を考えると慎重な検討が必要
マイカーは非常に便利な移動手段ですが、シニア世代にとっては、安全性やコストの面で見直しが必要になることもあります。ここでは、マイカーを持つことのメリット・デメリット、そして維持費の目安を整理してみましょう。マイカーを持つメリット
・いつでも自分のペースで移動できる・買い物や通院、家族の送迎にも使える
・慣れた車で運転できる安心感がある
マイカーを持つデメリット
・年齢とともに判断力や視力が低下し、運転に対する不安が増える・使用頻度が減っても維持費がかかる
マイカーにかかる年間維持費の目安(普通車の場合)
・保険料:約5万〜10万円・自動車税:約3万〜4万円
・車検費用:15万円前後(2年に1回)
・メンテナンス費:消耗品の交換や点検により変動
・駐車場代:地域差あり、都市部では月額1万円以上も
・ガソリン代:走行距離・燃費によって変動
これらを合計すると、年間30万〜50万円ほどかかることも珍しくありません。マイカーは確かに便利ですが、その便利さと引き換えに、かなりの費用がかかります。
ゆくゆくはタクシー派?メリットと注意点
マイカーを手放した後の移動手段として、タクシーを利用する人も増えています。ここでは、タクシーのメリット・デメリットと費用の目安を確認してみましょう。
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タクシー派のメリット
・運転の不安がなく、移動が快適・維持費がかからず、使った分だけ支払い
・雨の日や荷物が多い日も楽に移動
タクシー派のデメリット
・地方ではタクシーがつかまりにくいことも・頻繁に使うと、費用がかさむ
タクシー利用の費用目安(例:埼玉県エリア)
例えば、埼玉県のさいたま市や川口市などでは、・初乗り:1121mまで500円
・加算:236mごとに100円
距離別の目安料金は以下のとおりです。
・1km:500円
・2km:900円
・3km:1300円
・5km:2200円
片道3kmの通院を月2回(往復)利用した場合……
・1300円×4回=月5200円→年間6万2400円
このほかに、買い物やちょっとしたお出掛けに使う場合、年間の支出は10万円を超えることになりそうです。
「マイカーを持たず、タクシーを必要なときだけ使う」というスタイルは、運転に不安がある方にとって、安心かつ現実的な選択肢です。とはいえ、利用頻度が高い場合は、費用面とのバランスを見ることが大切です。
なお、多くの自治体では、高齢者の移動を支援する「タクシー助成制度」を実施している場合があります。通院や買い物といった日常の移動にタクシーを利用する際、料金の一部を補助してくれる仕組みです。
タクシーの利用を本格的に検討している方は、お住まいの自治体のホームページや窓口で詳細を確認してみましょう。上手に活用すれば、マイカーを手放した後も、安心して外出を楽しめるでしょう。
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車は「持つ」から「使い方を選ぶ」時代へ
シニア世代にとって、移動手段の見直しは「安心・安全・経済的」な暮らしにつながります。頻繁に運転するならマイカーも選択肢ですが、高齢になり免許を返納した後は、タクシーや公共交通機関の活用が現実的です。通院や買い物などの日常の移動には、タクシー助成制度など自治体の支援も活用できます。旅行や遠出を楽しみたい場合は、家族などに運転をお願いするなどの方法があります。暮らしの変化に合わせて、「自分にとってちょうどいい移動手段」を見つけることが、これからの快適なシニアライフにつながります。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))