
SNSでも話題に
投票所に到着し、投票用紙をもらって鉛筆で候補者名などを書く。つるつる、さらさら、もっちり、他では味わえない独特の滑らかな書き心地に、投票を終えたSNSユーザーからは「つるさらすぎる」「投票用紙っていいよね〜書き心地が」「あの紙ほしい!」「やみつきになる」といった投稿がされています。何やら普通の紙ではなさそうな投票用紙の正体はいったい何なのでしょうか。文房具やガジェット、革小物など小物系を中心に、さまざまな取材・執筆をこなすライターの納富廉邦さんにお聞きしました。
選挙に役立つさまざまな特徴を持った合成紙
――投票用紙はいったいどのような紙なのでしょうか?納富:投票用紙に使われているのは、王子油化合成紙研究所(現ユポ・コーポレーション)が作った「FPペーパー」(商品名「ユポ」)という合成紙です。特徴は水に強く、破れにくく、表面が滑らかなこと。また、軽いのも特徴です。投票用紙として使われているのは、フィルムに近い素材でできているため、折り曲げても、放っておくと勝手に開く特性があるためです。開票時、いちいち開く手間が省けます。また、鉛筆のノリがよいことも、投票用紙に使われている理由の1つ。大量に用意する必要から、軽さも重要なポイントになっています。
――なぜ投票用紙はつるつる滑るような書き心地なのでしょうか?
納富:ユポは、フィルムと紙の中間のような素材で、フィルムのようなつるつるした表面なのに、紙のようにしっかり書けます。クッション性があって滑りがよいので、鉛筆やシャープペンシルとの相性がいいですね。油性ボールペンや万年筆でも書けますが、インクが紙に染み込まないので、染料系水性インクだと乾かず、こすると消えてしまいます。
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納富:ユポには、さまざまな種類があるので、投票用紙と全く同じものが買えるかどうかは分かりませんが、耐水性のメモなど、ユポを使ったノートやメモ帳はいくつものメーカーから出ているので、苦労せず入手できます。有名なところでは、コクヨの「測量野帳(耐水タイプ)」や、オキナの「プロジェクト耐水メモ」などがあります。また、普通のコピー用紙のように、A4などの紙としても購入できます。
【納富廉邦プロフィール】
ライター。文房具やガジェット、革小物など小物系を中心に、さまざまな取材・執筆をこなす。『日経トレンディ』『ITmedia NEWS』などで連載中。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方を伝える。All About 男のこだわりグッズガイド。
(文:納富 廉邦)