10年愛されて130万台、「とろ雪かき氷器」が夏の風物詩になった理由

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2025年07月22日 06:10  ITmedia ビジネスオンライン

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とろ雪かき氷器“10年目の進化”

 「かき氷専門店で食べるような、“ふわとろ”食感のかき氷を自宅で手軽につくれる」として、人気の商品がある。家電や雑貨などを手掛けるドウシシャ(大阪市)の「電動ふわふわ とろ雪かき氷器」(以下、とろ雪かき氷器)だ。


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 2016年に発売を開始し、累計販売台数は2025年時点で130万台を突破。3月には、発売10年目を機にフルリニューアルした新モデルを投入し、こちらの売り上げも好調だ。


 「2万台売れればヒット」と言われている市場で、とろ雪かき氷器は初年度から10万台を突破した。なぜ、その後も売れ続けているのか。リニューアルした新モデルの特徴や、同社が考える人気の背景について、開発担当の川出洋司さんに話を聞いた。


●“ふわとろ”かき氷ブームにいち早く対応


 ドウシシャでは、1980年代から40年近く家庭用のかき氷器を手掛けている。現在は、かき氷器全体で10機種展開し、価格帯は1000円台から1万円超までと幅広い。


 とろ雪かき氷器の開発を進めていた2015年頃は、2013年に発売したクラシック形状の電動かき氷器が認知され始めた時期だった。それ以前は本体にキャラクターのイラストが描かれた、どちらかというと子どもがいる家庭向けの商品が主流だったという。価格は2000円台だった。


 そんな中、国内では台湾風かき氷専門店が上陸するなど、“ふわとろ”食感のかき氷に注目が集まりつつあった。そこで、従来の屋台で食べるようなジャリジャリ食感のかき氷だけでなく、ふわとろ食感のかき氷を自宅で楽しめる商品として発売したのが、とろ雪かき氷器だ。


 大々的なプロモーションは実施していなかったが、かき氷専門店の台頭による世の中のニーズにいち早く対応したことで、初年度の販売台数は10万台を超えた。


●ゼロから設計を見直したフルリニューアル


 とろ雪かき氷器は発売以来、顧客の要望に応えながら、これまでに5回の改良を行ってきた。しかし、大幅に設計を見直すような変更はできていなかった。そこで2025年のフルリニューアルでは、長年寄せられた要望を反映し、使い勝手をさらに向上させた。


 大きなポイントは、「収納性」と「操作性」の向上だ。新商品では、旧モデルでは難しかったコンパクト設計を実現した。デザインを大幅にリニューアルし、本体を分離したことで収納時のサイズを約半分に抑えた。


 操作性については、氷を削る5段階の調節をより簡単にできるよう改良した。氷の食感を決める刃の高さ調節ダイヤルは、従来の約1.6倍となる直径約3.7センチに拡大。また、モーターの回転速度を60%遅くすることで、従来製品よりも氷の食感をより細かく調節できるようにした。


 その他、モーターを横に設置することで台座を広く取り、氷を器に盛りつけやすくした。電源スイッチは、一度押すと連続で削れる仕様に変更。また、モーターの回転速度も見直し、氷が一気に出ないよう調整している。


 ラインアップについては、通常版のほか、2024年より発売しているスティックタイプ、さらに10年目にして初の手動タイプを発売。新商品では、家庭用バラ氷や冷凍フルーツにも対応しており、電動・手動の両タイプをそろえ、手で回す感触も楽しめる仕様とした。


●ヒットの要因は市場ニーズへの対応


 発売から約10年で130万台を超えるヒット商品となった「とろ雪かき氷器」だが、その理由はどこにあるのか。


 川出さんは「市場のニーズを的確に捉え、企画・開発を積み重ねてきたことが、ヒットにつながったのではないか」と分析している。また「家庭用かき氷器メーカーとして、四半世紀にわたってものづくりを続けている。日本の夏の風物詩であるかき氷文化を守り、時代に合ったかき氷器を提供し続けることが使命だと感じている」とのことだ。


 今後についても、かき氷店での調査やSNSでの話題なども参考にしながら、市場ニーズを的確に捉え、商品開発に反映していく方針だ。とろ雪かき氷器がどのように進化していくのか、引き続き注目したい。


(熊谷ショウコ)



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  • 自分の語彙に無い表現だったので、黒っぽい写真とともに「泥雪かき氷」って何食ってんだと不安になった。
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