「消費減税」も「給付」も両方実現しない可能性も… 参議院選挙後の政策決定枠組み見えず【news23】

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2025年07月23日 13:56  TBS NEWS DIG

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参院選で最大の争点に上がっていた物価高への対策について。与党は「現金給付」、野党側は「消費税の減税」を掲げていましたが、与党の大敗によって、こうした公約が両方とも「実現しない」可能性も出てきました。

【CGを見る】野党各党の減税案

“石破おろし”加速 村上総務大臣は擁護で涙

“与党惨敗”を喫した参議院選挙後、初の閣議。その後の会見で村上総務大臣は、石破総理を庇う思いが溢れ出ました。

村上誠一郎 総務大臣
「(石破総理を)横で見ていてね、本当にね、大変だなと思いました。選挙の結果がこうなるとね、皆さんの不満は本当によく分かる。だけど今までのいろんな負の遺産を背負いながらここまでやってきたことに対してはね、私は石破さんだからここまでやってこれたと心底思っているので」

一方、小泉農水大臣からは..

小泉進次郎農水大臣
「『比較第一党』という表現を総理も幹事長もされてますけども、私はむしろそこに胸を張るのではなくて、目標としていた50(議席)、この過半数を達成しなければいけないという目標を達成できなかったことを重く受け止めるべきだ」

21日、正式に続投を表明した石破総理ですが、自民党内で“石破おろし”の動きが加速しています。

22日に開かれた自民党・石川県連の会合。出席した議員は…

自民党 佐々木紀 衆院議員
「石破総理が続投を表明されたんだけれども、私はやはり(総理は)辞任をして、党員に信を問うべきだと。総裁選をすべきではないかと(意見を述べた)」

SNS上でも自民党議員から…

自民党 山田宏 参院議員のXより
「選挙大敗の責任を総理が速やかに取ることが先だ」

自民党 鈴木英敬 衆院議員のXより
「投票した国民を軽視するということと同じではないか」

給付?減税?少数与党で物価高対策はどうなる?

対する野党は、選挙の争点だった物価高対策について…

立憲民主党 野田佳彦 代表
「ガソリン税の暫定税率法案、野党間の協議を早速始めなければいけない」

まずは選挙前に廃案となった、ガソリン税に1Lあたり25.1円が上乗せされている「暫定税率」の廃止に取り組む考えを示しました。

ただ、見通しが立たないのは「消費税減税」です。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「消費税の減税に関してはいずれにしても時間がかかりますので、野党間でもよく話をしてみることが必要なのかなと」

野党の中でも減税幅などに主張の隔たりがあり、一致点が見出しづらくなっているのです。

一方、衆参両院で少数となった与党は、持論の「現金給付」の実現が厳しい状況に。街では…

20代男性
「(両方できないのは)ダメですね。どっちかはやってほしい。貰えなかったら(投票したのが)意味ないなと思っちゃう」

20代男性
「全く白紙になっちゃうのはすごく残念なので、何かしら、なくなるにしても相当な根拠付けをしてもらいたい」

求められるのは「減税」か「給付」か。

減税派・30代女性
「給付金は一時的な感じがして、減税だとずっと引かれるので、そっちのほうが助かる。(消費税)5%とかぐらいだったら助かりますね」

給付派・60代男性
「リタイアして収入がないので、現金をもらった方が嬉しい。手っ取り早いというか」

給付派・30代女性
「手元にすぐお金が貰える方が有効活用ができるのかなと。(消費税)減税はちょっと厳しいんじゃないか。政策として実現するのは難しいかなと思って」

減税派・20代女性
「一時的な保証よりも長い目で見たときの保証をしてもらえたら、もっと生活しやすくなる人が多いんじゃないかなと」

「減税」か「給付」か、その行方はどうなるのでしょうか。

石破総理 岸田・菅・麻生氏の歴代総理と面会へ

小川彩佳キャスター:
石破総理は23日、岸田前総理ら歴代の自民党総理と面会する方向で調整しているということです。どういった流れなのでしょうか。

TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
石破総理側からの呼びかけということですが、「今回、選挙で負けたけれども続投する」ということを歴代総理に説明して理解を得たいとみられます。

ただ、これは野党側からも注目されていて、ある野党関係者は「石破総理にとって相当の賭けだ。理解してもらえればいいが、失敗したらどうするんだろう」と語っています。面会するのは歴代総理経験者ですから、総理を辞める決断の重さは重々わかっているわけです。しかし「この状況で続けていいのか」「自民党はこれで大丈夫か」という何らかの疑問や話が出る可能性はあります。

藤森祥平キャスター:
続投を容認するのでしょうか。

岩田政治部長:
すんなりと容認するのか、あるいは何らかの条件やアドバイスをするのか。非常に注目の会談になりそうです。

小川キャスター:
諸刃の剣となりうるこの会談ですが、今回の参院選の結果も含めてどうご覧になっていますか。

小説家 真山仁さん:
「与党大敗」と言われていますが、正直、私は思ったより獲得したと思っています。過半数に3議席足りないだけですよね。

基本的な話ですが、民主主義は多数決です。つまり、たくさん国民から付託を受けるとたくさん議席が獲得できる。それが第一党の自民党であり、野党第一党の立憲民主党です。与党側は確かに負けはしましたが、自信がないのにたくさん票を得たことが一番の問題。

比較第一党などと回りくどいことは言わないで、自信を持って「我々はこういうことを進めるんだ。それを多くの国民が支持してくれたんだ」と最初のカードを彼らが切らないと、野党に対して「あなたたちは何がしたいの?」と言うのは私は絶対に間違っていると思う。もしこういった毅然とした態度ができないのであれば、やめた方がいいと思います。

物価高対策「消費税減税」「給付」実現する?

藤森キャスター:
いずれにしても選挙は終わりましたので、とにかく政策を前に進めてほしいですよね。特に物価高対策を実現できる可能性について評価していただきました。

まず、「ガソリン税」は〇がついていて、「現金給付」「消費税減税」は△です。

岩田政治部長:
まずガソリン税は、野党7党が6月に提出した暫定税率廃止法案が衆議院を通過しました。しかし、参議院では野党が少なかったため廃案になってしまった。

ただ、今回の選挙で参議院も野党が多数を占めるようになったので、8月1日に臨時国会召集される見込みですが、その会期を決められるのも野党です。会期をある程度長く取り、野党が協力できればガソリンの税率を下げることが可能な状況にはあります。

藤森キャスター:
ガソリン税はそうなるかもしれませんが、給付も減税も△の評価というのは…

岩田政治部長:
まず現金給付ですが、これは自民・公明が掲げてしました。今回、その自公が敗れたので、すんなりとはいきません。立憲民主党が一部「給付も」と言っていましたが、立憲民主党はあくまで食料品の消費税をゼロにするための給付を訴えていたので、「給付だけやれ」と言っても無理だという話になるので、厳しい状況です。

藤森キャスター:
では、消費税減税は?

岩田政治部長:
有権者は「給付」か「減税」のどちらか、という中で、消費税減税に入れた方が多かったため、今回野党が過半数を取ったわけです。有権者からすると「だったら消費税減税してもらわないと」となるのですが、各党によって言っていることが違います。「食料品だけ」「一律5%」「0%」など、それぞれ主張が違う中で、野党が話し合って1つの案を作れるなら消費税減税はできるかもしれません。しかし、まとまらなかった場合は、どれも実現しないことになりかねない難しい状況です。

藤森キャスター:
誰がリーダーになるかですよね。

真山仁さん:
あとは財源の問題もありますよね。みんなで話し合うムードがなく、自分たちだけが与党にすり寄って得したいと思っているような気配もあるじゃないですか。結局、国民そっちのけで誰がハンドルを握れるかということを争っているのであれば選挙前と変わらない、最悪の事態になりかねない。

小川キャスター:
誰かがハンドルを握らないとまとまらない中で、どなたかがリーダーシップを取れるのでしょうか。

岩田政治部長:
1つは野党第一党である立憲民主党の野田代表です。野田代表がリーダーシップを持って、みんなでまとまっていこうということができるのかどうか。

その布石になり得るのが、ガソリン税です。ガソリンの暫定税率を野党みんなで協力して衆議院も参議院も通し、「野党で協力すればできる」という実績を作って、消費税減税などの難しい問題もやっていこうというムードに繋げていけるのかどうかなのですが、実際はバラバラで難しい。

藤森キャスター:
特に今回の選挙で勢いづいたのは国民民主党や参政党です。立憲民主党がリーダーシップを取れるかどうか。

岩田政治部長:
参議院選挙の結果だけを見たら、どちらかといえば国民民主党の方が躍進をしていますが、玉木代表が他の野党に対して「今回躍進したからうちが引っ張っていくよ」と言えるかどうか。数の面では衆議院でも立憲民主党が大きいので、その中で国民がどれだけ存在感を示せるかというと、まだわからない。

小川キャスター:
でも、ここで漂流してしまうと有権者としては何のための選挙だったのかということになりますね。

真山仁さん:
躍進したのは事実ですが、結果的に立憲民主党が一番議席を獲得しています。総理経験者である野田代表がリーダーシップを取るしかないのですが、なぜか立憲民主党はすごく弱腰。当選者が少ない政党が元気なのは、与党と組めたら結果的に次の選挙でもっと勝てるかもしれないという思惑がある。結局、国民はどこにいっているのかということが逆に強くなってしまって、ないがしろにされるなら何もしない方がいいのではないかというのは最悪の状況ですが、何となくそんな気配はないですか。

小川キャスター:
総理も「政治を漂流させない」とおっしゃっていましたが、これだとかえって漂流を生むということになりかねないですよね。

岩田政治部長:
最大の争点だったはずのテーマがどちらもできなくなってしまったら、政治自体に対して「なんなの」と有権者は思ってしまいますよね。

真山仁さん:
投票する人がどんどん減っていきます。「参議院はいらない」という人も出てくるかもしれない。だから与党と野党の第一党はもっと毅然として、自分たちが先頭に立って政策を交渉する場に行って欲しいです。

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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当

真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」

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このニュースに関するつぶやき

  • ほら思ったとおり。公約は破るために掲げていることが分かる。投票しないで正解だったわ。
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