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2025年07月24日 12:21 ITmedia PC USER
レノボ・ジャパンのゲーミングPCブランド「Lenovo LOQ(レノボ ロック)」から、2025年モデルが登場した。
同社のゲーミングPCには「Lenovo Legion(レノボ レギオン)」もあるが、LOQは一般コンシューマーPC「Idea」ブランドのゲーミングモデル「Idea Gaming」をルーツに持つ。Legionがミドルレンジ〜ハイエンドを担うのに対して、LOQはエントリー〜ミドルレンジを担うという“すみ分け”がなされている。
この7月に発売された15.6型ノートPC「Lenovo LOQ 15IRX10」は、NVIDIAの最新世代「GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズ」を搭載することでグラフィックス環境をより快適にしたことが特徴だ。直販限定のカスタマイズ(CTO)モデルの最小構成価格は15万5870円からと、新しいGPUを使ったゲーミングノートPCとしては手頃な価格も実現している。
今回、「Core i7-14700HX/GeForce RTX 5060 Laptop GPU」構成のLOQ 15IRX10を借用してレビューする機会を得た。モデル番号は「83JE00E8JP」だが、7月24日現在において本モデルは販売されていない。CTOモデルをほぼ同等構成(※1)にすると、標準直販価格は20万3060円となる。ゲーミングノートPCとしては、結構安い。
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果たして実力はどうなのか、試していこう。
(※1)レビュー機はメモリが24GB(8GB+16GB)という構成だが、CTOモデルでは選べない。CTOモデルの場合、メモリは「16GB(8GB×2)」か「32GB(16GB×2)」の2択となる
●基本仕様と外観をチェック!
各種テストをする前に、今回レビューするLOQ 15IRX10(83JE00E8JP)の仕様と外観をチェックしていこう。
CPUの「Core i7-14700HX」は、Core HXプロセッサ(第14世代)の上から2番目のモデルだ。世代的には1つ前とはなるものの、Pコア(パフォーマンス)コアは8基16スレッドで最大5.5GHz、Eコアは12基12スレッドで最大3.9GHz駆動と、ノートPCとしては一線級の高パフォーマンスであることには変わりない。
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メインメモリはDDR5-4800規格で、本モデルの搭載容量は24GB(8GB+16GB)となる。ただし先の注釈で述べた通り、CTOモデルではこの構成を選択できず、16GB(8GB×2)か32GB(16GB×2)の2択だ。
ストレージは高速なPCI Express 4.0 x4接続のSSDで、本モデルでは1TBのモジュールを備えている。CTOモデルの場合は、容量を512GBか1TBから選択可能だ。
外部GPUはGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズで、本モデルでは先述の通り「GeForce RTX 5060 Laptop GPU」を備えている。グラフィックスメモリ容量は8GBで、最新世代のGPUなので超解像/フレーム生成技術である「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」は最新バージョン(DLSS 4)を利用可能だ。
なお、CTOモデルでは下位モデルである「GeForce RTX 5050 Laptop GPU」も選択可能だ。
ディスプレイはフルHD(1920×1080ピクセル)解像度の15.6型液晶を搭載している。アンチグレア(非光沢)加工で、ゲーミングノートPCらしくリフレッシュレートは最大144Hzとなっている。sRGBカバー率も100%と、色再現性も良好だ。
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外部接続端子は背面にUSB 3.2 Gen 1(USB 3.0/USB 5Gbps) Standard-A端子×2、HDMI出力端子、有線LAN(1000BASE-T)端子と電源端子を、右側面にUSB 3.2 Gen 2(USB 3.1/USB 10Gbps) Type-C端子、イヤフォン/マイクと端子とUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子を備えている。
本機を持ち出す頻度が少なく、デスクトップPCに近い使い方をするのであれば、同じく外付けHDDなど「持ち出さない周辺機器」は背面側に接続することで、PC回りのケーブルをスッキリと見せることが可能だ。
キーボードは日本語配列で、テンキーも備えている。キーとキーの間にフレームのあるアイソレーション式で、キーピッチも広めだ。IdeaPad Gamingシリーズの後継モデルということもあり、基本的には「IdeaPadのキーボード」だと考えればいい。ゲーミングモデルを含めて、IdeaPadシリーズを使ったことがある人なら、特に違和感なく使えるだろう。
キートップは、中央部にかけ緩やかに湾曲した形状となっている。キーを押し下げた時のフィット感もよく、RGBイルミネーション機能こそないものの、キーボードバックライトは備えている。トラックパッドも大型で、2本指や3本指でのジェスチャー操作も行いやすい。
外観はゲーミングモデルながらシンプルだ。天板に大きな「LOQ」のロゴこそ入っているものの、派手なイルミネーション機能などはない。
ボディーカラーは「ルナグレー」のみとなる。カラーリングには金属感があり、金属素材などは使われていないものの、安っぽさは全く感じない。
また、同社のノートPCでおなじみの、Webカメラやマイク部分がふくらんだ「コミュニケーションバー」は、LOQ 15IRX10でも採用されている。ディスプレイを閉じた状態から開く際の指のかかりもよくなり、外観のワンポイントとしての緩急だけでなく、使い勝手にも貢献している。
本機のACアダプターは、最大245W出力のものが付属する。さすがに出力が出力なので、サイズは大きい。
CTOモデルの場合、よりコンパクトな最大170W出力のACアダプターも選択できる。ただ、CPUや外部GPUのパフォーマンスを重視する場合は、245W出力をお勧めする。
●ベンチマークテストで性能をチェック!
ここからは各種ベンチマークテストを通してLOQ 15IRX10(83JE00E8JP)の性能をチェックしていく。
今回は、Windowsの電力設定は「バランス」を選択した状態でテストを行っている。Windows Updateやドライバ/ソフトウェアの更新などは実施しているが、ほぼ購入後の「素の状態」での性能だと思ってくださって構わない。
また今回は比較用として、本機と同じGeForce RTX 5060 Laptop GPUを搭載する「ASUS TUF Gaming A16(2025)」と、1世代前の同一グレードGPU「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載する「ASUS TUF Gaming A14(2024)」のスコアも掲載する。
CINEBENCH R23
3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りだ。
・シングルコア
・Lenovo LOQ 15IRX10:2089ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1767ポイント
・TUF Gaming A14 2024:2026ポイント
マルチコア
・Lenovo LOQ 15IRX10:2万1238ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1万6686ポイント
・TUF Gaming A14 2024:2万2532ポイント
前世代のCPUとはいえ、レビュー機のCPUは最大動作クロックが高く、スレッド数も多い。ゆえに、競合のAMDの最新世代CPUを搭載するモデルと同等か上回るスコアを記録した。
ゲームも含め、普段のPC利用で全コアを100%まで使うシーンは少ない。しかし、購入候補のPCを比較した際にCPUが「旧世代」「前モデル」ということは、気にしないでいいだろう。
PCMark 10
続けて、PCの総合ベンチマークテスト「PCMark 10」の総合スコアを見てみよう。
・Lenovo LOQ 15IRX10:7348ポイント
・TUF Gaming A16 2025:7585ポイント
・TUF Gaming A14 2024:7946ポイント
PCMark 10のテスト内容はブラウジングやドキュメント製作、簡単な画像編集やビデオ会議といった“普通のPC利用”を想定している。高性能なCPU/GPUを搭載していても、その性能をフルに発揮させるまでの負荷はかかりづらい。そのこともあり、結果はほぼ横並びだ。
一般的なビジネスノートPCやモバイルノートPCでは、スコアが5000〜6000台を記録することが多い。それよりスコアが高いのは、外部GPUによって動画の再生や画像の編集がいくらか快適に動作する点が評価されたことが大きい。
ゲーム以外の負荷の重い作業も行う予定があるのであれば、この結果を参考に「高性能なゲーミングノートPCを選ぶ」ことを検討するのも、ポジティブな考え方だ。
3DMark
3Dグラフィックスベンチマークにおける定番「3DMark」で主要なテストを実行してみよう。今回は、DirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズ、DirectX 11をテストする「Fire Strike」と、レイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。総合スコアは以下の通りだ。
・Time Spy
・Lenovo LOQ 15IRX10:1万1347ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1万1087ポイント
・TUF Gaming A14 2024:9171ポイント
Time Spy Extreme
・Lenovo LOQ 15IRX10:5304ポイント
・TUF Gaming A16 2025:5346ポイント
・TUF Gaming A14 2024:4611ポイント
Fire Strike
・Lenovo LOQ 15IRX10:2万5596ポイント
・TUF Gaming A16 2025:2万7593ポイント
・TUF Gaming A14 2024:2万1846ポイント
Fire Strile Extreme
・Lenovo LOQ 15IRX10:1万3642ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1万3290ポイント
・TUF Gaming A14 2024:1万934ポイント
Fire Strike Ultra
・Lenovo LOQ 15IRX10:6887ポイント
・TUF Gaming A16 2025:6988ポイント
・TUF Gaming A14 2024:5591ポイント
Port Royal
・Lenovo LOQ 15IRX10:6977ポイント
・TUF Gaming A16 2025:7000ポイント
・TUF Gaming A14 2024:5306ポイント
同じ外部GPUを搭載するTUF Gaming A16と比べると、ほぼ同一のスコアとなっている。差があってもわずかだ。一方で、前世代の外部GPUを搭載するTUF Gaming A14との差は、やや大きめだ。
たったの“1世代”でも、これだけの性能差が出るとなれば、販売価格に驚くほどの差がない限りはGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズを搭載したモデルを買った方がいいだろう。
余談だが、比較に用いたTUF Gaming A16では、GPUのTGP(Total Graphics Power:ブースト時の最大消費電力)を115Wに設定している。これはGeForce RTX 5060 Laptop GPU搭載モデルとしてはかなり“高め”だ。言い方を変えると、同GPU搭載モデルの多くはこれよりもTGP(≒性能)を抑制していることになる。
Lenovo LOQ 15IRX10におけるTGPは非公開だが、3DMarkのスコアを見る限りはTUF Gaming A16に近い設定になっていると考えられる。GeForce RTX 5060 Laptop GPUの性能を余すことなく使える1台になっているといっていいだろう。
FF14/FF15ベンチマーク
では、実際のゲームをベースとするベンチマークテストはどうだろうか。「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー(FF14)」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION(FF15)」のベンチマークアプリを試してみよう。
FF14はMMORPGの定番ソフトでもあり、ゲーミングPCで何かしらのMMORPGを遊びたいとなれば、テスト結果は分かりやすい指標になる。FF15は同じファイナルファンタジーでも、スタンドアロンでプレイする従来タイプのRPGだ。発売から年数は経過しているが、今でも国産タイトルとしては重たいゲームに分類されるため、据え置きゲーム機とPCの双方で発売されるゲームタイトルを遊ぶ際の指標になる。
どちらも解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)、グラフィックス設定は最も高い設定にしてテストを行った。結果は以下の通りだ。
・FF14ベンチマーク
・Lenovo LOQ 15IRX10:1万5705ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1万5198ポイント
・TUF Gaming A14 2024:1万4018ポイント
FF15ベンチマーク
・Lenovo LOQ 15IRX10:1万1200ポイント
・TUF Gaming A16 2025:1万1050ポイント
・TUF Gaming A14 2024:8240ポイント
テスト結果としては、3DMarkに近い傾向だ。いずれのタイトルでも僅差ではあるが、LOQ 15IRX10が最も良好なテスト結果を記録している。
元々、どちらのタイトルも「Intel CPUが有利」とも言われている。そのため、プラットフォーム(CPU)の差が結果につながった可能性はあるが、やはり「前世代のCPU」であることを加味しても、これだけの好成績を出すのであればLenovo LOQ 15IRX10がコストパフォーマンスに優れた1台と評価できるだろう。
重量級ゲームタイトルも大丈夫?
実際にゲーミングノートPCを選ぶ人は、据え置きゲーム機の代わりに導入することを考えていることが多い。据え置きゲーム機向けの注目度の高いタイトルは、多くがPC向けにも用意されている。
そこで今回は「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークを実行し、重量級ゲームがどこまで動くのかの確認を行ってみよう。設定だが、ゲーム解像度は「フルHD(1920×1080ピクセル)」、画質設定は「中」、DLSSによるフレーム生成を有効にして計測を行った。
結果は以下の通りだ。
・スコア:2万516ポイント
・平均フレームレート:119.75fps
画質設定は「高」「ウルトラ」と、さらに上に二段階の設定があるのだが、本機でこれらの設定を選ぼうとすると「ビデオ(グラフィックス)メモリが不足する可能性がある」と警告が出てしまう。
事実、設定を変えてテストを行うと途中で止まってしまうこともあった。本機でモンスターハンターワイルズを遊ぶのであれば、お勧め通りに中設定で遊ぶのがベストだろう。
その上で結果を見ていくと、特に平均フレームレートでは多くの据え置きゲーム機の上限である60fpsの2倍近い、ほぼ120fpsを記録している。いわゆる「なめらかな動き」を体験することは可能だ。
画質を中にすると、一部のシーンではグラフィックのテクスチャや精細さが物足りなく感じることもある。しかし、本機の15.6型ディスプレイを見て遊ぶ限りであれば、そこまで気になることはないだろう。
時間の都合で、他のゲームタイトルまで試すことができなかったのだが、同じGPUを搭載するゲーミングノートPCと同じような結果を記録しているため、フルHD解像度でフレーム生成を有効にすれば、多くの重量級ゲームタイトルも十分に遊べる性能を備えているといっていいだろう。
●レノボオリジナルアプリも充実
ゲーミングPCは「ゲームも動かせるだけの性能を持ったPC」の総称だ。高性能なパーツで組み上げた自作PCも、ある意味では「ゲーミングPC」といえる。
だが、メーカー製のゲーミングPCならではの体験も見逃せない。
その1つが、まずは独自アプリ「Legion Space」だ。上位ブランドとなるLegionの名を冠しているが、レノボのゲームPCに共通のポータルアプリとなる。
Legion Spaceで特に便利なのが、インストールされたゲームタイトルをライブラリとしてまとめてくれる「ランチャー機能」。ゲームの購入元やインストールソースが異なる場合でも、まとめてライブラリ化してくれるのはありがたい。
PCで色々なゲームで遊ぶようになると、「デスクトップに複数のゲームのショートカットが並んでいて散らかってしまう」「遊びたいゲームをどこで買ったか思い出せず、ゲームストアのアプリを立ち上げ探す」といった面倒なことが起こりやすい。「遊びたいゲームにすぐにたどり着ける」という観点で、この手のランチャーはとても助かる。
PC全体の設定変更やアップデートは、レノボ製のコンシューマー向けPC共通のユーティリティーアプリ「Lenovo Vantage」を用いる。
Lenovo Vantageではさまざまな設定を行えるのだが、本機を据え置き中心で使う場合は「バッテリー充電の上限値」の設定を行っておくことをお勧めしたい。内蔵バッテリーの劣化を抑えることができるからだ。
この設定は最近でこそ当たり前の機能の1つなのだが、高額なゲーミングノートPCだからこそ、少しでもトラブルを減らし長く使えるよう設定できるのはユーザー目線でもうれしい。
また、Lenovo Vantageからは内蔵マイクのノイズキャンセリング設定も行える。ゲーム中、ボイスチャットでマイクを使う機会は多いだろうし、日中は仕事でビデオ会議にも本機を使うことは十分に考えられるため、ノイズキャンセリングで余計な音を抑えて通話できるのはありがたい。
それ以外にも“自分の使い方”に合わせた設定変更を、多数行うことができるため、Lenovo Vantageは必ず利用し、カスタマイズしていくべきだ。
●ゲーミングノートPCの入門機としてお勧めの1台
Lenovo LOQ 15IRX10の今回試した構成は、CTOでほぼ同じ構成にすると20万3060円で、メモリを倍の32GBにした場合も22万5060円となる。これでも価格に対する満足度の高さは十分に高いが、セールイベントを狙えばもっと手頃な価格で入手可能だ。
搭載されているGeForce RTX 5060 Laptop GPUの位置付けを考えると、一昔前であればエントリークラスのゲーミングノートPC……なのだが、ここ数年の値上げトレンドの影響もあり、同様の構成でより高価なゲーミングノートPCは珍しくない。
筆者も実際に「予算は20万円以内、できれば10万円台中盤で……」と相談を受けることも多いのだが、その価格帯ではオススメできるモデルが少なく、最近は「もう少し、予算を」と回答することが増えた。
その点、LOQ 15IRX10は最小構成で16万円弱から購入できる。今回の構成と似たCTOモデルでも22.5万円程度となれば、「お買得で、満足度も高い」とお勧めしやすい。
テスト結果の通り、今回の構成なら多くのゲームを遊ぶには十分な性能を備えている。普段使いのPCとしても満足でき、USBポートの数など周辺機器をつなぐ拡張性にも富んでいるため、総じて取り回しのしやすいことも評価したい。
性能、価格、どちらも他の製品と比べる際のベンチマーカー的存在として、要チェックの1台だ。
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