『昭和ガメラ映画祭』開催決定 (C)KADOKAWA 1965年(昭和40年)11月27日に怪獣映画『大怪獣ガメラ』(大映)が公開され、大ヒット。その後もシリーズが続き昭和には計8作品が公開され、平成には映画が4作品公開、2023年にはアニメ化されるなど、今もガメラは国内外のファンを魅了し続けている。生誕60周年となる今年「ガメラの新たな魅力の発見!」をスローガンに『ガメラ生誕60周年プロジェクト』がスタート。今年から来年にかけ、多くの企画・イベントなどが進行中となっている。『ガメラ生誕誕60周年プロジェクト』の特報も到着。昭和のガメラシリーズから平成ガメラ、そしてアニメ作品まで、劇中で大活躍するガメラの映像を使用したスペシャルムービーとなっている。
【写真】合成がない時代に創意工夫された特撮作品の『大怪獣ガメラ』
今年2025年、昭和・平成・令和の三時代にわたって愛され続けてきた大怪獣「ガメラ」が誕生60周年を迎えた。ガメラは、1965年に大映が世に送り出した怪獣映画『大怪獣ガメラ』で初登場。北極の氷から出現し、日本各地を襲いながらも、やがて“子どもたちの味方”として他の怪獣から人々を救うという独自のヒーロー性を持ち、多くの子どもたちの心をつかんだ。巨大な亀の姿で、空を飛び、火を吐く。ユニークな設定とその圧倒的な強さは他の怪獣と一線を画し、日本怪獣映画界で、その存在を確立している。
昭和には怪獣映画ブームの中でシリーズ全8作を展開。“ガメラの父”湯浅憲明監督はじめ当時の大映チームの創意工夫あふれる作品たちは特撮ファンの熱狂を生み、特に「ギャオス」「バイラス」などとの戦いは今も語り草となっている。平成には『ガメラ 大怪獣空中決戦』に始まる3部作を公開。金子修介監督×伊藤和典脚本×樋口真嗣特技監督という豪華スタッフが、ハードな世界観と緻密なVFXで国内外の映画ファンを驚かせた。怪獣映画史における金字塔として、今も高い評価を受けている。その後、昭和ガメラにリスペクトを込めた『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を公開、実写映画としては本作が最新作となっている。2023年にはNetflixシリーズ『GAMERA -Rebirth-』が配信。令和の時代にもガメラは新たな世代へと受け継がれている。
60年という長い時を超えて、ガメラは今もなお“正義”と“守るべきもの”を問いかける存在。破壊だけでなく「希望」や「祈り」を内包したガメラの存在は、私たちの時代に改めて輝きを放っている。
そんなガメラ生誕60周年を記念し、シリーズの記念すべき第1作目『大怪獣ガメラ』、シリーズ2作目、バルゴンの虹色光線など色彩豊かな特撮表現が光る初カラー作品『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』、人気怪獣ギャオスが初登場する「子どもの味方・ガメラ」という昭和ガメラシリーズの特色を打ち出し、人気を不動のものとした3作目『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』の3作品の4Kデジタル修復版の制作が決定した。
4Kデジタル修復の監修は、『ガメラ 大怪獣空中決戦』、『ガメラ2 レギオン襲来』、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の特撮監督で、最新作Netflix映画『新幹線大爆破』で話題となった樋口真嗣監督と、映画のフィルムの色味を、監督・カメラマンの意向を汲みながら整える重要な職人的ポジションの“タイミング”として約30年間活躍後、多くの名作の4Kデジタル修復監修を手掛ける小椋俊一氏。樋口監督と小椋氏はともに80年代後半、IMAGICA(現・IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)で勤務し、『ガメラ 大怪獣空中決戦』、『ガメラ2 レギオン襲来』、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』に樋口監督は特撮監督、小椋氏はタイミングとして参加するなど、キャリアの要所で縁がある間柄。樋口監督初となる今回の4Kデジタル修復版監修を、小椋氏が豊富な知見でバックアップしている。2人の監修によって生まれた「“まだ誰も見たことがない”昭和ガメラ」、全世界の特撮ファンは必見だ。
■コメント
【樋口真嗣監督】私が生まれた年に作られた映画ですから、かれこれ60年前の映画です。本来なら制作に携わった方が監修すべきなのですが、見渡した限りどなたもいらっしゃいませんでした。残念なことです。そしてこのたび、私たちの世代にとってはレジェンド級のタイミングマンである、小椋俊一さんとデジタルグレーディングの第一線を切り拓いているイマジカのカラリスト、阿部悦明さんのお力添えで不肖樋口、いちファンの代表として、この大任を慎んでお引き受けさせていただきました。暗部に埋もれ、グレインに隠されていた怪獣たちの皮膚感を洗い出し、当時の低感度ネガフィルムに記録されていた現場の空気感を発掘するのは、試行錯誤を重ねて素晴らしい作品を作り出した先輩たちの偉業を追体験するようで、素晴らしく幸せな作業でした。とりわけ、タイミングデータから明らかになる、オプチカルプリンターを介さずにオリジナルネガを巻き戻して二重露光をしたダブルロール合成カットの多さは衝撃です。ブルーバック合成という選択肢を当たり前のように選ぶことが難しい時代に怪獣映画を撮っていた先輩たちの労苦には感服するばかりです。誰も観たことのないガメラの誕生を、刮目してご覧ください。
【小椋俊一氏】この企画のお話をいただいたとき、まさか自分の子供のころ劇場で観た「昭和ガメラ」の4K修復に関われるとは思ってもみなかったので、うれしく思いました。「平成ガメラ三部作」には、タイミングとして関わりました。劇場で皆さんがご覧になったのは、プリントフィルム(ポジ)です。今回の4K修復はネガからの修復です。ポジを通さない分、当然劇場での見え方と変わります。ネガはポジでは表現できなかった明部、暗部のディテール等、豊富な情報を持っています。その情報を損なわないように、なおかつ当時観たような質感を求めて修復しました。ご期待ください。