写真 戦後80年を迎えて風化が懸念される中、若者は戦争や平和についてどのように考えているのか。今春入社した時事通信社の20代の新人記者3人が、東京・渋谷で15〜25歳の100人にアンケート調査を行った。その結果、8月15日が「終戦の日」だと知っていたのは61人にとどまるなど、戦争や平和への関心が薄れている傾向が浮かび上がった。
調査は1日、若者らの待ち合わせ場所として知られるJR渋谷駅のハチ公前広場付近で実施。義務教育を終えた100人に対面で質問用紙を渡し、一部記述式で答えてもらった。平均年齢は18.7歳だった。
8月15日が何の日か「知らない」と答えたのは26人で、誤答が4人、無回答が9人いた。同月6、9両日を「原爆の日」などと書いたのは約6割で、広島、長崎としたのはそれぞれ46人と45人。日付の勘違いや、違う都市名にした人もいた。
第2次大戦が終わってから何年かを正答したのは48人で、40人は知らないを選択。対戦国(複数回答)は米国の71人が最多で、英国・ロシア(旧ソ連含む)・中国がいずれも20人台だった一方、27人は知らないとした。
日本側が与えた被害を知っているとした42人からは「真珠湾攻撃」などが挙がった一方、知らないや無回答が計58人いた。
戦争や平和に関する情報について、68人は自ら集めることがないと回答。「興味・関心がない」「つらくなってしまう」「課題で出されない」などの理由が目立った。
「いま平和だと感じているか」との設問では、「はい」が51人、「いいえ」が46人。平和でない理由に、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザの情勢、核保有国の存在が挙がった。
一方、83人が今後日本が戦争に参加したり巻き込まれたりする可能性があるとした。集団的自衛権の行使や台湾有事を懸念する記述が多かった。
回答欄に「戦争は絶対に反対」と記したアルバイトの女性(23)は、記者に「日々の生活で、戦争関連の話に意識を向ける余裕がない」と話した。
アンケートを書きながら「海外で戦争行為に加担したとしても、国内にいる自分の生活が脅かされることはないと思う」と話す男性もいた。

渋谷スクランブル交差点を歩く人たち=6月28日、東京都渋谷区