全国戦没者追悼式で献花する青少年献花者の大石和明君(右端)ら=15日午後、東京都千代田区 全国戦没者追悼式に青少年献花者として初めて参列した浜松市の小学4年生、大石和明君(9)は曽祖父を戦争で亡くした。「昔のような戦争が起こってほしくない」と願いを込めて献花した。
曽祖父の大石理作さんは海軍で小笠原諸島・母島の警備隊に所属していたが、終戦当日に「栄養失調症」で亡くなった。34歳だった。その年に生まれた和明君の祖父、功さん(80)とは会えないままだった。
和明君は浜松市内に住む功さん宅に遊びに行った際に、戦争の話をよく聞いた。特に戦後26年たってから理作さんの遺骨が帰ってきた話が心に残っている。「会ったことがなくても自分のお父さんだから遺骨を大事にしているんだと思う」と功さんの気持ちを推し量った。
原爆や戦争に行った兵士の話も功さんから教わった。「戦争は怖いなと思った。絶対やってはいけないし、忘れてもいけない」。戦争経験者が高齢化する中、「今のうちに話をたくさん聞きたい」という和明君。「日常生活を当たり前に送れることにありがとうと言いたい」とはにかんだ。
功さん自身は今年の追悼式には参列しなかったが、和明君には「自分なりに考えてもらうきっかけになってほしい」と期待している。

取材に応じる青少年献花者の大石和明君(左)と祖父の功さん=12日午前、浜松市