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◆外国人差別に反対する市議の発信に市議会が待った!
8月4日(月)、埼玉県・鶴ヶ島市議会がSNSで「外国人差別反対」などと発信している無所属の福島恵美(ふくしま・めぐみ)市議に対し、「市議の肩書を使った発信の“自粛”を求める決議」を賛成多数で可決しました。
ユージ:塚越さん、まず投稿の自粛要請に至った経緯を教えてください。
塚越:福島市議は1981年生まれで、もともとパティシエ修業をして鶴ヶ島市で9年ほどカフェを経営していた飲食関係の方です。2023年に初当選し、どこの会派にも属していません。福島市議は「外国人への差別に反対する」といった内容の投稿をSNSにしており、今年3月頃から他の議員や一部のジャーナリストから批判が高まっていたということです。
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ユージ:実際に業務やイベントに影響が出てしまったということですね。
塚越:そうです。こうした状況を受けて、鶴ヶ島市議会の内野嘉広議長は、6月下旬から複数回、事態が落ち着くまでSNSの自粛や非公開にしている連絡先の公開といった対応を市議に求めました。しかし、一連の求めに応じず、個人的な発信を続けたことで「市民の安全と行政・議会の業務に重大な影響」が生じているとして、福島市議の肩書を使った形での発信自粛を求める決議案が提出され、賛成多数で可決になりました。
◆賛成多数で可決された自粛要請決議は正しいのか?
吉田:塚越さんは今回の決議の可決をどう思いますか?
塚越:議会の対応はおかしいと思います。朝日新聞が、市議会の内野議長に取材したところ、まず殺害や爆破予告は許されず、市議の政治活動を制限するものではないことを大前提としたうえで、さまざまな対応が重なるなか、議長として6月から市議に対して「少し配慮してもらいたい」と言ったことを口頭で求めたが、応じてもらえなかったので決議を出したということです。
要するに「気持ちは分かるけど、議会や市で対応しきれないから配慮してほしい」ということだと思います。とはいえ、市議の発言は反差別や多文化共生、人権擁護などの基本的な立場に立つもの、ヘイトに反対する立場で、基本的に違法行為をしたり、扇動するものではありません。もちろん、そうした活動が過激であるとして訴訟を含めた問題もありますし、活動の解釈をめぐる問題が生じているのは事実です。
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◆同様な事象が起きた川崎市では正反対の対応が…
ユージ:犯罪予告などがあった際の対応についてなんですけど、他の自治体でも過去にあったりしたのでしょうか?
塚越:実は、類似の動きが神奈川県の川崎市でも起きています。こちらも反差別などを訴えている共産党の市議に対し、今年7月に殺害予告や事務所の爆破予告が届いたので被害届が提出されました。
これを受けて川崎市議会は翌日に議長名で「言論活動に対する攻撃は萎縮効果を招く恐れがあること」。また、「議会制民主主義の前提を壊す行為で許されない」と、きっぱりと言論の自由を擁護する態度を示しています。これは鶴ヶ島市議会とはかなり対照的だと思います。川崎市はもともと独自のヘイトスピーチ規制などをおこなってきた制度的な蓄積もあるので、このあたりの態度は明確です。
もともとネットには差別的な投稿が多いのは事実です。それに反対と言ったことで対応を迫られるというのは、むしろ政治が「過激な言葉に動かされていないか」という論点は重要ですし、150件の苦情の内容もどういったものなのか、どこからのものなのか、そういったところを鶴ヶ島市はもっと考えて対応してほしかったですね。
吉田:そんななか、外国人政策に関して意見が加熱する傾向にある最近の状況をどう見ていますか?
塚越:これは社会的な不安を背景に、特に外国人に関してはいろんな言動が出てきて社会的分断になってしまいます。SNSを見てもいろんなデータや解釈が出てきて、ある意味、アルゴリズムで自分に都合の良い解釈になってしまいます。これは不安を感じやすいので、こうした議論でいつも言うのですが「一旦感情的な議論になると冷静にならないといけない」。なので、福島市議の投稿に関してもやっぱりまずは確認をして、どういう内容のものなのかをじっくりと見ていくことが大事ですけれども、こういった社会的な問題にみんなが過熱してしまうのが問題の根本にあるかなと思いますね。
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吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
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