
中国で、旧日本軍の731部隊を題材にした映画が公開されました。中国では「国の恥を忘れてはならない日」とされる9月18日にあわせて上映が始まったかたちで、反日感情の高まりが懸念されています。
【写真を見る】地図上の日本を傷つける子ども、“反日感情”高まる懸念
中国で「731部隊」映画公開中国・遼寧省瀋陽で開かれた式典。会場の巨大なモニュメントには、9月18日の日付が記されています。
94年前の9月18日に起きたのが、柳条湖事件。
旧日本軍が旧満州で鉄道を爆破し、中国側の犯行だとして軍事行動を拡大したもので、満州事変の発端となりました。
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そのため中国では9月18日が、「国の恥を忘れてはならない日」と位置付けられているのです。
映画館では9月18日にあわせ、ある“映画”が封切りとなりました。
映画「731」。日中戦争中に旧満州で細菌兵器を製造し、人体実験を行っていた旧日本軍の「731部隊」を題材にした映画です。
中国メディアは、公開初日の18日の時点で、興行収入が40億円を突破したと伝えています。
映画「731」を観た人
「日本人には憎しみと恨みしかありません」
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映画「731」を観た人
「『国の恥を忘れるな』という気持ちです。当時、中国が弱く、虐げられてきたことに胸が痛みます」
この映画だけでなく中国では2025年、「抗日戦争勝利80年」として、旧日本軍の残虐性などに焦点を当てた映画の公開が相次いでいます。
SNS上では、映画を見た子どもが日本のキャラクターが描かれたカードを破いたり、地図上の日本を傷つけたりする投稿も…
日本人学校の児童死亡から1年反日感情の高まりが懸念されるなか、南部の広東省・深圳市では…
記者
「日本人学校の周辺では多くの警察官が警戒に当たっています」
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1年前の2024年9月18日は、日本人学校に通う当時10歳の男子児童が、登校中に男に刃物で襲われ死亡する事件が起きた日でもあります。
日本人を狙った犯行なのか、今も動機は明らかにされていませんが、市内の日本人学校では18日・19日の2日間、休校措置がとられています。
日本人学校に子どもが通う親は…
日本人学校の保護者
「(休校中は)自宅で待機してる。外で何かあっても嫌ですから」
事件後は日本人だとわからないよう、ランドセルをリュックに変えるなどしましたが、対策にも限界があると言います。
日本人学校の保護者
「子どもだけが先に行く・離れることはなるべくないようにしています。それぐらいしか(できることが)ない」
小川彩佳キャスター:
中国外務省は「外国人の安全を守っていく」と安全性をアピールしていますが、ちょうど1年前には痛ましい事件もあり、様々な懸念が高まります。
地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
色々あっても隣同士の国で動くことはできない、2000年それでやっているわけですが、お互いに他国のことを悪く言うことによって、自分の国のためになると思っているのは、大きな間違いです。
例えば、一時「嫌韓」などがよくありましたが、最近あまり韓国の悪口を言わなくなって、少し落ち着いてますよね。
日本と韓国が仲が悪くなって得をするのは中国で、仲がよくなると中国も困るわけです。逆に今度は、中国と日本が喧嘩するようだと、ロシアなどの色々な国が喜ぶかもしれません。
他国の悪口を言って、それをあたかも「愛国」とするのは、どこの国でもダメだと思います。国内の不満を外に向けるために煽るわけですが、それに乗ってはいけないです。
この場合は、中国を反面教師にして、日本はちゃんと落ち着いて、過去は過去、今は今としてやっていかなきゃいけない。お願いだから、隣の家の悪口ばっかり言っているような家になるのはやめようと。まず僕たちの方からやめてほしい、やめたいと思います。
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<プロフィール>
藻谷浩介さん
地域エコノミスト 共著「東京脱出論」
(株)日本総研主席研究員