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「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、2018年に死亡した和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77歳)が残したとされる「遺言書」の効力が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(田中健治裁判長)は19日、1審・和歌山地裁判決(24年6月)を支持し、遺言書は「有効」と判断した。無効を訴えた親族側の控訴を棄却した。
遺言書とされる書面は、野崎さんが経営していた会社の男性取締役が保管していた。
白色無地の紙に、赤ペンで「いごん 個人の全財産を田辺市にキフする」との記載があり、日付や署名、押印もあった。
野崎さんの遺産は約13億円に上るとされ、書面が遺言書の要件を満たすとした家庭裁判所の判断を受けて、市は19年9月に遺産を受け取ると発表した。
これに対し、野崎さんの兄ら親族が反発。親族4人は20年4月、書面が無効であることの確認を求める訴訟を和歌山地裁に起こした。
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親族側は訴訟で、書面に記載された筆跡は野崎さんのものと異なると主張。金銭の貸し付けに慎重だった野崎さんは頻繁に公正証書を作成させていたとし、遺産の帰属先を決める重要な局面で自筆の遺言書を作成することは不自然だとして、書面は偽造されたと訴えた。
1審判決は、書面に記載された文章や署名は流れるような筆致で、野崎さんが生前に作成したとされる複数の書面の筆跡と似ているとし、筆跡鑑定でも同一と結論づけられたと指摘した。
さらに野崎さんは赤色を好み、筆記具として赤ペンをよく使用していたことや、生前に田辺市へ1000万円以上寄付していた事実を踏まえれば、野崎さん本人が遺言書を作成していたとみるほかないと認めた。
野崎さんは資産家として名をはせたが、18年5月に急性覚醒剤中毒で死亡。野崎さんを殺害したとして、元妻(29)が殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた。
ただ、1審・和歌山地裁判決(24年12月)は元妻に無罪を言い渡し、検察側が控訴している。【国本ようこ】
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