限定公開( 2 )
雨の日に木を揺らしてみたら……。悪天候の中で次々と生物を発見・採取する様子がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で5万5000回以上再生されています。
動画を投稿したのは、宮城県丸森町在住のシンガーソングライター・Taeさん。Taeさんは昆虫をはじめとした生き物が大好きで、YouTubeチャンネル「たえたそちゃんねる」には昆虫を捕獲・飼育する様子などを投稿しています。
以前はごく限られた場所にだけ生息する、絶滅危惧種にもなっている貴重な水生昆虫を採取しに行く様子を紹介しました。今回はミヤマクワガタを採取するため、佐々木先生(@weaponshouwa)とともに、ある山にやってきたようです。
撮影日は7月上旬ですが、この日はあいにくの悪天候です。“夏らしい絵面”を求めに来たそうですが、涼しいうえに雨も降っているので、逆に夏らしさが少ない動画になってしまいそうです。
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佐々木先生によると、昆虫採集をする際に「雨だと採れない、夜の方が採れるから昼間は行かない」という人が多いそうです。しかし雨だから、時間がずれたからといって昆虫が採れないことはないのだとか。今回の動画はそれを証明できる、いい機会なのではないかと思っているそうですよ。
そんな話をしつつ、辺りを歩きながら目視で昆虫を探す「ルッキング採取」を行うことに。悪天候の中、まずTaeさんが軽く木を蹴ってみると、カナブンが落ちてきました。佐々木先生の言う通り、雨の日でも昆虫はいるようです。
続いて佐々木先生が軽く木をたたいてみると、立派なミヤマクワガタが落ちてきました。今季初のミヤマクワガタを見て、その格好良さにテンションが一気に上がるTaeさんなのでした。
雨の日は地面の色とクワガタの色が同化してしまって探しづらいため、次は木の根元にビニールシートを広げてから木を揺らしてみることに。さらに雨の日の昆虫採取は、木が樹液でぬれているのか、雨でぬれているのか判断しづらいのも難点のようです。
木を揺らしてみるとカナブンに続いて、ノコギリクワガタのペア、ミヤマクワガタが落ちてきました。雨の日の昆虫たちは高い位置にいて、木にかなり強くしがみついているため、軽く揺らした程度では落ちてこないのかもしれません。
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佐々木先生によると、以前はこの場所でノコギリクワガタを見ることはほぼなかったそうです。しかし最近はノコギリクワガタとミヤマクワガタが、半々くらいになっているのだとか。少しずつ晴れてきたところで大きめなミヤマクワガタやセミの抜け殻を発見し、違うポイントへ移動することに。
移動したポイントは若いヤナギの木がたくさん生えている場所で、昨年はノコギリクワガタがたくさんいたそうです。木の周辺に大量のカナブンが飛んでいるので、今年も何かあるかもしれません。
早速ヤナギの樹液をチェックすると、そこにはたくさんのカナブンと大きなカブトムシの姿が。従来であれば7月上旬は、まずノコギリクワガタとミヤマクワガタが出てきて、追いかけるようにカブトムシが出てくることが多いそうです。しかし今年はどこを見ても、カブトムシばかりなのだとか。
樹液をなめるスズメバチを発見したかと思ったら、佐々木先生も何かを発見。向かった先にはオスがメスを守る「メイトガード」という行動をする、大きめのノコギリクワガタの姿がありました。
さらに木を揺らすと、なかなかいいサイズのコクワガタとノコギリクワガタが落ちてきました。さらに樹液をめぐって争うスズメバチとカナブン、目を閉じたシュレーゲルアオガエル、ミヤマクワガタのペア、シロテンハナムグリなど、さまざまな生き物を見ることができたのでした。
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その後もTaeさんが次々とクワガタを発見・観察していると、佐々木先生が木の上の方にいるクワガタを発見。遠目から見てもわかるほど大きいクワガタを網で捕獲すると……その正体は体長が70ミリほどありそうな、巨大なミヤマクワガタでした。これは間違いなく、今日イチの獲物ですね。
ここで昨年、大きなクワガタが採れた木に移動することに。木を揺らしてみると、今季で一番大きいと思われるノコギリクワガタが落ちてきました。続いてミヤマクワガタのメス、大きめのノコギリクワガタもゲット。
また場所を移動すると、体の大きなカブトムシが大量にいる木を発見。木の下から上までピントも合わないほど大量のカブトムシがいて、どの個体も夢中になって樹液をなめていました。木の周辺には天寿を全うしたものと思われる大量のカブトムシの死骸も落ちていますが、死骸がそのままということは、この周辺はカブトムシを食べる天敵が少ないのかもしれません。
しかし、まだ夏の始まりにもかかわらずクワガタが比較的少なく、夏の終わりの昆虫であるはずのカブトムシがこれほど大量にいるのは、異例なのだといいます。
またTaeさんによると、この周辺は牛糞の臭いがするようです。カブトムシが大量にいる理由の1つとして、何かしらの発生源があるはずとのこと。この木はその発生源から、最も近いエサ場なのかもしれません。なおカブトムシはエサ場があれば動かず、ひたすら食べてそのままその木で生涯を終えることも多いそうですよ。
その後も次から次へと、とんでもない量のカブトムシがいる木を発見。クワガタを採取しようと思っていた木でカブトムシが大繁殖していたという、イレギュラーな事態を目の当たりにしたところで、本日の観察会を終了することにしました。
イレギュラーではありつつも1日の成果としては申し分なく、また雨でもカブトムシやクワガタをはじめとした昆虫がいることを証明できたという、大満足の1日を終えたTaeさんと佐々木先生なのでした。
動画には「九州だとそもそもここまで立派なミヤマが珍しい上に、フジ型以外を見る機会があまり無いので、印象が全然違って面白いですね。東北での採取も楽しそうです」「うちの近くの山はミヤマの里っていうぐらいミヤマがいます」「ポイントなんですかね。子供の頃(約40年前)は木を揺らしてこんなにバラバラ落ちてきたことなかったなぁ」といった、各地域からのコメントが寄せられていました。
Taeさんは同チャンネルとX(旧Twitter/@tae_chuber)に、昆虫愛にあふれた動画や写真を多数投稿しています。
画像提供:YouTubeチャンネル「たえたそちゃんねる」
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