
催涙スプレーを「護身用」として持つ人がいる一方で、悪用され事件になることや、使い方によっては事故につながるケースもあります。
購入方法や取り扱いの注意点について解説します。
【写真を見る】「ガス型」と「水鉄砲型」違いは?実際に使用してみた様子
「ガス型」と「水鉄砲型」専門家のおすすめは?高柳光希キャスター:
催涙スプレーは、相手の手が届かない範囲から対応できる「防犯グッズ」です。効果としては、相手に吹きかけると、涙が止まらないほどの強烈な痛み、相手の敵意・戦意を鈍らせることができるなどがあります。
そして、大きく分けて2種類あります。
▼ガス型
霧状に広い範囲に噴射できる
▼水鉄砲型
命中させたい相手に向かって直接届く
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「水鉄砲型」の催涙スプレーを用意しましたが、思っているより小型で、手のひらに収まる程度のサイズです。
TBS報道局社会部の小倉記者が、実際に催涙スプレーを取材してきました。
TBS報道局社会部 小倉直樹 記者:
「ガス型」は霧のように広範囲に噴射できるのが特徴で、多くの方は「催涙スプレー」というと、この「ガス型」をイメージするかと思います。
続いて「水鉄砲型」は、液体が相手に直接飛んでいくタイプのスプレーです。「ガス型」と違って、周りの人を巻き込んだり、風向きによって自分自身に当たってしまったりするリスクを避けることができることから、専門家の多くは「携帯するならば、水鉄砲型がおすすめ」としています。
実際に私も、この水鉄砲型を体験しました。噴射する際は、相手の「首元」あたりを狙うのがいいそうですが、足などに当たっても十分効果があるということです。
また噴射する際は、握るように持って親指で押すと、力が入り相手に命中しやすいということでした。
初めて「水鉄砲型」のスプレーを使用しましたが、親指に少し力を加えるだけで、的に綺麗に命中したので、初心者でもかなり使いやすいものだと感じました。
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南波雅俊キャスター:
足に当たっても効果があるというのは、どういうことなのでしょうか。
小倉直樹 記者:
命中した液が徐々に下から上半身側へ上がっていくので、足元に当てても効果が出るということのようです。
高柳キャスター:
催涙スプレーを携帯する上での注意点についてです。
8月に東京・渋谷で起きた事件では、「催涙スプレー」を噴射した際に、近くにいた0歳の男の子を含む男女18人が、喉の痛みなどの体調不良を訴えました。
元東京地検検事・レイ法律事務所の西山晴基弁護士によると、催涙スプレーをむやみに使用して人にけがをさせると、「暴行罪」や「傷害罪」に当たる可能性があるということです。
では、意図しない誤噴射の場合はどうなのでしょうか。
西山弁護士によると、「けが人なし」の場合は犯罪には当たらないそうです。ただ「けが人あり」の場合は、故意がなくても「過失傷害罪」に当たる可能性があるということです。
では、催涙スプレーを持ち歩く場合、持っているだけで罪に問われてしまうのでしょうか。
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西山弁護士は、「正当な理由なく、隠して所持をすると、軽犯罪法違反に当たる可能性がある」といいます。
そのため、持ち歩く際は「隠している」と判断される可能性がある「カバンの中」や「ポケット」は避けてください。
催涙スプレーは銃刀法の規制対象外ですが、警備員などが所持している「警棒」や「スタンガン」と同じ扱いとなっています。バックやズボンなどにつけ、見えるように持ち歩くのが、一番ベターだということです。
では催涙スプレーを持ち歩いているときに、警察官に声をかけられた場合はどう対応したらいいでしょうか。
小倉直樹 記者:
まず自分から、「催涙スプレーを持っています」とすぐに出すことが大切です。そして自分から出した上で、持っている理由をきちんと説明できるようにしておくことがポイントです。
例えば、「過去にストーカーに付きまとわれた経験がある」「いま大金を持ち歩いているので、何かがあったときのために携帯している」などと、明確に説明ができるかどうかが重要になってきます。
正当な理由があれば持ち歩くことができますし、見えるように持っておくことで犯罪抑止にもなります。もし警察などから質問された場合は、自分から出すということが大切になると思います。
日比麻音子キャスター:
催涙スプレーを購入するときに、確認や説明はありますか。
小倉直樹 記者:
催涙スプレーは、セキュリティショップやインターネットなどで購入できます。店頭で購入する際は、お店によっては身分証の提示を求められる場合もあるそうです。一方インターネットで購入する場合は、クレジットカードの情報が身分証の代わりにもなるということです。
南波キャスター:
先ほどむやみに噴射してはいけないことや、誤噴射でも仮にけが人がいれば過失傷害に当たる可能性もあるという話があったと思います。もし、人がある程度いる中で襲われたときに、自分は正当防衛だと思って噴射をしたものの、他の方にかかってしまった場合は、どう判断される可能性がありますか。
小倉直樹 記者:
正当防衛であっても、襲ってきた相手以外の全く関係のない第三者にかかってしまった場合は、やはり傷害罪に当たる可能性があります。そのため、しっかりと狙った人に当てられるように、所持するのであれば普段からシミュレーションを行っておくことが重要です。
南波キャスター:
「ガス型」よりも、直接狙える「水鉄砲型」の方が周りに対して安全に使える可能性があるということですね。
小倉直樹 記者:
専門家も「ガス型」は風の向きによっては、自分自身にかかってしまう危険性もあるため、「水鉄砲型」の方がリスクは低いと言っていました。
日比キャスター:
催涙スプレーを使用・所持する場合には、様々なリスクも考えてうまく使っていきたいですね。
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<プロフィール>
小倉直樹
TBS報道局 社会部
警視庁捜査一課・捜査三課などを担当
闇バイト強盗や外国人窃盗団を取材