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阪神原口文仁内野手(33)が今季限りで現役を引退することが28日、分かった。
阪神一筋で16年目。育成選手への降格や大腸がん手術など、たび重なる苦難を乗り越えてレギュラーをつかんだ。近年は代打の切り札として存在感を示したが、今年は打撃不振で出番を減らし1安打。不屈の男はバットを置く決断をした。10月2日のシーズン最終戦(対ヤクルト、甲子園)が引退試合になる。
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どんな困難にも挑み続けた不屈のバットマンが、現役引退を決断した。
どんな苦難にも立ち向かってきた。若手時代は腰痛など故障の連続。13年から育成選手として3年超を過ごしたが16年4月、当時の金本知憲監督に見いだされて支配下復帰。入団7年目で1軍デビューを果たすと、主に主力捕手として106試合、打率2割9分9厘、11本塁打と花開いた。
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19年1月には最大の試練が訪れた。大腸がんが発覚し、手術を受けた。現役続行どころか命に関わる事態だったが、同年6月に劇的に復帰を果たした。最初の打席でフェンス直撃の適時二塁打。千葉で見せた全力疾走とヘッドスライディングは多くの人に勇気を与えた。この復活劇で、セ・リーグ特別賞も受賞した。
22年からは登録を内野手に変更。バットで生き抜く覚悟が決まった。近年は代打の切り札として絶大な存在感を誇った。野手最年長で、毎日の取り組み、打席での読み、1球への集中力。すべてが後輩の手本となった。昨年オフには初取得した国内FA権を行使。「野球人としてまだまだやれるんじゃないか」と、さらに大きな活躍の場を求めての一大決心だった。
阪神と1年契約を結び直し、再出発した今季。開幕から代打で結果を出せず、2軍暮らしが続いた。炎天下、打撃修正を必死に試みていたが思うように状態は戻らなかった。1軍での初安打は9月21日。一塁に頭から飛び込み、泥くさくセーフもぎ取った。野球人生を表すような、気持ちがこもったシーンだった。
プレースタイルは粘り強さが信条だったが、引き際は潔かった。思い出が詰まった甲子園で行われる10月2日のシーズン最終戦が引退試合。ファンから愛され、誰からも尊敬された野球人が、惜しまれながらグラウンドに別れを告げる。
◆原口文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身。帝京(東京)3年夏の甲子園で8強入り。09年ドラフト6位で捕手として阪神入団。12年オフに育成契約、16年途中に支配下復帰。同年は107試合で11本塁打。18年の代打23安打は球団最多タイ。19年1月に大腸がんの手術を受け、5年経過した24年1月に完治。22年から内野手登録。通算563試合、274安打、29本塁打、152打点、打率2割6分9厘。182センチ、97キロ。右投げ右打ち。夫人と3女。
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