米西部カリフォルニア州ロサンゼルスを走る車=23日(EPA時事) 【ニューヨーク時事】米国で9月末に連邦政府による電気自動車(EV)の購入支援策が終了する。1台当たり最大7500ドル(約110万円)の税額控除が廃止され、普及の逆風となりそうだ。足元では駆け込みの動きが出て販売が急増しているが、今後、短期的には大幅に落ち込む可能性が高い。
支援策は、バイデン前政権が気候変動対策の一環として導入。北米での最終組み立てなどが要件で、日系メーカーでは現地生産したEVを販売している日産自動車やホンダが後押しを受けた。さらに、リース契約の場合は輸入車でも対象となり、トヨタ自動車などのEVにも適用された。
バイデン氏のEV推進方針を批判してきたトランプ大統領は、7月に成立した肝煎りの大型減税法で、支援策の9月末での打ち切りを決定。これにより、10月以降のEV販売が打撃を受けるとみられる。
米自動車調査会社コックス・オートモーティブによると、米国の7〜9月のEV販売台数は駆け込みの影響で前年同期比22%増の約41万台となり、新車市場に占める割合は過去最高の約10%に達する見通し。ただ、10〜12月は30万台程度に急減し、通年では約130万台と前年比ほぼ横ばいにとどまるとみる。
自動車各社は、中長期的にはEV市場の拡大を見据えながらも、当面予想される販売鈍化への対応を進める。ホンダは先週、米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発し、北米で展開してきた高級車部門のEVの生産を終了したと明らかにした。関係者は「当初想定していたほどEVの普及が進まなかった」と理由を語った上で、米政府の購入支援策終了も踏まえた判断だったと説明した。