
自民党総裁選も終盤戦。激しさを増す“ポスト石破”をめぐる争いですが、Xの投稿を独自分析してみえてきた、ネット上の“盛り上がり”の実態とは。
【写真で見る】“やらせ投稿”問題の影響は?各候補に関する投稿数の推移
■「尊敬する日本人」のように改革できるか?
9月30日夜、国民からの質問に答える形式で行われた総裁選の候補者による討論会。
「尊敬している日本人は?」という質問に各候補は…
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元経済安保担当大臣 小林鷹之氏(50)
「米沢藩の上杉鷹山です」
前幹事長 茂木敏充氏(69)
「田中角栄元総理を挙げたいと思います」
官房長官 林芳正氏(64)
「高橋是清を挙げたいと思います」
前経済安保担当大臣 高市早苗氏(64)
「私が尊敬しているのは松下幸之助さんです」
農水大臣 小泉進次郎氏(44)
「私が尊敬する偉大な日本人の一人は二宮金次郎、二宮尊徳さんです」
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歴史上の「改革者」の名前を挙げた5人。新たに総裁となる人は、自民党を改革することはできるのでしょうか。
■“やらせ投稿”問題後に小泉氏の投稿が急増
新総裁が決まるまであと4日。news23は、総裁選がネット上でどのような盛り上がりを見せているのかを分析しました。
X=旧Twitterで「総裁選」と「候補者の名前」が両方含まれる投稿(返信やリポストを含む)の数を見ると、各候補者、告示日以降に投稿数が増えているのがわかります。
候補者ごとに見ると、小泉氏は“やらせ投稿”問題をめぐり謝罪した26日に急増。他の候補に比べてもダントツの投稿数になっています。
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高市氏は、出馬会見を行った19日に投稿数が増え、テレビ番組での討論会などがあった告示日直後が最も多くなっていることがわかります。
林氏は、告示後もそこまで投稿数が増えていなかったものの、先週末から徐々に増加していることがわかります。
茂木氏は、出馬会見の翌日に一気に増えましたが、その後は、あまり増えていないのが現状です。
小林氏も出馬会見や告示日の翌日に増えていますが、他の候補者に比べると、投稿数は伸びていません。
各候補の総数を見ると、小泉氏をめぐる投稿が最も多いことがわかりました。
小泉氏:165万5910件
高市氏:144万850件
林氏:32万2740件
茂木氏:26万8800件
小林氏:16万8480件
自民党総裁の座に就くのは誰なのか。
■野党「総理候補」一本化ならず…
一方で、国会では野党が多数を占めていることから、まとまれば野党側から総理大臣を誕生させることも可能です。
総理大臣指名選挙で連携することはできるのか。立憲・維新・国民民主の3党の国会対策委員長が会談を行いました。しかし…
日本維新の会 遠藤敬 国対委員長
「(総理指名選挙で)うちはうちで、藤田(共同代表)と書くかもわからないし」
国民民主党 古川元久 国対委員長
「我が党としては基本的に玉木代表を首班指名(総理指名選挙)で書くと」
結局、野党で総理候補を一本化するという結論には至りませんでした。
与野党は、10月14日以降の中旬に臨時国会を召集する方向で調整を進めていて、自民党の新たな総裁が、次の総理に就任する公算が大きくなっています。
■投票権があるのは全有権者の1%未満 「民意」とのズレどう埋める
喜入友浩キャスター:
X上で、告示日からの8日間、「総裁選」という言葉を含む投稿や返信などの総数は2024年と比べて80万件近く増えています。また、日ごとの数も2024年を上回る日が多くなっているということです。
【Xで投稿された「総裁選」】
2025年の総数 249万690件
2024年の総数 168万1220件
TDSE株式会社提供/Quid Monitorによる分析
※X 10%サンプリングデータをもとに計測
※投稿にはリポスト・返信も含む
小川彩佳キャスター:
投開票を前に候補者の言動にも、より注目が集まるようにもなってきているのでしょうか。ただ、これが盛り上がりといえるのかどうかというのはまた別の問題のような気がします。
小説家 真山仁さん:
盛り上がっていると思いますが、投票ができる人は限られてます。自民党員が100万人を切って、91万人ほどしかいないということは、有権者にすると1%を切っていることになります。
【投票権を有する自民党員らの数】自民党HPより・27日時点
91万6400人
全有権者の1%未満
現状の報道だと、おそらく自民党の総裁が総理になるだろうということですが、有権者の1%未満の人がそれを選んでいることになります。
「だったらみんな自民党員になればいい」と言われるかもしれませんが、そういう問題ではありません。99%の人に響くことをちゃんと言えるかどうかがポイントです。
確かに盛り上がってはいますが、「あなたたち(99%の人)には関係ない」とこの盛り上がりを見ているのか。そうではなく、関心を持って(99%の人にも)支持されるような、踏み込んだ具体的な政策や覚悟を言って欲しいです。
小川彩佳キャスター:
(有権者の)99%に対して、という点はどのように見ていますか。
小説家 真山仁さん:
基本的にSNSの数字はあまり気にしておらず、どれだけの票が読めるのか、国会議員(票)は何人取れるのかというところではないでしょうか。
なぜか自民党だけは世の中の動きとは関係なく、古い政治をしているのではないかと思います。そういう人が総理になって、“解体的な新しい第一歩”が本当に踏み出せるのでしょうか。それができたら奇跡ではないかと思います。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」