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2024年に千葉県市川市の住宅から女性が連れ去られた強盗事件などで、強盗致傷や逮捕監禁の罪に問われた横浜市旭区の内装工、高梨謙吾被告(22)の裁判員裁判の初公判が2日、千葉地裁(水上周裁判長)であり、高梨被告は起訴内容を認めた。同年に首都圏で相次いだ「闇バイト」による強盗事件のうち2件に関わり、被害者に凄惨(せいさん)な暴行を加えていた状況が明らかになった。
初公判で検察は、市川市の事件で連れ去られた50代女性の供述調書を読み上げた。
女性は事件当時、自宅に1人で、戸締まりを確認して2階の自室で眠りについた。
突然「ガシャーン」とガラスが割れたような音が1階から聞こえた。「ダダダダダダ」と階段を駆け上がる音がし、寝室に男2人が押し入った。女性は跳び起き、あまりの驚きで床に座り込んだ。
「金を出せ」「殺すぞ」。男らは何度も拳で女性の顔や頭を殴り続けた。
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携帯電話を通じて指示役の男は「金庫にはいくら入っている」と直接聞いてきた。女性が「入っていないと思う」と返すと、指示役は「入っているはずだ」と言った。「グーで殴れ」「指を折れ」と伝えられた実行役に指をつかまれて手の甲の方に折り曲げられ、激痛が走った。
ニュースで強盗事件が相次いでいたことを知っていたため、寝室に護身用のハンマーを置いていたが、役立たなかった。
女性は顔や手足にガムテープを巻き付けられ、車に押し込まれた。「生きて帰れるか分からない。何とか生き延びたい」と抵抗はしなかった。
連れ去られている途中で、職務質問しようとした警察からパトカーで追跡され、猛スピードで逃げていると分かった。「助かるかもしれない」と希望を感じたが、パトカーのサイレンの音は聞こえなくなった。
3人の「この女はカワ案件だな」という会話を聞いて「川に捨てようとしている」とおびえた。
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埼玉県内の宿泊施設で監禁され、夜になり警察に保護された。「解放されるまで恐怖を感じ続けていた。精神的にも身体的にもぼろぼろにされた」
白井市の事件で実行役に殴られるなどした40代女性の供述調書も読み上げられた。
実行役の男から「1000万、2000万あるだろ」と言われ、暴行を受けた状況が伝えられた。女性は「普通の人間の心を持っていたら、こんな事件を起こさない。人の心を持たない悪としか言いようがない」と語ったという。【林帆南】
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