限定公開( 8 )
神奈川県警の警察官が無許可で自宅に立ち入ったなどとして、視覚障害のある夫妻が県に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は3日、計約27万円の賠償を命じた1審・横浜地裁判決(2024年3月)を取り消し、夫妻の請求を棄却した。相沢真木裁判長は、警察の対応は「合理的配慮を欠いたとは言えない」として違法性を否定した。夫妻の逆転敗訴となった。
判決によると、19年10月に夫妻の住むマンションから「怒鳴り声がする」との110番があり、複数の警察官が駆けつけた。警察官は夫妻の部屋に入室し、夫は下着姿のまま対応した。夫は全盲、妻には弱視の障害があった。
障害者差別解消法は自治体などに障害者への「合理的配慮」を義務付けている。夫妻側は、女性警官がいるのに下着姿で対応させられた夫は人格権を侵害されたとし、女性警官がいることを伝える配慮が必要だったと主張した。
1審は、女性警官がいることの説明を怠ったことは「合理的配慮に欠ける」と判断し、警察の対応を違法とした。これに対し、高裁は合理的配慮が求められるのは障害者から意思表明がされた場合と法律に明記されていると指摘。夫は女性警官がいれば知らせてほしいと意思表明していないとし、違法性を否定した。
夫は判決後の記者会見で「見えないから何を伝えたらいいか分からないということを理解してもらえなかった」と嘆いた。代理人の清水勉弁護士は「具体的な指摘をしなければいけないというのは上から目線で、不当に高いハードル設定だ」と訴えた。【安元久美子】
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。