モラハラ夫に“子どもを連れ去られた”35歳女性が憤る、家庭裁判所の“まさかの判断”「親権の決め方は、理不尽で残酷」

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2025年10月04日 09:01  日刊SPA!

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はーちゃんさん
“別居親界隈のインフルエンサー”を名乗る女性がいる。はーちゃんさん、35歳だ。現在は2人の子どもと離れて暮らしているそうだが、彼女の身に何があったのか。そして、なぜ自身の現況を発信する道を選んだのか。その理由に迫った。
◆優しかったはずが、結婚後に豹変

――現在、お子様との望まない別居をしておられると伺いました。ご自身の結婚から別居までの経緯を教えてください。

はーちゃん:私は2015年2月に夫と結婚し、6年後の2021年2月に別居をしました。遠距離恋愛だった期間もありましたが、交際中は非常に優しい人でした。たとえばデートのあと、鍵を失くしてしまった私のために、長距離を車で駆けつけてくれるような人だったんです。しかし結婚すると、夫は日常的に暴力を振るうようになってしまいました。次第にエスカレートし、外でも殴る蹴るなどの行動を抑えられないほどになってしまいました。また生活面でも夫は私の行動を制限するようになり、100円の品物を買うにも許可が必要であったり、「お前ひとりのために風呂の追い焚きなんてもったいない」と怒ったりするなど、人格が変わってしまったかのようでした。

 ある日「いい加減に出ていけ」という夫の発言をきっかけに、私は別居する事を決意し子ども2人を連れて自宅を出ました。突然のことだったので、私は自分の兄の家へ避難しました。その時点で夫とは離婚の話も出ていて、親権・監護権を私が取ること、養育費の金額などまで決めていました。兄の家に世話になったのは一月もなく、それまでに新たな居住先を決めて引っ越しも終えました。

◆話し合ったあと、自宅に戻ってみると…

――当初、お子様とはーちゃんさんは、一緒に暮らしていたんですね。

はーちゃん:そうなんです。別居をしたとしても、夫が子どもたちの父親であることは変わりませんので、定期的に面会させていました。私の実家は北海道にあるのですが、家族で住んでいた家が関東圏であることから、私が新しく子どもと住む新居も関東圏にしていたんです。これは離婚によって離れてしまうことがあっても、子どもたちと夫がいつでも会える環境を作りたいという私なりの配慮でした。

 2021年2月末、夫から「離婚という話をしていたけれど再構築に向けて夫婦2人で話がしたい」といわれました。そのため家族で住んでいた家で夫の妹が子どもを見てくれている間、夫婦で話し合いをすることにしました。しかし夫からの暴力や行動の制限を経験した私には、もう一度家族として夫と一緒に暮らすことは考えられませんでした。話し合いはしましたが、私はもう家族としてやっていく意向がないことを夫へ伝えました。子どもたちを自宅に迎えに行くと、既に夫の妹が子どもたちを連れてどこかへ行ってしまったあとでした。

◆「虐待をしている」と濡れ衣を着せられ…

――夫の妹による連れ去りと、引き渡し拒否ということでしょうか。

はーちゃん:夫の妹だけが協力者かはわからないですが、迎えに行った際に子どもたちは家にいませんでした。すぐに警察に連絡をしましたが、「民事不介入なので対応できません」と取り合ってくれませんでした。夫側は、「あなたが虐待をしている可能性があるから、しかるべき施設に預けた」などと言うんです。もちろんそんな事実はありません。私は警察に食い下がり、子どもたちがどこにいるのかを確認するようにお願いしました。すると子どもたちはホテルにいることがわかったんです。その後、一定の期間を置いて、子どもたちは夫の元からわたしの元に帰ってきました。

――ということは、もう一度お子様たちは先方に連れ去られるということでしょうか。

はーちゃん:そうです。2021年4月のことでした。上記のように1回目の夫や夫の家族による子どもの連れ去りがあったことから、私は弁護士を通じて法的な書類を作成し、それに則って面会などのルールを決めていくことを夫に打診しました。夫は「弁護士に頼むとお金がかかるから」などと渋っていましたが、私はもっとも揉めない方法として法曹資格を持つ人の介入を選びました。

 そんななかでも、夫が父親であることには変わりないので定期的に子どもを夫の元へ預けて面会を行っていました。しかしある日、夫の元へ子どもを迎えに行くと夫が子どもを返してくれませんでした。夫の言い分は、私の弁護士から受任の通知が夫に届いたことが、「弁護士を使うな」といった夫に対する裏切りを感じたからと証言しています。夫はそのあとの面会において前回同様に引き渡しの拒否を行い、現在に至っています。そしてそのまま現在に至るまで私は子どもに会えなくなってしまいました。

◆親権の決め方は、理不尽で残酷

――お子様の親権・監護権に関する裁判所の見解はどうでしょうか。

はーちゃん:監護権は、最高裁判所まで争い、私は負けました。親権については、次に最高裁判所で争うことになっています。家庭裁判所調査官の調査書でも、夫側が養育している現状を維持するための理屈ばかり書かれていて、とても納得できるような内容ではありませんでした。

――はーちゃんさんはTikToKをはじめとするSNSにおいて、モラハラや別居親のリアルなどを発信していますよね。インフルエンサーという手段を選んだのはどうしてでしょうか。

はーちゃん:自分の体験をもとに発信することで、日本では「母親が親権を取るのは当然」「親権が取れない母親はよほどの問題がある」と思う人も多いと思いますが、実際の親権の決め方は非常に理不尽で残酷なものです。家庭裁判所調査官の調査でも、私が虐待をしていないことは認められています。それでも子どもは帰ってきません。日本の家庭裁判所は現状維持の原則を非常に重要視するため、配偶者より先に子どもを連れ去り、確保した親に親権を与えます。日本に暮らす全ての親にこうしたことが起こり得ることを知ってほしいんです。

 また、SNSは今子育てをしている世代やこれから結婚・子育てをしていく沢山の若い世代も多く見ています。彼らにも、一方の親に連れ去られてしまうと親権をとられてしまうことを知ってもらいたいです。そして、夫婦の別れが親子の別れにならない社会になってくれたらなと思います。

◆モラハラの被害者は「正しい判断ができなくなる」

――動画を拝見すると、実体験だけではなく、一般的なモラハラなどについての発信もありますよね。意図を教えてください。

はーちゃん:DVやモラハラは、実際にその被害を受けている最中は気づくことも逃れる事も出来ません。被害を受けるたびに「私が悪い。私が変われば大丈夫」と考えてしまい、自分で自分を追い詰めてしまうので正しい判断ができなくなります。私は自分がやられた被害を声高に叫んで、夫を追い詰めたいとは考えていません。

 社会にはこういう理不尽が存在することを多くの人に知ってもらいたいです。できるなら現状を変えていくよすがになればと思っているんです。配偶者のモラハラに悩む人が、少しでも自分自身を大切にする選択をしてもらえたらと考えています。

◆泥沼のなか行われた離婚裁判の結果は…

――ちなみに現在、夫がお子様をはーちゃんさんに会わせないのはなぜなのでしょうか。

はーちゃん:夫いわく、私が警察に相談した事に不信感を感じたからだそうです。全く理解できません。まず、離婚裁判中も、定期的に子どもと面会交流を継続していました。その際に子どもたちから「パパから蹴られた」「(イベント時も通常時も)ママに話しかけてはいけないと言われた」という話を聞いていました。

 子どもたちが夫から暴力を受けていることを一度は裁判所にも伝えようと考えました。しかしそのことを夫に知られ、次に面会交流で子どもたちへの暴力が悪化するかもしれないと怖くなり、子どもを守るために黙っていました。そんな苦しい時間を3年以上も過ごしながら子どもたちも私も離婚裁判を行いました。ついに2024年3月に面会中に警察へ駆け込み、夫から子どもへの暴力がある可能性を警察に報告しました。

 私と子どもたちは別室で聞き取りをされ、子どもたちの証言には信憑性があると判断されたものの、なぜか子どもが行く先は施設もしくは夫の親族になるとのことでした。そして、結果的に夫の親族が引き取って、数日してから児童相談所が介入しましたが、現在の父親らによる養育環境に問題はないと判断されてしまいました。夫とまた暮らすことになったんです。一連の流れを受けて、夫は私との信頼関係が破綻したと言っているようです。

◆“連れ去り問題”を広めていきたい

――現状なお苦しい状況にあるはーちゃんさんが、当事者インフルエンサーとして、心がけていることはどんなことでしょうか。

はーちゃん:状況に決して絶望せず、少しでも多くの人に知ってもらうことです。1日に1人でも2人でも、私の動画を初めて見る人がいれば、それだけ子の連れ去り問題を広めることができます。別居している親は子どもに会えなくてつらい思いをしますが、それ以上に子どもは不安で淋しい日々を過ごしています。同じ境遇の子どもたちを増やさないためにも、SNSを通じて言葉を届けることが社会を変えていくことになると信じています。

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 ときに家族はすれ違う。子どもは無力に揺らされる小舟。歯車がずれれば、暗澹たる時間を生きることを強いられる。

 インフルエンサーと聞けばポップに響くが、はーちゃんさんは人生の根幹にかかわるシリアスな側面を問い続ける。それがやがて民意を変えていく原点になることを信じて。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

このニュースに関するつぶやき

  • いやぁ唯々子どもが可哀そうな事案だなぁと思う。だけど、この女性側の意見だけでは家裁の判断が理不尽なのかは分からないなぁ。
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