
タレントの山瀬まみさんが、休養していたラジオ番組に7か月ぶりに復帰し、子宮体がんの手術を受けていたことを報告しました。
がんの合併症で脳梗塞となり、一時集中治療室へ入ったことも明かしています。
40代後半から増えるという「子宮体がん」とはどのような病気なのでしょうか?
産婦人科専門医に聞きます。
【写真を見る】40代後半から増加「子宮体がん」初期症状は“不正出血” 検診の頻度やタイミングは【ひるおび】
50代〜60代がピーク 子宮体がん検診などでも多く聞く「子宮頸がん」は子宮の入口にできるがんで、20代後半から発症することが多くなっています。
一方「子宮体がん」は、子宮の奥の方にできるがんです。
閉経前後の40代後半から発症が増え、50代〜60代がピークとされています。
初期症状は、月経期間外や閉経後の出血。
▼出産経験がない▼閉経が遅い▼肥満▼高血圧などでリスクが高まるといわれています。
閉経後の年代に多く発症する理由について、産婦人科専門医の尾西芳子氏は、
「閉経前は生理で出されていた子宮内膜が閉経後は排出されず、がんになりやすい」と話します。
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神谷町WGレディースクリニック 尾西芳子院長:
子宮内膜は子宮の中の膜で、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンによって厚くなり、生理のたびに出ていきます。
そのホルモンが閉経後はなくなるので本当は内膜が薄い状態なんですけど、がんができるとそこの部分がどんどん増殖して分厚くなってしまう。ただ、生理のように排出されないので、ここでどんどん広がってしまうというものになります。
ーーどうやって気づくんですか?
尾西芳子院長:
やはり多いのが、閉経後にも関わらず不正出血がある。
また、1年に1回検診をしっかり受けている人は、超音波で内膜が分厚くなっていることで気づくことも多いです。
ーー見つかった場合はどういう対応をすればいいですか?
尾西芳子院長:
まずは体のどこまで広がっているかの検査をさせていただいて、あとは手術をして抗がん剤治療をしてという形ですね。
山瀬まみさんは手術を受けている最中に脳梗塞を併発しています。
尾西院長によると、要因として考えられるのが、「トルーソー症候群」です。
がん細胞から分泌される成分によって血液が固まり、脳や心臓・静脈に梗塞ができやすくなります。
胃がん・肺がん・膵臓がんの他に、子宮体がんや卵巣がんなどで起こる可能性があるということです。
ーーがん以外にも時間を要する手術がありますが、全てのケースで考えられることなんですか?
尾西芳子院長:
やはり手術はずっとじっとしている状態ですので、血栓のリスクは高くなります。
特にがんの場合は、がんから発生される物質や、体の中でサイトカインという戦う物質が増えることで血が固まりやすくなってしまっているので、がんの患者さんの方がより起きやすくなっています。
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以下の症状がある人は注意が必要です。
▼月経時以外に出血する不正出血
▼下腹部の痛み
▼おりものの異常
▼排尿痛
大事なのは早期発見です。
最も多い自覚症状は出血です。月経ではない期間や閉経後に出血がある場合は注意が必要です。“更年期だから”と思わず、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
尾西芳子院長:
やはり検診を一番受けていただきたいんですけれども、会社の検診や自治体の検診は「子宮頸がん」に関しては検査をしているんですけれども、意外と「子宮体がん」が入っていないんです。ですので1年に1回は超音波検査をするなど、体がんを意識して婦人科を受診していただきたいと思っています。
皆さん子宮頚がんについてはたくさん啓発を聞いているので注意しようという意識があるんですが、実は罹患率自体は「体がん」の方が多いです。
コメンテーター 朝日奈央:
私は子宮頸がんの検査を定期的にしているんですけど、症状がない人でも子宮体がんのオプションを付けて定期的に検査をした方がいいですか?
尾西芳子院長:
実は体がんの検査はちょっと痛い検査です。超音波をすればある程度のことはわかるので、若い方に関しては、超音波検査で怪しいとなったら子宮体がんの検査をするのでいいかなと思っています。
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江藤愛アナウンサー:
子宮頸がんの検査自体も、最近区によっては毎年じゃなくて2年に1回になったりしているところもありますよね。
尾西芳子院長:
何も症状がなければやはり1年に1回の検査をおすすめしています。
子宮頸がんの検査をするときは、必ず超音波もすることで子宮や卵巣を目で見てチェックすることができます。がんの他にも筋腫や卵巣嚢腫など他の病気も見つかることがあるので、一緒にした方がいいと思います。
(ひるおび 2025年10月8日放送より)
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<プロフィール>
尾西芳子氏
産婦人科専門医
神谷町WGレディースクリニック院長