画像提供:マイナビニュース寝ても疲れが取れない。その理由は、あなたが「疲れの正体」を知らないからです。例えば脳の疲れ。脳は体が休息している間も、寝ている間も、ずっと働いている――つまり、1秒たりとも休むことがないのです。
「朝からダルい、重い」のループを解消するためには「休息する技術」を身につけることが必要です。
本記事では、『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(菅原道仁/アスコム)から一部を抜粋してご紹介。今回のテーマは『隠れた病気による疲労感に要注意』。
○隠れた病気による疲労感に要注意
疲労は病気ではありません。しかし、ほったらかしにして休息をとらなければ、病気になるリスクを高めますし、その逆に、病気になったことによって疲労感が生じることもあります。注意したいのは後者です。大きな病気のサインという可能性も否定できないので、「たかが疲れ」と軽く扱わないようにしましょう。
疲れを感じたら、まずは同時に起こっている体の異変の有無に意識を向けてください。
例えば、少し歩いただけで息切れするようなら、肺が悪くなっている可能性があります。酸素を上手にとりこめず、血液に十分に行きわたらないから、さらなる酸素を求めて呼吸が荒くなってしまうのです。
また、気が遠くなるようなときがあるなら、心臓に不調が生じている疑いがあります。心臓の動きが悪くなって血液がしっかり循環せず、体の隅々に栄養素や赤血球などが運ばれなくなるため、疲労感をまねくのです。
疲労感をともなう代表的な病気として挙げられるのは、甲状腺機能異常、副腎不全(アジソン病など)、感染症、自己免疫疾患、心疾患・呼吸器疾患、神経・筋疾患、精神疾患、血液疾患などです。
病的な疲労の場合は、十分な休息をとっても疲労感を軽減することが難しく、病気の治療を優先させなければなりません。長期間、疲労感が抜けないときは、医療機関を受診し病気がないかどうかを調べましょう。
問題は何科を受診するかですが、「疲労+体の〇〇の不調」の〇〇に該当する症状や部位で判断してください。息切れなら呼吸器内科、動悸や血の気が引けるなら循環器内科、食欲不振なら消化器内科、頻尿なら泌尿器科、睡眠障害やうつ症状なら心療内科や精神科、あるいは睡眠専門の内科、というあんばいです。
最近では慢性疲労症候群(ME/CFS)という言葉がとくに注目されています。これは、疲れを生じさせる病気の総称で、十分な休息をとっているにもかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの重度の疲労感が半年以上続く状態を指します。
原因はまだ完全には解明されていませんが、ウイルス感染後の免疫系の異常や、ストレス・ホルモンバランスの乱れなどが関与していると考えられています。根本的な治療法も確立されていません。
原因不明の疲労が長期間続く場合、まずは医療機関を受診し、医師と相談しながら生活リズムを整えたり、軽い運動療法を試したり、必要に応じて薬を用いたりしながら対処していきましょう。
周囲の理解も欠かせません、慢性疲労症候群の患者さんは「疲れが取れない」という感覚を、周囲に「やる気がないのでは」「サボるための言い訳だ」と思われることを不安視し、上司に説明できないケースが多いです。しかしそこで我慢せず、会社にいる産業医や上司にちゃんと相談しましょう。体調に合わせた仕事量や、勤務時間の調整などを行うことで、少しずつ日常生活を取り戻すきっかけになると思います。
○『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(菅原道仁/アスコム)
本書では、「なぜ人は休息しないといけないのか?」というシンプルな問いから「疲れ」のメカニズムについて説明していきます。現代人特有の疲れの正体をしっかり把握し、「脳の回復習慣7選(エビデンスあり)」「疲れのタイプ診断」「3つのタイプ別回復法」これらを使って「自分に合った回復法を選んで実践できる」のが本書の特徴です。脳のしくみと休息について25年にわたり向き合い、延べ50万人以上の患者を診てきた脳神経外科の医師が、あなたの「疲れの正体」と、それを上手に解消するための方法をまとめました。()