Google DeepMind、AIで核融合の商業化を加速 CFSとの提携で

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2025年10月17日 12:11  ITmedia NEWS

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 米Google DeepMindは10月16日(現地時間)、核融合エネルギーの商業化を目指す米新興企業のCommonwealth Fusion Systems(CFS)と協力し、AIを活用してCFSが開発中の原子炉「SPARC」の運用を微調整し、改善していくと発表した。


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 核融合は、長期的な放射性廃棄物を伴わない、クリーンで潤沢なエネルギー源として期待されている。しかし、核融合エネルギーを地球上で実現するには、プラズマと呼ばれるイオン化ガスを、1億度を超える温度で、核融合エネルギー装置の限界内で安定させる必要がある。CFSは、これを実現するための、強力でコンパクトな「トカマク(tokamak)型」装置であるSPARCを開発中だ。トカマク型装置とは、数十年にわたる世界的な政府支援の研究により、核融合に対して最も高性能なアプローチとして確立された方法とされている。


 この提携で目指すのは、核融合エネルギーを電力網に届けるまでの期間を加速させることとしている。SPARCは、史上初の、核融合を維持するために必要なエネルギーよりも多くのエネルギーを発電する「ネット核融合エネルギー」を達成することを目指している。CFSは、2027年にこの目標を達成するとしている。


 Google DeepMindは、深層強化学習を使用してトカマクのプラズマを制御することに成功した以前の実績に基づいて、CFSと協力する。具体的には、核融合プラズマの高速で正確なシミュレーションを開発し、オープンソースのプラズマシミュレーター「TORAX」を提供する。これにより、CFSはSPARCを稼働させる前に、何百万もの仮想実験を実行して運用計画をテスト・調整できるようになる。また、「AlphaEvolve」などを採用したAIエージェントを活用し、シミュレーション内で膨大な数の潜在的な運転シナリオを探索することで、ネットエネルギーを生成するための最も効率的で確実な経路を迅速に特定する。


 さらに、SPARCのリアルタイム制御のための“AIパイロット”の開発に貢献する。SPARCがフルパワーで稼働すると、プラズマに最も近い固体材料を保護するために、小さな領域に集中する莫大な熱を注意深く管理する必要がある。AIパイロットは強化学習を通じて、この熱を効果的に分散させるためにプラズマを動的に制御する方法を学習する。将来的には、AIパイロットはエンジニアが考案するよりもさらに複雑な適応戦略を学び、複数の制約や目標のバランスを取りながら、最適な制御アルゴリズムを迅速に調整できるようになるという。


 GoogleはCFSへの投資も行っており、その技術の商業化を支援している。この提携の究極のビジョンは、AIを将来の核融合発電所の中心となる、知的で適応性の高いシステムへと発展させるための基盤を築くこととしている。



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