輸入されたウナギを確認する税関職員=2023年7月、千葉・成田空港 【ロンドン時事】絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約事務局は17日までに、ニホンウナギを含むウナギ属全種を規制対象にするよう求めた欧州連合(EU)などの提案を巡り、「採択を勧告する」との最終評価を公表した。今年の締約国会議で採択されれば輸出が許可制になり、日本でウナギの価格が上昇する可能性が高まる。
EUとホンジュラス、パナマによる「ウナギ全種規制」案は、11月下旬〜12月上旬までウズベキスタンで開催される締約国会議で、出席国の3分の2以上が賛成すれば採択される。全種規制案には18カ月の移行期間が設けられ、採択後の発効は2027年6月5日になる見通し。
日本のウナギ消費量は世界最大規模。輸入に依存する日本は、養殖向けの稚魚であるシラスウナギの取引価格が規制強化の影響で高騰し、かえって密漁や密貿易のリスクを高めると主張。中国や韓国と連携して採択回避を目指している。
これに対して同事務局は最終評価で、ウナギの個別種だけを規制するのは困難だと指摘。管理上の観点から、ウナギ全体を規制することが妥当との判断を下した。
締約国会議は3年ごとに開かれ、今年は開催年に当たる。小泉進次郎農林水産相は17日の閣議後記者会見で、全種規制に向けた同事務局の勧告に関し、「引き続きわが国の(反対の)立場への理解が加盟国に広がるように、関係国と連携しながら全力を尽くしていく」と述べた。