名古屋刑務所=愛知県みよし市 名古屋刑務所(愛知県みよし市)で2022年、男性受刑者=当時(71)=が死亡したのは適切な医療を提供しなかったためだなどとして、遺族が国に計約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁であった。知野明裁判長は死亡との因果関係を否定する一方、刑務官らによる暴言などの違法性を認めて約30万円の賠償を命じた。
判決によると、男性は暴行罪で服役中の22年2月、心筋梗塞の疑いで搬送され、刑務所に戻った後の同3月に多臓器不全で死亡した。
知野裁判長は、刑務官7人が男性の指印を不正使用したり、「ばかたれ」「どあほ」などと暴言を吐いたりして男性の人格権を違法に侵害したと認定。「刑務所内の規律と秩序の維持とは関連なく行われ、正当化される余地はない」と述べた。
遺族側は早期に検査し治療を始めていれば死亡は避けられたと主張したが、「療養看護や診察が適切さを欠いたと認めることはできない」と判断。死亡との因果関係は認められないと結論付けた。
刑務官7人は昨年11月、暴言を吐くなどの不適切な対応をしたとして戒告や訓告などの処分を受けた。
遺族の1人は判決後、「受刑者を人間扱いしておらず、到底納得できない」とするコメントを出した。
名古屋刑務所の話 判決内容を精査し、適切に対応する。