荒木飛呂彦の人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ第7部『スティール・ボール・ラン』のアニメ化が今年4月に発表され、イメージビジュアルと特報PVが公開された。
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あわせて、メインキャラクターのジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリのビジュアルも披露され、特報PVでは歴代「ジョジョ」シリーズの映像が流れた後、「総距離 約6000km」「優勝賞金5千万ドル」「人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース」といった言葉が浮かび上がり、新作『スティール・ボール・ラン』への期待を高める演出となった。
第6部で徐倫率いる主人公チームが敗北し、プッチ神父のスタンドにより“時が加速”。世界は終焉を迎えることとなった。これは未来を描くことに抵抗があった荒木が時代をリセットしようと考えたためとも言われ、第7部の舞台が19世紀に戻ったのも必然だろう。
原作は“ジョジョ”の名を外した『スティール・ボール・ラン』というタイトルだが、新規読者獲得のための判断だったとされている。一方、アニメでは大きく「ジョジョの奇妙な冒険」の文字が入り、シリーズ続編であることが強調され、ジョジョブランドとして世間に受け入れられやくなっている。
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アニメ化にあたり、過去のシリーズの規制事例から懸念される点もある。第3部ではエジプトのモスクが修正されたり、OVA版では悪役であるDIOがイスラム教の聖典であるコーランを読んでいたことで苦情があり、出荷停止になった騒動もあった。翻って、『スティール・ボール・ラン』もレースの裏の謀略と共に、キーアイテムとして「聖人の遺体」集めが描かれる。「聖人」は名言されていないもののイエス・キリストを指しており、これが規制の対象になるのかどうか。また民族描写ではレース出場者のサンドマンが劇中で「インディアン」と呼ばれている。当時の時代背景では自然にも思えるが、現代の放送基準では差別用語とされ、「ネイティブアメリカン」などに置き換えられる可能性もありそうだ。
また、原作の連載がそれまでの「週刊少年ジャンプ」から月刊誌の「ウルトラジャンプ」に移ったことで、際どい性的表現が増えていたもの気になるところ。中でも改変が余儀なくされそうなのが大統領が夫人に化けたルーシーに発情し、犯そうとする場面。相手は未成年の人妻であり、倫理的に大きく反する内容なだけにこのシーンは地上波向けに調整されそうだ。
他に、7部のアニメ化が難しいとされてきた理由が馬の描写だった。大陸横断レースでは馬が重要な役割を担うが、アニメーターにとって「描くのが非常に難しい」とされていた。しかし、近年のアニメ技術の進歩により、CGでの馬の描写も可能となり、『進撃の巨人』や『ウマ娘』で培われたノウハウが活かされると考えれば、むしろ期待値は高い。
壮大なレースとスタンドバトルは見どころたっぷり。ジョースター、ツェペリ、ブランドーといった“運命の繋がり”を感じさせる名前もファンの胸を高鳴らせてくれるはず。
9月23日には情報解禁イベントも予定されているが、個性豊かなキャラクターと映像美あふれるアニメーションが、ジョジョの世界を新たなステージへと押し上げてくれることだろう。放送日の正式発表を心待ちにしたい。
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(文=蒼影コウ)
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