「機動警察パトレイバー」のリバイバル上映を聖地(の端っこ)で鑑賞!サイバーテロに立ち向かう“はみだし者”たちの奮闘がアツかった!【フォワードとバックアップは一心同体】

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2025年10月24日 20:20  アニメ!アニメ!

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【フォト】『機動警察パトレイバー』場面カットを見る

『機動警察パトレイバー』とは1988年に全6話のOVAシリーズとしてはじまったメディアミックス作品(後に第7話を制作)。警視庁警備部の「特車二課(特科車両二課)」の面々がレイバーと呼ばれるロボット(特科車両)を操り、レイバー犯罪に立ち向かう内容だ。

“弓”を使うキャラといえば?3位「Fate/stay night」アーチャー、2位「Dr.STONE」西園寺羽京、1位は… <25年版>

その面白さはレイバーバトル……と言いたいところだが、“お巡りさんたちの日常”は(基本的に)大犯罪とは無縁。なにしろレイバーは都市開発用の土木機械なので、ロボットアニメでありながら、整備士たちを含む隊員たちのバラエティ豊かな日々を中心に描いて一躍人気作品となった。たとえば特車二課の勤務地は東京の外れの埋め立て地にあり、コンビニに行くにも乗り物が必要なほど。東京湾でハゼを釣ったり、トマトを栽培したり、ほぼ自給自足の生活を強いられている状況でさまざまな騒動が巻き起こる。

その「警察アニメらしくない作風」はドラマのジャンルにも影響を与え、人気ドラマ『踊る大捜査線』の発想の原点のひとつにもなったほどである。

そんな本作から、1989年に公開された『機動警察パトレイバー the Movie』と、1993年に公開された『機動警察パトレイバー 2 the Movie』がなんとリバイバル上映を実施中! 映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」の企画・主催のもと、そのリバイバル上映プロジェクトの一環として、再びスクリーンであのエキサイティングな物語が楽しめるというわけだ。

そこで本稿では、とくにファン人気が高い『機動警察パトレイバー the Movie』を、聖地に近いアクアシティお台場のユナイテッド・シネマで鑑賞。当時の時代背景を含む、その面白さを語りたいと思う。

※『機動警察パトレイバー the Movie』のリバイバル上映は本来のスケジュールを終了したものの、追加上映により一部劇場ではまだ実施しているところがあります。

◆めまぐるしい展開に引き込まれる!

「パトレイバー」といえばOVAシリーズからはじまり、ゆうきまさみ先生によるマンガ版、テレビアニメ版、テレビアニメ版の続編となるOVAシリーズ、劇場3作品が同じ時系列で描かれた。各メディアによって設定が若干異なるパラレル作品ではあるものの、基本的なキャラ設定や世界観は同一で、意識しない限りその垣根はあまり感じない。

共通する主人公は新人女性警官の「泉 野明(いずみ のあ)」。警察用新型レイバー「AV-98イングラム」の一号機操縦担当(フォワード)で、一号機の指揮(バックアップ)を担当する同僚の男性警官「篠原遊馬(しのはら あすま)」とともにレイバー犯罪に立ち向かう。

ちなみに原作を担当するのは、ゆうきまさみ(原案)、出渕裕(メカデザイン)、高田明美(キャラデザイン)、伊藤和典(脚本)、押井守(監督)によるクリエイター集団「ヘッドギア」。80年代から活躍する人気クリエイターばかりで、いわばクリエイター界のアベンジャーズだ。そのスターだらけの布陣は、当時さまざまな雑誌で注目されていた。

そのような人気作品なので、現在も実写版『THE NEXT GENERATION -PATLABOR-』やゾイドとのコラボマンガ『ゾイド×パトレイバー - Code Name B.U.D.D.Y. -』など関連する新たな作品が作られるほど根強く支持されている。

このたびリバイバル上映された『機動警察パトレイバー the Movie』は、野明とイングラムが配属されて1年が経過したあたりの1999年の物語。謎のレイバー暴走事故が多発していることに疑問を持った特車二課が、独自にその隠された大犯罪を追うという内容だ。テレビシリーズやマンガ版ではコメディタッチの日常話が多い本シリーズだが、この劇場版はそのイメージを一変。謎めいた事件を追う、シリアスなサスペンスタッチでファンに新たな興奮をもたらした。

本作では押井守監督が本気でエンタメ作品化を狙ったこともあり、オープニングから謎・謎・謎の息をのむ展開に。ひとりの男の飛び降り自殺。自衛隊の演習で起こった、無人の新型レイバーの暴走事故……。不穏な空気とともに、これ以上ないほど観客の期待を煽る。川井憲次のサウンドも疾走感があり、そのサウンドが印象的に使われていた無人レイバー暴走事故も、「パトレイバー」シリーズとは思えないほどの激しいバトルシーンでファンを唸らせた。

レイバーの暴走事故に疑問を抱いた特車二課は刑事課の助けを借り、暴走を仕掛けた犯人と思しき天才プログラマー「帆場暎一(ほば えいいち)」の足取りを追いつつ、自らは原因と思しきレイバーの新型OS「HOS/ホス」(Hyper Operating System)の調査を始めることに。しかし彼らは独自に動いているためほぼ孤立無援の状態。そんな中で、いずれ首都全体を巻き込むテロ計画に直面することになる。

本作で注目のキャラクターといえば、ファン人気が高い特車二課第二小隊の隊長である後藤喜一(ごとう きいち)。普段は無気力・不真面目な中年だが、かつては公安のエースで、今回の事件でもその能力を存分に見せつけてくれる。鋭い先読みと、警察組織の内部事情を手玉に取るその活躍ぶりはまさに安楽椅子探偵。HOSまわりの調査を部下の遊馬に、帆場の足取りを刑事課の刑事に任せつつ、指揮官として惚れ惚れするほどのリーダーシップを魅せてくれた。

マンガ版では特車二課のライバル的存在としてシャフト・エンタープライズ・企画7課の内海課長が登場し、そちらも人気を獲得したが、やはり「パトレイバー」シリーズといえば魅力的な大人たちも見どころのひとつ。整備班の班長である榊 清太郎(さかき せいたろう)も普段は口にしないような本心を本作で語ったりして、すべてのメインキャラクターに活躍の場が用意されているところも本作の良さだった。

とにかく最初から最後まで構成が完璧で、テンポよく魅せてくれた本作。タイトルが直球のロボットアニメではあるものの、次々と明かされる真実や二転三転する状況、警察を手玉に取るように張り巡らされた真犯人の陰謀、そしてそれに立ち向かう後藤隊長の“珍しく”かっこいい姿。それは1本のサスペンス映画として完璧に成立しており、おそらくタイトルから受ける印象以上の興奮と謎解きが楽しめるだろう。

そしてもうひとつ、本作の見どころと言えば当時の状況だ。『パトレイバー』のメディアミックスプロジェクトが発足したばかりの現実の1988年と言えば『それいけ!アンパンマン』のTVアニメが放送開始された年。お台場の名所であるフジテレビ本社や、コミケで有名なビッグサイトもまだない。劇中で遊馬が「ハープ橋」と表現したレインボーブリッジも開通したのは1993年だ。

※フジテレビは1997年に新宿区から移転、ビッグサイトは1996年に開業。

もちろんスマートフォンもなければケータイもなし。パソコンが一般層に浸透したのも1995年なので、劇中のキーアイテムであるOSがどのようなものか当時よく分からなかった人もいたはず。今なら完全に理解できるところに時の流れを感じた。

作中では、東京湾の一部を埋め立てて新たな土地を作るという「バビロン・プロジェクト」が進められており、その主要ポイントとして開発事業用の水上プラットフォーム「方舟」が登場する。レイバーはそれらの開発に不可欠な機動土木機械であり、そのためレイバー犯罪も増加した……というのが本シリーズの背景だ。

急速に開発が進められた当時のお台場周辺と、36年経って“ある種の結果”が出た現在のお台場。レイバーではないものの実物大のガンダム立像が注目を浴びるお台場で、昔の東京と今の東京を比べながら鑑賞した『機動警察パトレイバー the Movie』。それは聖地での鑑賞と言うには距離的にやや離れていたかもしれないが、鑑賞後、さまざまな想いが頭の中をめぐった。

せっかくのリバイバル上映なので、『パトレイバー』に限らず、作品に関係する場所の近くで鑑賞すると、普段とはまた違った感情が生まれるはず。

『機動警察パトレイバー the Movie』のリバイバル上映は10月3日から2週間限定ということでほとんどの劇場ではもう観ることはできないが、10月17日からは2週間限定で『機動警察パトレイバー 2 the Movie』がリバイバル上映されている。次はそちらで聖地鑑賞をしてみてはいかがだろうか。

なお劇場によっては追加上映があり上映期間が異なっている場合があるので、詳しくは「Filmarksリバイバル上映」の公式サイトを参照してほしい。


【Filmarksリバイバル上映の今後の予定】

■機動警察パトレイバー2 the Movie

2025/10/17(金)公開《2週間限定》

公開劇場:124館  入場者特典:ポスタービジュアルミニステッカー

■GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版

2025/10/31(金)公開《2週間限定》

公開劇場:88館  入場者特典:「公安9課」IDカード

■『PERFECT BLUE』4Kリマスター版

2025/11/21(金)公開《1週間限定》

公開劇場:57館  入場者特典:未定

■『MEMORIES』4Kデジタルリマスター版

2025/11/28(金)公開《2週間限定》

公開劇場:64館  入場者特典:未定

(C)1989 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA

(C)1993 HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TOHOKUSHINSHA/Production I.G

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このニュースに関するつぶやき

  • 台風の最中に観に行けば、日本中どこでも聖地化できますよ。
    • イイネ!1
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