脳波と視線でゲームをプレーする人=9月25日、千葉市美浜区の幕張メッセ 手が不自由でも、頬や足、目など動かせる部分でゲームを自在にプレーできる機器や仕組みの開発が進んでいる。脳波と視線で敵を倒せるゲームも登場。誰でも利用できるという意味の「アクセシビリティー」が、ゲームの世界でも広がってきた。
「もう少し左、左!」。9月、千葉市で開かれた「東京ゲームショウ」では初めてアクセシビリティー専用コーナーが設けられ、手を使わずにゲームを楽しむ人の姿が。特に目を引いたのはテクノツール(東京)などが開発した任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けの特殊コントローラーだ。
その人の障害に応じ、足やひじで動かせるボタンやジョイスティックを外付けして使う。視線入力装置をモニターに取り付ければ目の動きだけで操作できる。島田真太郎代表は「ゲーム好きだったのに、進行性の難病でできなくなった方の声がきっかけ」と話す。
アラヤ(東京)が展示したのは、プレーヤーの脳波を測定して「魔力」をため、視線でドラゴンに照準を合わせて魔法を発動するゲーム。「障害の有無や年齢にかかわらず、誰もがこの新感覚を楽しんでほしい」(担当者)との思いで開発したという。
大手も対応を進めている。ソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲーム機「プレイステーション5」は、目や耳の障害に応じ、音声入力や読み上げ、色補正などができる機能がある。手が動かしづらい人のために、ボタンをカスタマイズし、据え置いて使えるコントローラーも販売している。
脊髄性筋萎縮症で寝たきりの生活を送るお笑い芸人のあそどっぐさんは、障害者仲間とチームをつくり、ゲームを楽しんでいる。「障害があるとできないことが増えるが、このような機器があるとできることが増える。障害のある子が、ない子と一緒に遊べる」と指摘。その上で、「個人で買うには高額。手が届きやすくなってほしい」と話している。

ゲームを視線でプレーする人=9月25日、千葉市美浜区の幕張メッセ

身体の状態に応じてボタンの配置を調節できるソニー・インタラクティブエンタテインメントの「Accessコントローラー」(同社提供)