「パリ協定」からの離脱を通知する国連宛ての書簡を持つトランプ米大統領=1月20日、ワシントン(AFP時事) 【ニューヨーク時事】ブラジルのベレンで10日開幕する国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に、米国は政府代表団を派遣しない見通しだ。トランプ大統領は気候変動を「史上最大の詐欺」と否定し、国連にも批判的。最大の経済大国で二酸化炭素(CO2)排出量も中国に次ぎ2番目に多い米国の欠席で、世界的な気候変動対策の機運に水が差される恐れがある。
米国は2017年に発足した第1次トランプ政権で地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱。バイデン前政権下で復帰したが、今年1月の第2次トランプ政権発足に伴い、再び離脱を国連に通知した。米議会関係者によると、政権がCOPに閣僚や代表団を送る兆しはない。
米メディアは先週、ホワイトハウスがCOPに高官を派遣しないと明らかにしたと伝えた。
ただ、米国がパリ協定を実際に抜けるのは規定により来年1月のため、政権はCOPの協議に関与したければ可能だ。同関係者は「この政権は非常に気まぐれで、土壇場で気候変動否定論者や化石燃料産業のスパイを送り込むこともできる」と指摘。あえて出席し、各国による対策推進の議論を阻害するシナリオにも警戒する。
米国がただ不在なだけでも影響は大きく、各国の温室効果ガス排出削減への意欲をそぐことが懸念される。途上国の排出削減や温暖化への適応を支援する資金も一層不足する。
連邦政府が気候変動問題に背を向ける中、対策推進派の州知事や市長、企業関係者ら約100人で構成する団体はCOPに参加し、存在感の発揮を目指す。オバマ政権で環境保護局(EPA)長官を務め、団体を率いるジーナ・マッカーシー氏は「米国の人口の3分の2、国内総生産(GDP)の4分の3を占める地域を代表し、気候変動対策を支援する」とアピールしている。