
『交通トラブル六法 「知らなかった」では済まされない道路の新常識』(藤吉修崇著)では、弁護士YouTuberの著者が、教習所では教えてくれない道路交通法の“危険な盲点”や、交通トラブルで身を守る法的知識を解説しています。
本書から一部抜粋し、今回は「3ナンバー」自動車にまつわる誤解や勘違いと、自動車税の基礎知識について紹介します。
「3ナンバー」=高級車って本当?
日本の自動車ナンバープレートには「分類番号」というものがあり、一番最初の数字で車の区分がわかります。一般的な乗用車の場合、先頭が「5」や「7」から始まるものが「5ナンバー車(小型自動車)」、先頭が「3」から始まるものが「3ナンバー車(普通自動車)」です。よく「3ナンバーは維持費が高い」という話を耳にしますが、それは本当でしょうか? ここでは、その真実を掘り下げて解説します。
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道路運送車両法のルールをチェック!
道路運送車両法施行規則により、小型自動車(いわゆる5ナンバー車)と普通自動車(3ナンバー車)の区分基準が明確に定められています。その主な条件は、全長4.7m以下、全幅(車幅)1.7m以下、全高(車高)2.0m以下、エンジン排気量2000cc(2.0L)以下(ガソリン車の場合)となっています。上記の条件のうち1つでも超えると、その車は即「3ナンバー」(普通自動車)扱いになります。つまり、全幅がたった1cmでもオーバーしたり、排気量が2001cc以上になったりすると、厳密には3ナンバー車に分類されるのです。
「3ナンバーだと税金が高い」は半分正解
「3ナンバーだと税金が高い?」これは半分正解、半分誤解です。実際には、ナンバーの区分そのものによって税額が決まるわけではありません。税金は主にエンジンの排気量や車両重量で決まります。排気量が同じであれば、5ナンバーでも3ナンバーでも自動車税(年額)は同じです。ただし、3ナンバー車は大排気量のモデルが多い傾向があるため、結果的に税金が高くなるケースがあるのは事実です。
「7ナンバーは特殊?」これも誤解です。「7ナンバー車」は基本的に5ナンバー車と同じ小型自動車の分類です。過去に一部地域で5ナンバーの番号が不足した際に7から始まる番号が使われた名残であり、特別な区分ではありません。したがって、7ナンバーだからといって車両の規格や税金が優遇されたり違ったりすることはありません。
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3ナンバー車のメリット・デメリット
「3ナンバー車のメリット」として、ゆったりした室内空間で、家族や複数人での長距離ドライブも快適です。車幅が広い分安定性が高く、エンジン性能も優れている車が多く、快適な走行が可能です。高級感と車体の大きさゆえの迫力や存在感があり、所有する満足感やステータス性を感じられます。「3ナンバー車のデメリット」として、取り回しの難しさがあり、車体が大きい分、狭い路地や駐車場での運転が難しくなり、駐車スペースを見つけにくい場合があります。維持費が高い傾向があり大排気量エンジンのため燃費が悪く、タイヤやオイルなど消耗品・部品も高額になりがちです。
弁護士からひと言!
車の税金や費用についても、基礎知識を押さえておきましょう。自動車税(年税額)はエンジン排気量の区分ごとに決まります。したがって、3ナンバーだから特別に税金が高いわけではありません。繰り返しますが、同じ排気量であれば、5ナンバーでも3ナンバーでも自動車税額は同じです。
自動車重量税(車検時にかかる税金)は車両の重さによって決まります。3ナンバー車は車体が大きく重くなる傾向があるため、その分重量税が高くなることがあります。
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結局、ココが大事!
===●排気量が同じなら、5ナンバーでも3ナンバーでも税金(自動車税)は同じ
●3ナンバー車は室内が広く快適だが、そのぶん維持費(燃料代・部品代など)が高くなりがち
●自分の運転環境や生活スタイルに合ったサイズや排気量の車を選ぶことが重要
●7ナンバーは5ナンバーと同じ扱い
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藤吉 修崇(ふじよし・のぶたか)プロフィール
東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業。弁護士法人ATB代表弁護士。大学時代に演劇に没頭し、スコットランドへ留学後、舞台演出や空間プロデュースに携わる。30歳を過ぎてから一念発起し、猛勉強の末、司法試験に合格。弁護士法人ATBを設立。YouTubeチャンネル「二番煎じと言われても」では、道交法の理不尽な状況を法律の観点から解説し話題となり、登録者数は20万人を超える。
(文:藤吉 修崇)
