
冬にかけて旬を迎える牡蠣。国内生産量1位を誇る広島県でいま、養殖の牡蠣が大量に死滅する異例事態が発生している。
「広島県では今年10月から牡蠣の水揚げが始まりましたが、県内各地の養殖業者から“8割から9割が死んでいる”との連絡が県に相次いだのです。歴史的な不漁に陥っている背景は今年の夏から秋にかけての海水温が例年よりも高かったことに加え、降水量が少なかったことが挙げられるといいます」(地方紙記者)
これを受け、今年10月に高市内閣の発足に伴い農林水産大臣に就任した鈴木憲和氏が11月19日、広島県東広島市の牡蠣養殖場を視察した。
「鈴木氏は東京大学を卒業後、農林水産省に入省しており、7年間勤めたのちに国政に出馬。第二次岸田内閣のときには農林水産副大臣を務めた人物です」(全国紙政治部記者、以下同)
鈴木農相の服装に《真剣さが伝わる》
国内の第一次産業に精通した鈴木氏の広島視察は、思わぬ部分で称賛を呼んでいるという。
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「鈴木氏はこの日、スーツの上にコートではなくアウトドアブランド『THE NORTH FACE』のダウンを羽織っていたのです。そして生産者から説明を受ける際は実際に死んだ牡蠣を手に取って、真摯に耳を傾けていました。
ただ現場を見るだけでなく、実物に触れ、できるだけ高い解像度で問題を把握しようと考えていたからこそ、アウターにはコートではなく、濡れてもいいダウンを選んだのかもしれません。ネット上では《大臣がこんなにカジュアルな服装を選ぶんだ》と驚きの声が上がったとともに、 《真剣さが伝わる》と称賛が相次いでいます」
新任の鈴木氏が高評を得る一方、農林水産大臣と言えば、あの炎上発言が記憶に新しい。
「石破政権下で農林水産大臣を務めた江藤拓氏は国内でコメ不足が深刻化する中、“米は買ったことがない”と発言。さらに“支援者からたくさんもらっており、家の食品庫に売るほどある”と続け、大炎上しました。この発言が反発を招き、江藤氏は辞任。小泉進次郎氏が後を引き継ぐ事態となりました」
汚職事件が続いていた歴代農相
さらに数代さかのぼると、規格外のトラブルを起こした農林水産大臣も。
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「第二次安倍政権下の'18年から約1年間、農林水産大臣を務めた吉川貴盛氏です。'20年、吉川氏は在任中とその前後の期間で、卵産業の大手企業『アキタフーズ』から総額500万円もの金銭を個人的に受け取っていたことが判明しました。この賄賂騒動が影響してか、同年に議員辞職に至っています。その後、'21年に収賄罪で起訴されると、'22年に懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決が下りました」
広島県視察で牡蠣死滅の問題に真摯に向き合う対応力が評価された新任の鈴木氏。一方で過去には農林水産大臣が失言や金銭トラブルで辞任に追いやられたケースも少なくない。今後も鈴木氏が自身の務めに誠実であることを願うばかりだ――。
