忘年会シーズンに多発する「当日キャンセル客」に飲食店が困惑。予約した新入社員が泣きはらした顔で頭を下げにくるまで

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2025年11月26日 16:10  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 この前、23歳の女の子に「私たちって干支1周以上歳離れてるんですね!」と言われて白目になりました。巳年(今年)も終わりますね。
 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただいております。

◆ドタキャン客 VS ドタキャンを絶対に許さない店長
 
 現在は銀座のクラブに勤めている筆者ですが、若いころはレストランの店員をしていました。

 この時期になると増えるのが忘年会・新年会の予約です。ところが、当日になってこの予約をキャンセルする方が少なくありません。

「40名の貸切予約が入ったのに当日キャンセルで食材が全部ムダになった」なんてことは、悲しいことですがザラです。

「また別の機会にご利用いただければ良いから……」と泣き寝入りする飲食店がほとんどでしょう。こうして客側が「おとがめなし」であることに慣れっこになってしまった結果、さらに当日キャンセルが繰り返される、という始末です。

 しかし、世の中はそんなに甘くありません。当日キャンセルを繰り返していると大変なことになるかも。

 今回は「ドタキャン客 VS 店長」のバトルの顛末をご紹介します。

◆「美味しかったので予約します」と名刺を置いていった新入社員

 ある日のランチタイムのことです。スーツ姿の男女4人グループが来店し、食事をした後「美味しかったので予約します」と、声をかけてくれました。忘年会の会場探しを新入社員である彼らが任されている、とのことで代表者の女性から名刺を受け取りました。

 12月の某日に50名で、という内容の予約でした。キャンセルポリシー(予約をキャンセルする際のルール)についても確認してもらい、承諾してもらった上で予約が成立しました。

 ところが……。

◆「3軒予約して1番安いお店を利用した」と開き直る新入社員

 その頃、あまりにも当日キャンセルが多発していたため、予約の前日に「人数の変更などはありませんでしょうか?」と、確認の連絡を入れるようにしていました。

 しかし、「12月の某日に50名で」と予約をしていった新入社員には連絡がつきません。嫌な予感がしながらも、当日を迎えました。

 嫌な予感は的中し、当日の予約時間を過ぎても50名は現れません。当日の、しかも無断キャンセルです。食材も人件費も全部パーです。50名分の前菜やピザ、パスタ、メイン料理、デザートなどは誰にも食べられることなく……です。何度経験しても悲しく、むなしいものです。

 後日ですが「着信履歴があったから」と、あっけらかんとした様子で新入社員から電話があり、少し意外に思いました。こういうのは無視するのが相場というか(もちろん無視して欲しくないが)、予約なんてしてませんみたいな顔をしてスルーする客が圧倒的多数である、というのが現場での体感です。

 彼女は、

「すみません!実は同じ日に3軒お店を予約して1番安いレストランを利用したんです」
「安いところにしろって上の人から言われちゃってて」
「でも〇〇〇さん(私が勤めていたお店)は美味しかったのでまた行きます」

 と、弁明(?)しました。

◆泣きながらキャンセル料を支払いに来た新入社員

 彼女たちはコース料理+飲み放題の予約をしていました。50名分の食事が廃棄になったことなどを踏まえ

「キャンセル料はお料理代の分だけでも支払えませんか?」

 と、店長が伝えたところ、彼女は

「えぇっと……上の人に確認します」

 と、言って電話を切りました。

 どうせこのまま音信不通だよね〜、なんて思いながら過ごしていると、しばらくしてお店に新入社員の彼女が現れました。泣きはらした顔で私たちに頭を下げ

「ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありません」

 と言ってATMの横に置かれている銀行の封筒に入ったお金を差し出しました。

「上の人に確認したところ……」

 と、彼女が話すことを要約すると、キャンセル料の支払い義務が発生したのは新人の落ち度である。よってキャンセル料は代表者である彼女が負担するべきである、ということを「上の人」に指示された、とのこと。

 店長は「こっちも商売なのでお金は受け取りますけど」と、浮かない顔です。

 余計なお世話ですけど、そんな会社辞めちゃってもいいんじゃないですか、と言いたくなりました。

◆飲食代の踏み倒しを堂々と宣言する客 VS 踏み倒しを絶対に許さない店長

 当日に、予約人数を減らすことも「キャンセル」とみなされ、キャンセル料が発生することが一般的です。特にアラカルトではなくコース料理の場合は、料理の準備がすでに進行しているため、減った人数分の料金を請求されることも。キャンセル料の有無や発生条件については、予約時に確認するようにしましょう。

 これは同じレストランに勤めていたころのお話です。

 30名の貸切予約をした男性がいました。前日に人数の変更があればおっしゃってくださいね、と連絡した際は「変更はない」とのことでしたが、当日レストランに現れたのは予約人数の半分以下の10名。

 店長から

「当日のキャンセルですので、キャンセル料はいただきます」

 と、伝えてもらったところ

「いいから30人分の料理を出せ」
「飲み食いした分は払う」

 と、男性は言いました。

 ところが、支払いの際になると

「10人分しか飲み食いしてない」
「料理はこんなに余ってる」
「わしらは食ってない」
「食ってない分は払えない」

 と、男性は飲食代の踏み倒しを宣言しました。

◆一歩も譲らない客 VS 一歩も譲らない店長

 予約の時点で、人数変更やキャンセル料に関するルールについては確認してもらっているはず。しかし男性は「食ってない分は払えない」と開き直っています。

「払わない」「だって食べてないもん」の一点張りで埒があきません。

 たまらず、店長が

「それじゃあ食い逃げと同じですよ」
「食べたもののお金を払わないって……物乞いか?」
「いいお年の大人ですよね」
「恥ずかしくないんですか?」

 と、男性に詰め寄ると

「なんだその言い方は!」
「お客様に向かってなんてことを言うんだ!」
「わしにはどこそこにだれそれという知り合いがいてお前の店なんて明日にでもつぶせる」
「わしに気に入られておけば100人だって、1000人だって客を紹介できるのに」

 と、激高しました。さらにはテーブルをたたく、蹴るなどし、相当テンパっている様子でした。このままでは爺さんが店長にボコボコに反撃される、と判断し

「〇くん(バイト)、交番まで走ってくれる?」

 と、お巡りさんに助けを求めようとしたところ、男性はあっさりお金を払ってその場を去りました。

「金ならあるんだよ!」
「どっちが物乞いだよ!」

 と、捨て台詞だけは立派でした。

◆キャンセルばかりしていると飲食店を利用できなくなるかもしれないよ

 飲食店を予約する際は、お店のキャンセルポリシーをきちんと確認しましょう。キャンセルポリシーとは、先ほどもチラッと解説しましたが「予約をキャンセルする際のルールを定めたもの」です。

 そして、キャンセル料が発生する場合はきちんとキャンセル料を支払いましょう。

 今回の爺さんのように「食ってない分は払えない」と言い張る方が少なくないので、キャンセル料を支払わなくちゃいけない理由も解説します。

 キャンセル料は

・食材の原価
・人件費
・機会損失(予約が入った時点で他の予約は断っています)

 などに対して支払われています。これを踏み倒されると飲食店はつぶれます。特に「機会損失」が飲食店にとっては痛い。

 なお、当日キャンセル・キャンセル料の踏み倒しを繰り返している個人、企業、団体等の情報は飲食店間で共有されることもしばしばです。これは大きな声では言えないのですが、悪質顧客の情報をシェアする「データベース」なんていうものも実在しています。

 迷惑行為を繰り返していると、いずれ多くの飲食店から「出禁」扱いされてしまうかもしれませんよ。

 そもそも、予約は「消費者契約の締結」とみなされており、キャンセルは契約の取り消しに該当します。お客様都合によるキャンセルは、お店の損害賠償請求権が発生しうる「債務不履行(契約で定められた義務を債務者が故意、または過失によって果たさないこと)」にあたります。

 簡単に言うと、めっちゃやばいです。よしましょう。

◆約束は守りましょう

 今回は、「ドタキャン客 VS 店長」のバトルの顛末をご紹介しました。

 忘年会・新年会の予約が増えるこのシーズンは、当日キャンセル・無断キャンセルも悲しいけれど急増します。キャンセルするな、とは言えません。色々なご事情があると思いますから。でもキャンセル料は支払いましょう。

 例えば、航空券のキャンセル料は、出発までの日数によって異なり、当然ですが出発が近いほど高額になりますよね。多くの場合、出発当日や出発時刻以降にキャンセルすると、運賃の100%がキャンセル料としてかかるか、払い戻しが一切できません。

 航空券のキャンセル料は、航空会社が得るはずであった利益を一方的にキャンセルすることへの「損害賠償」、もしくは「契約不履行」に対する対価として発生しています。

 飲食店のキャンセル料だって同じものであると考えてください。ていうか、されて嫌なことを人にするのはよしましょうよ。約束は守りましょうよ。そのくらい簡単なお話でもあります。以上。

<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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  • 結構多い印象。数十人ではなくて10人前後でそういうことをする人達には何度か遭遇した。
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