限定公開( 1 )

産業経済新聞社は11月26日から29日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)で「第9回鉄道技術展2025」を開催している。その名の通り、鉄道技術展は「鉄道に関する技術の展示会」なのだが、鉄道の営業に関連するグッズから建物/構造物/車両に関するものまで、展示内容は非常に多岐にわたる。
今回は、616の企業/団体が1446ブースを構えており、1日で全てを見て回ることは非常に難しい。
今回、Steamで配信されているPCゲーム「JR東日本トレインシミュレータ」の開発元である「音楽館」が4年ぶりに鉄道技術展にブースを構えた。またとない良い機会なので、同社の主力製品である鉄道シミュレーター関連の製品をチェックしてみよう。
●コンシューマー向けの看板製品「JR東日本トレインシミュレータ」
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先述の通り、音楽館はJR東日本トレインシミュレータの開発元だ。コンシューマー向け製品の代表として、同製品をブースの見やすい位置に展示している。
試遊台は2つ用意されており、片方は「JR東日本トレインシミュレータ公式マスコンユニット」の計器盤モニター付き(300万円)とほぼ同じものを、もう片方は瑞起製の「ズイキマスコンPRO」の音楽館40周年記念モデルと計器モニターのセット(10万4000円)を操作して運転を楽しめる。
JR東日本トレインシミュレータ公式マスコンユニットと“ほぼ同じもの”なのは、同ユニットにはないワンマン運転用のドアスイッチが付いているのと、一部ボタンのデザインが異なるからだ。操作感は変わらない。
なお、JR東日本トレインシミュレータ公式マスコンユニットの“実物”を見たい人は、製造元である司機工のブースにに足を運ぶとよいだろう。同ブースには、マスコンユニット+計器盤モニター+運転台(380万円)が2台ある。
●音楽館の最新製品? 「モバイルワンマン運転訓練シミュレータ」
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音楽館といえば、1995年に実写映像を使ったWindows/Mac OS(現macOS)向け「Train Simulator」をリリースしたことでも知られている。その後、Train Simulatorはコンシューマーゲーム機向けにもリリースされ、さらに鉄道会社向けの“業務用”シミュレーターも手掛けるようになり、現在では主力事業となっている。
先述のJR東日本トレインシミュレータは、東日本旅客鉄道(JR東日本)に納入していた訓練用シミュレーターをベースとしている。今回、その最新製品と思われる「モバイルワンマン運転訓練シミュレータ」が展示された。
運転訓練(運転士用)シミュレーターというと“据え置き”が一般的だが、この製品は名前の通りボディーを分割/移動しやすい設計としたことが特徴だ。そして運転士による「ワンマン運転」を訓練するために作られたものである。
JR東日本の首都圏エリアでは、一部線区で順次ワンマン運転を導入しているが、線区(車両)によってホームの乗降監視映像の撮影方法が「車両側面のカメラ」または「駅設置のカメラ(映像はミリ波通信で伝送)」の2方式に分かれている。この違いはドアの開閉方法とも相関しており、前者の線区は「運転台の専用スイッチで操作」となっているのに対して、後者の線区は「運転台の『モニター装置』でタッチ操作」となっている(※1)。
(※1)常磐線各駅停車を除く(東京メトロのワンマン運転線区と同様に、運転台のボタンでドアの開閉を行う)
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モバイルワンマン運転訓練シミュレータでは、設定を変更することでどちらの方式の訓練も可能となっている。シミュレーターを方式別に導入する必要がないため、設置面積を減らせる上、コストも抑えられる。
訓練用の運転台が移動可能なら、当然ながら指導員が使う「指令卓」も移動可能な設計となっている。従来の据え置き式シミュレーターと比べると、指令卓はかなりコンパクトだ。
鉄道技術展2025の期間中、JR東日本の運転士がこのシミュレーターで模擬訓練をするデモンストレーションが開催される。開始時間は各日の「午前11時」「正午」「午後2時」「午後3時」で、日によって以下の路線の訓練の様子を見ることができる。
・11月27日:南武線(午前11時/午後2時)、鹿島線(正午、午後3時)
・11月28日/29日:南武線(午前11時/午後2時)、鶴見線(正午、午後3時)
なお、鶴見線の訓練は「E131系1000番台」で行われる(ワンマン運転の方式と運転台のUIはE131系0番台とほぼ同じ)。
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