
今回は医療費の現状、知っておきたい医療保険・介護保険制度、今日から取り入れられる健康習慣まで、暮らしに役立つポイントを分かりやすく紹介します。
65歳以上1人当たりの年間医療費はいくら?
厚生労働省の「令和5年度(2023年度)国民医療費の概況」によると、国全体の医療費は48兆915億円。そのうち、65歳以上の人の医療費の総額は28兆8806億円(60.1%)と全体の約6割を占めています。さらに、1人当たりの年間医療費を見ると、65歳未満は約21万8000円なのに対し、65歳以上では約79万7200円。高齢期は病気の種類や治療内容が増えるため、医療費が大きくなる傾向がうかがえます。
なお、ここでいう医療費は全体の総額であり、実際に個人が支払う金額とは異なります。例えば、前期高齢者にあたる65〜69歳は原則3割負担、70〜74歳は原則2〜3割負担、後期高齢者の75歳以上は1〜3割負担と、年齢や所得によって自己負担割合が変わります。
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公的な医療・介護保険制度の仕組みを理解する
65歳以上は、医療費や医療機関を利用する機会が増えるからこそ、「制度でどこまでカバーできるのか」を知っておくことが安心につながります。ここからは、公的な医療保険制度・介護保険制度の仕組みを整理していきます。高額療養費制度
1カ月の医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担の上限額が決まっており、入院や手術などで高額な医療費がかかっても、経済的な負担を軽減できます。介護保険制度・高額介護サービス費制度
介護保険制度は、介護が必要になった高齢者やその家族を社会全体で支えることを目的に、2000年に始まった公的制度です。運営主体は市区町村(東京23区を含む)で、全国共通の仕組みとして提供されています。この制度では、要介護認定を受けた人が、所得に応じて介護サービスを1〜3割の自己負担で利用できます(現金支給ではなく、必要なサービスを受ける形式)。認定は「要支援1」から「要介護5」までの7段階があり、区分によって利用できるサービスの量が異なります。
対象となるのは、65歳以上の「第1号被保険者」と、40〜64歳の「第2号被保険者」。ただし第2号は、国が定めた16の特定疾病が原因で介護が必要になった場合のみ利用できます。
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日常生活にプラスする3つの習慣
公的な保険制度を知っておくことは安心につながりますが、日々の体づくりこそが、将来の医療費を減らす一番の味方ともいえます。特別な運動をしなくても、暮らしの中でできる小さな習慣をはじめてみませんか?1. こまめに動く習慣をつける
「近所の買い物は歩く」「エレベーターではなく階段を使う」など、毎日の動きを少しだけ増やしてみませんか。特別な運動をしなくても、ちょっとした習慣を積み重ねることが大切です。
2. ウオーキングを暮らしのリズムに取り入れる
厚生労働省によると、65歳以上の目標歩数は、6000歩以上。無理に一気に歩くのではなく、「朝夕の15分散歩」など、生活の中に組み込むのが続けるコツです。ウオーキングは気分転換にも役立ち、道具も費用もかからない続けやすい運動です。
3. ストレッチで体の柔軟性を保つ
肩や股関節、手首・足首をゆっくり回すストレッチは、時間も場所も選ばずできるお手軽な運動です。テレビを見ながら、寝る前に数分だけなど、好きなタイミングでできるのも継続できるポイントです。
健康を守ることは医療費を抑えるだけでなく、好きなことを続けられる時間を増やすことにもつながるはず。
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参照:令和5(2023)年度 国民医療費の概況(厚生労働省)
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

